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2026/05/28

コラム

不動産売却と住民税|翌年請求と節税対策

不動産売却と住民税|翌年請求と節税対策

不動産を売却した翌年、突然届く高額な住民税の通知に驚いたというお客様のご相談が後を絶ちません。

 

 

「売却時に税金の話は聞いたけれど、翌年6月にこんな金額が来るとは思わなかった」——そのような事態を防ぐために、住民税が発生する仕組み・納付スケジュール・節税のポイントを2026年の最新情報でわかりやすく解説します。

 

 

札幌の地下鉄沿線マンションの実際の成約価格帯を使った試算も掲載しますので、ぜひ資金計画の参考にしてください。

 

 

 

不動産売却で住民税が上がる仕組み

 

不動産を売却すると「譲渡所得」が発生し、その所得に対して所得税と住民税の両方が課されます。まずは課税の基本的な構造を整理します。

 

 

 

譲渡所得とは何か|売却益が課税対象になる理由

 

譲渡所得とは、不動産を売って得た利益のことです。売却価格そのものではなく、次の計算式で求めた「純粋な利益部分」が課税対象になります。

  • 譲渡所得= 売却価格 ― 取得費 ― 譲渡費用
  • 取得費:購入価格+購入時の諸費用(登記費用・仲介手数料など)
  • 譲渡費用:売却時の仲介手数料・印紙代・解体費など

たとえば売却価格3,000万円、取得費1,800万円、譲渡費用120万円であれば、譲渡所得は1,080万円となります。

 

 

取得時の書類を紛失して取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として使用できます。ただし概算取得費が低くなりやすいため、実際の書類が残っているかどうかを必ず確認してください。

 

 

 

所得税と住民税はセットで課される|税率の全体像

 

不動産売却の利益には、所得税と住民税がセットで課されます。保有期間によって適用税率が大きく異なります。

  • 長期譲渡所得(保有5年超):所得税15%+住民税5%=合計20%
  • 短期譲渡所得(保有5年以下):所得税30%+住民税9%=合計39%

住民税の税率だけ見ると長期5%・短期9%と差は小さく見えますが、課税対象の金額が大きくなる不動産売却では、この差が数十万円単位になることも少なくありません。

 

 

 

売却翌年6月に高額請求が届く理由|納付タイムラインの全貌

 

「なぜ売却した年ではなく翌年6月に住民税が来るのか」——この点が最も誤解されやすいポイントです。住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税される後払い制度のため、売却年の翌年6月に通知が届く仕組みになっています。

 

 

 

確定申告→住民税決定→納付通知までの月別スケジュール

 

売却から納付完了までの流れを月次で確認しましょう。たとえば2026年中に不動産を売却した場合のスケジュールは次のとおりです。

  • 2026年中:不動産売却・譲渡所得が発生
  • 2027年2〜3月:確定申告(申告期限は3月15日)
  • 2027年5〜6月:市区町村が住民税額を決定
  • 2027年6月:住民税の納付通知書が届く
  • 2027年6月・8月・10月・翌1月:年4回に分けて納付(普通徴収の場合)

売却から約1年半後まで資金の流れが続くため、売却代金をすぐに使い切ることなく、住民税分の資金を確保しておくことが重要です。

 

 

詳しい売却の費用と流れについては不動産売却にかかる費用と流れもあわせてご覧ください。

 

 

 

普通徴収・特別徴収の切り替えで変わる請求経路と注意点

 

住民税の請求経路は、お客様の就業状況によって異なります。自分がどのパターンに当てはまるかを事前に把握しておきましょう。

  • 会社員(在職中):給与天引き(特別徴収)が基本。売却益分は「普通徴収」として別途通知が届く場合と、給与天引きに上乗せされる場合がある。勤務先に売却の事実が伝わる可能性がある点に注意
  • 退職者・無職の方:普通徴収となり、6月・8月・10月・翌1月の4分割で自己納付
  • 自営業・個人事業主:もともと普通徴収のため、売却分が加算された通知が届く

会社員の方は確定申告書の「住民税の徴収方法」欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することで、勤務先への情報伝達を避けることができます。

 

 

 

住民税の計算方法と長期・短期譲渡所得の税率

 

住民税の実際の負担額は、保有年数と取得費の計上方法によって大きく変わります。税負担を正しく見積もるために、計算の流れをステップで確認しましょう。

 

 

 

長期(5年超)と短期(5年以下)で税率が倍近く変わる理由

 

保有期間の判定は「売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうか」で行います。5年の境界線をまたぐかどうかで、住民税率が5%と9%と大きく異なります。

  • 長期(5年超)の住民税率:5%
  • 短期(5年以下)の住民税率:9%
  • 課税所得1,000万円の場合:長期なら住民税50万円、短期なら90万円と40万円の差

