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2026/06/02

コラム

マンション売却の取得費と減価償却を完全解説

マンション売却の取得費と減価償却を完全解説

マンションを売却する際、譲渡所得税の計算に欠かせないのが「取得費」と「減価償却費」です。この2つを正しく把握しているかどうかで、税負担が数十万円から数百万円単位で変わることがあります。

 

 

特に札幌のマンション売却では、地下鉄沿線・JR沿線エリア特有の土地・建物の按分比率や、道内の物件事情を踏まえた計算が重要になります。

 

 

本記事では、構造別・築年数別の減価償却費シミュレーションや5%概算ルールの損得判断まで、実際の数字を用いて実践的に解説します。

 

 

 

取得費と減価償却費が譲渡所得に与える影響

 

まず、取得費と減価償却費がどのように税金と結びつくのか、仕組みから押さえておきましょう。

 

 

 

譲渡所得の計算式と取得費の位置づけ

 

マンション売却で発生する譲渡所得は、次の計算式で求めます。

 

 

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

 

 

取得費とは、マンションを購入したときに支出した費用の合計です。取得費が大きいほど譲渡所得が小さくなり、納税額を抑えられます。

 

 

取得費の内訳は大きく2種類に分かれます。

  • 土地の取得費:購入当時の土地購入代金(年月が経っても減価償却は発生しない)
  • 建物の取得費:購入当時の建物購入代金 - 減価償却費(経過年数分を控除した後の金額)

土地は時間が経過しても価値が劣化しない資産のため、減価償却の対象外です。一方、建物は老朽化が進むため、経過年数に応じた減価償却費を差し引いた後の金額が取得費となります。

 

 

 

減価償却費を差し引く理由と仕組み

 

「なぜ建物の取得費から減価償却費を引くのか」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。理由は、建物は居住している期間中に税法上すでに価値が減少していると考えるためです。

 

 

自宅用マンション(非業務用)の場合、居住期間中に毎年の減価償却費相当額を費消したとみなします。そのため売却時には「購入価格のままではなく、減価償却後の残存価値」で取得費を計算します。

 

 

計算式は次のとおりです。

 

 

減価償却費 = 建物取得費 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

 

 

0.9を掛けるのは、建物取得費の5%を最低残存価額として保持するためです。どれだけ築年数が経過しても、建物取得費の最低5%は取得費として残ります。

 

 

なお、売却全体の流れや費用については、マンション売却の方法と費用でも詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

 

 

 

取得費に含められる費用の完全リスト

 

購入代金以外にも、当時支払った諸費用を取得費に算入できます。見落としが多い項目なので、一つひとつ確認しておきましょう。

 

 

 

購入代金以外で取得費に算入できる諸費用

 

購入時の諸費用を正確に計上することで、課税対象となる譲渡所得を適切に抑えることができます。

 

 

取得費に算入できる主な費用は以下のとおりです。

  • 購入時の仲介手数料:「売買価格×3%+6万円(税別)」が法律上の上限目安
  • 所有権移転登記費用:登録免許税・司法書士への報酬
  • 不動産取得税:取得時に都道府県に支払う税金
  • 住宅ローン手数料・保証料:融資実行時に支払った金融機関への費用
  • 印紙税:売買契約書に貼付した収入印紙代
  • 建物の増改築・大規模リフォーム費用:物件価値を高める資本的支出
  • 測量費用:専有部の面積確定測量を行った場合

これらを合算すると、物件価格の5〜8%相当になることも珍しくありません。たとえば3,000万円の物件であれば、150〜240万円の取得費追加が見込まれます。

 

 

 

取得費に含められない費用・注意点

 

一方、以下の費用は取得費に算入できません。誤って計上した場合、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

  • 引越し費用:取得とは無関係の生活費扱い
  • 管理費・修繕積立金:居住中に毎月支払う維持費
  • 固定資産税・都市計画税:保有中の維持費
  • 小修繕・クリーニング費用:軽微な維持管理目的の支出
  • 住宅ローンの利息部分:元本は取得費に算入可能だが利息は不可

リフォーム費用については、「資本的支出」か「修繕費」かで扱いが分かれます。一般的に、1回50万円以上の大規模工事で物件の価値を高めるものは資本的支出として取得費に算入できると考えられています。

 

 

 

構造・築年数別の減価償却費早見表と計算例

 

減価償却費は建物の構造と築年数によって大きく変わります。3パターンの具体的なシミュレーションで確認しましょう。

 

 

 

RC造・SRC造・木造の法定耐用年数と償却率一覧

 

自宅用(非業務用)マンションでは、法定耐用年数の1.5倍を適用耐用年数として使用します。構造ごとの数値は以下のとおりです。

  • RC造(鉄筋コンクリート造):法定47年 → 非業務用70年、償却率0.015
  • SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造):法定47年 → 非業務用70年、償却率0.015
  • 軽量鉄骨造(骨格材3〜4mm):法定27年 → 非業務用40年、償却率0.025
  • 木造:法定22年 → 非業務用33年、償却率0.031

札幌の市街地エリアの分譲マンションはRC造またはSRC造が大半を占めます。耐用年数が70年と長いため、築40〜50年でも建物取得費が完全にゼロになることはありません。

 

 

 

築年数別シミュレーション(3パターン具体例)

 