購入から間もない時期に売却を検討している場合は、5年超の保有期間を満たすタイミングまで待てるかどうかを試算した上で判断することをお勧めします。

 

 

 

取得費・譲渡費用の正しい引き方で課税額を下げるポイント

 

取得費に含められる項目を正しく計上することで、課税対象の譲渡所得を圧縮できます。見落としがちな項目を確認しましょう。

  • 取得費に含められるもの:購入価格・登記費用・不動産取得税・仲介手数料・リフォーム費用(資本的支出)・建物の減価償却費相当額の控除後金額
  • 譲渡費用に含められるもの:売却時の仲介手数料・測量費・解体費・印紙代・売買契約後に買主都合でキャンセルが生じた場合の損害賠償金など
  • 取得費が不明な場合:売却価格の5%を概算取得費として計上可能

概算取得費(5%ルール)は取得費が低い場合に限り有利になります。多くの場合、実際の取得費の方が高くなるため、購入時の書類はできる限り保管しておくことが大切です。

 

 

 

3,000万円特別控除後も住民税が残るケース|シミュレーションで確認

 

マイホーム売却で利用できる3,000万円特別控除は強力な節税措置ですが、「控除を使えば住民税はゼロになる」と思い込んでいるお客様が多くいらっしゃいます。売却益が控除額を上回る場合は、控除後にも住民税が発生します。

 

 

 

控除を使っても課税が残る条件|売却益が控除額を超える場合

 

3,000万円特別控除は、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。控除後の課税対象は次のように計算します。

  • 譲渡所得が3,000万円以下:控除を全額使えるため住民税はゼロ
  • 譲渡所得が3,000万円超:超過分に対して住民税が発生
  • 例:譲渡所得3,500万円の場合、控除後の課税対象は500万円

 

 

 

控除適用後の住民税額を計算する具体的ステップ

 

たとえば取得費が不明で概算取得費(5%)を使用するケースで試算します。売却価格4,200万円、概算取得費210万円、譲渡費用168万円の場合です。

  • 譲渡所得:4,200万円 ― 210万円 ― 168万円 = 3,822万円
  • 3,000万円控除後:3,822万円 ― 3,000万円 = 822万円(課税対象)
  • 長期(5年超)の住民税:822万円 × 5%約41万円
  • 短期(5年以下)の住民税:822万円 × 9%約74万円

控除を最大限活用しても、売却価格が高いほど残る住民税額は増えます。マンション売却の基礎知識とあわせて資金計画に役立ててください。

 

 

 

札幌の成約価格帯で試算|地下鉄沿線マンション売却の住民税モデルケース

 

札幌の成約データをもとに、実際の価格帯でシミュレーションします。道内の不動産市場では、地下鉄沿線の利便性が高いエリアほど成約価格が高い傾向があり、住民税の負担額も変わります。

 

 

 

売却価格2,000万円・3,500万円それぞれの住民税シミュレーション

 

札幌の地下鉄沿線マンションの一般的な成約価格帯として2,000万円3,500万円の2パターンで試算します。取得費は実費が判明しているケース(購入価格の計上が可能)で計算します。

 

 

【ケース1】売却価格2,000万円(長期保有・取得費1,300万円・譲渡費用80万円)

  • 譲渡所得:2,000万円 ― 1,300万円 ― 80万円 = 620万円
  • 3,000万円特別控除適用 → 課税所得ゼロ
  • 住民税:0円(控除の範囲内に収まる)

【ケース2】売却価格3,500万円(長期保有・取得費不明→概算5%・譲渡費用140万円)

  • 概算取得費:3,500万円 × 5% = 175万円
  • 譲渡所得:3,500万円 ― 175万円 ― 140万円 = 3,185万円
  • 3,000万円特別控除後:3,185万円 ― 3,000万円 = 185万円
  • 長期住民税(5%):185万円 × 5% = 約9.3万円

ケース2では取得費の書類が残っていれば課税対象が大幅に下がる可能性があります。購入時の売買契約書や領収書を必ず探してみてください。

 

 

 

取得から保有年数別|税負担の差と売却タイミングの考え方

 

同じ売却価格3,500万円・譲渡所得185万円でも、保有年数によって住民税が変わります。

  • 保有5年超(長期):住民税約9.3万円(税率5%)
  • 保有5年以下(短期):住民税約16.7万円(税率9%)
  • 差額:約7.4万円

売却益が大きくなるほどこの差は広がります。市街地エリアや利便性の高いJR沿線物件は価格が高い傾向があるため、保有年数の境界線を意識した売却タイミングの検討が特に重要です。

 

 

詳しくはマンション売却のご相談ページからお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

住民税を合法的に抑えるための特例・控除一覧

 

不動産売却の住民税を軽減できる特例は複数あります。物件の種類や売却の状況によって適用できる特例が異なるため、早見表で確認してください。

 

 

 

居住用財産の買換え特例・損益通算など適用条件の早見表

  • 3,000万円特別控除:自宅(居住用財産)の売却で最大3,000万円を控除。売却の前年・当年・翌年に買換えしていない場合に適用可能
  • 軽減税率の特例(10年超保有):保有期間10年超の自宅売却で、課税所得6,000万円以下の部分に長期譲渡所得より有利な税率(所得税10%+住民税4%)が適用
  • 居住用財産の買換え特例:売却益の課税を新居購入後まで繰り延べる特例。将来の売却時に課税されるため節税ではなく「先送り」の効果
  • 譲渡損失の損益通算・繰越控除:売却で損失が出た場合、他の所得と通算できる(一定の条件あり)

 

 

 

相続・空き家・収益物件ごとに使える特例の違い

  • 相続物件:「相続空き家の3,000万円特別控除」が一般的に適用可能。被相続人が一人で居住していた建物・土地が対象。相続物件の売却について詳しくはこちら
  • 空き家(相続外):原則として居住用特例は使えない。売却益に対して通常の譲渡所得課税が適用される
  • 収益物件(賃貸マンション・アパート):居住用財産の特例は適用不可。長期・短期の区分で一般的な税率が適用される

適用できる特例は個別の状況によって異なります。どの特例が使えるかは確定申告前に専門家に確認することを強くお勧めします。

 

 

 

確定申告から納付完了までのチェックリスト

 

不動産売却後の住民税に関する手続きは、確定申告が起点になります。期限や必要書類を事前に整理しておくことで、納税漏れや延滞を防げます。

 

 

 

申告期限・必要書類・提出方法(e-Tax対応)の確認事項

  • 申告期限:売却した翌年の2月16日〜3月15日(期限を過ぎると加算税・延滞税が発生する場合あります)
  • 必要書類:売買契約書(売却時・購入時)・仲介手数料の領収書・登記事項証明書・測量費や解体費の領収書・住民票の写しなど
  • 提出方法:税務署窓口・郵送・e-Tax(マイナンバーカードがあればスマートフォンからも申告可能)
  • 特例の添付書類:3,000万円控除や軽減税率を使う場合は、居住実態を証明する書類(住民票・公共料金領収書など)が別途必要

 

 

 

納付が困難なときの分割納付・猶予申請の手続き

 

住民税の一括払いが難しい場合、いくつかの対応方法があります。

  • 分割納付(普通徴収):通常でも年4回(6月・8月・10月・翌1月)に分割されるため、売却資金を4回分に分けて確保しておく
  • 徴収猶予:天災・事業の廃止・生計維持が困難な事情がある場合、市区町村に申請することで納付を最大1年間猶予してもらえる場合があります
  • 換価の猶予:財産の換価(売却)が著しく困難な場合に適用される猶予制度

住民税の納付について不安なことがあれば、まずは市区町村の納税相談窓口に連絡することが大切です。放置すると延滞税が加算されるため、早めの相談をお勧めします。

 

 

不動産売却に関するご不明点は、お気軽に住民税・税務の疑問を無料で相談するからご連絡ください。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 不動産を売却した翌年に住民税が高くなるのはなぜですか?

 

A: 住民税は「前年の所得」に基づいて課税される仕組みのため、売却した年ではなく翌年6月に通知が届きます。

 

 

確定申告(翌年2〜3月)→市区町村による税額決定(5〜6月)→納付通知書の送付(6月)という流れで進み、売却から約1年後まで資金を手元に確保しておく必要があります。

 

 

 

Q: マイホーム売却で3,000万円特別控除を使っても住民税はかかりますか?

 

A: 譲渡所得が3,000万円以内であれば、控除で課税所得がゼロになるため住民税はかかりません。ただし譲渡所得が3,000万円を超える場合は、超過分に対して住民税が発生します。

 

 

たとえば譲渡所得が3,500万円であれば、控除後の課税対象は500万円となり、長期保有(5年超)の場合は住民税が25万円程度となります。

 

 

 

Q: 不動産売却後の住民税はいつ・どうやって支払うのですか?

 

A: 一般的に、売却した翌年の6月・8月・10月・翌1月の年4回に分けて納付します(普通徴収の場合)。

 

 

会社員の方は給与天引き(特別徴収)に加算される場合もあります。確定申告書の「住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」を選択すると、勤務先を通さず自己納付に切り替えられます。

 

 

 

Q: 住宅ローンが残っているマンションを売却した場合、住民税はどう計算されますか?

 

A: 住宅ローンの残債は、譲渡所得の計算には影響しません。住民税はあくまで「売却価格 ― 取得費 ― 譲渡費用」で求めた譲渡所得に対して課されます。

 

 

残債があっても計算方法は同じです。ローン残高と売却価格の関係(オーバーローンかどうか)は手取り額には影響しますが、住民税の計算式自体は変わりません。

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