それぞれの構造・築年数ごとに、実際の数字でシミュレーションします。建物取得費は総購入代金の按分によって求めます(各パターンの金額は例示です)。

 

 

パターン1:RC造・築20年・購入価格3,000万円(建物取得費1,000万円)

  • 適用耐用年数:70年、償却率:0.015
  • 減価償却費 = 1,000万円 × 0.9 × 0.015 × 20年 = 270万円
  • 残存建物取得費 = 1,000万円 - 270万円 = 730万円
  • 総取得費(土地2,000万円 + 建物730万円)= 2,730万円

パターン2:SRC造・築30年・購入価格4,500万円(建物取得費1,500万円)

  • 適用耐用年数:70年、償却率:0.015
  • 減価償却費 = 1,500万円 × 0.9 × 0.015 × 30年 = 607万円
  • 残存建物取得費 = 1,500万円 - 607万円 = 893万円
  • 総取得費(土地3,000万円 + 建物893万円)= 3,893万円

パターン3:木造・築15年・購入価格2,000万円(建物取得費800万円)

  • 適用耐用年数:33年、償却率:0.031
  • 減価償却費 = 800万円 × 0.9 × 0.031 × 15年 = 334万円
  • 残存建物取得費 = 800万円 - 334万円 = 466万円
  • 総取得費(土地1,200万円 + 建物466万円)= 1,666万円

RC造・SRC造は木造と比べて償却率が低い(0.015 vs 0.031)ため、同じ築年数でも建物取得費が多く残る傾向があります。多くの方が居住されているRC造マンションでは、20〜30年経過しても建物取得費の半分以上が取得費として活用できます。

 

 

 

札幌の固定資産税評価額を使った土地・建物の按分方法

 

減価償却費を正確に計算するには、まず総購入代金を「土地」と「建物」に按分する必要があります。この作業の精度が、最終的な税額に直結します。

 

 

 

土地と建物の取得費を正しく分ける理由

 

マンションの売買契約書には、多くの場合「建物と土地の内訳」が明記されていません。しかし、減価償却費の計算には建物取得費のみを使うため、按分が不可欠です。

 

 

この按分を誤ると、減価償却費の計算ベースがずれ、最終的な譲渡所得が過大または過小に計算されるリスクがあります。税務調査で指摘された場合、修正申告と加算税が発生することがあります。

 

 

 

札幌市の評価額証明書を取得して按分する手順

 

もっとも合理的かつ税務上も根拠として認められやすい方法が、固定資産税評価額を利用した按分です。固定資産税評価証明書は、札幌市の区役所窓口で取得できます(手数料は1通300円程度)。

 

 

按分の手順は以下のとおりです。

  • ① 固定資産税評価証明書で「土地評価額」「建物評価額」をそれぞれ確認する
  • ② 按分比率を計算する(例:土地評価額800万円・建物評価額400万円 → 土地2:建物1)
  • ③ 総購入代金(諸費用を除く)に按分比率を掛けて建物取得費を算出する
  • ④ 算出した建物取得費をもとに減価償却費を計算する

札幌では、地下鉄沿線・JR沿線エリアの物件は土地評価額の比率が高い傾向があります。市街地エリアでは土地:建物の割合が6:4〜7:3になることも珍しくありません。

 

 

道内の物件は本州の主要都市と地価水準が異なるため、全国一律の平均的な按分比率をそのまま適用すると誤差が生じる場合があります。固定資産税評価額に基づいた個別の按分を行うことを当社はお勧めします。

 

 

札幌のマンション売却について詳しく見るページでは、売却全体の流れや費用の目安もご確認いただけます。

 

 

 

取得費が不明なときの対処法と5%概算ルールの損得判断

 

購入当時の書類が手元にない場合でも、あきらめる前に代替証明の可能性を探ることが大切です。

 

 

 

売買契約書・領収書を紛失した場合の立証方法

 

購入当時の売買契約書や領収書を紛失した場合でも、以下の書類が取得費の代替証明として活用できることがあります。

  • 住宅ローンの金消契約書・返済明細:融資額から購入価格を推定できる
  • 重要事項説明書:不動産会社が交付した書類に売買価格が記載されている
  • 登記簿謄本(抵当権設定額):借入額から購入価格を推定できる場合がある
  • 当時の固定資産税課税明細書:建物評価額の確認に使用できる
  • 取引した不動産会社への照会:成約記録が社内に残っているケースがある

これらの資料で実際の取得費を立証できない場合に限り、法的に認められた「概算取得費5%ルール」を適用します。代替書類を探した経緯を記録しておくことで、税務調査時のリスク軽減にもつながります。

 

 

 

概算取得費5%ルールを使うべきケース・避けるべきケース

 

5%概算ルールとは、取得費が不明な場合に「売却価格の5%」を取得費とみなして計算できる特例です。計算は簡便ですが、実際の取得費と大きく乖離する場合があります。

 

 

売却価格帯ごとの5%概算金額と、一般的な実際取得費の比較は以下のとおりです。

  • 売却価格2,000万円:5%概算 = 100万円。実際の取得費(購入代金+諸費用)が100万円を超えれば実費計上が有利
  • 売却価格3,000万円:5%概算 = 150万円。多くの場合、実際の取得費はこれを大きく上回る
  • 売却価格5,000万円:5%概算 = 250万円。実際の取得費との差額が数百万円以上になる場合も多い

一般的に、1990年代以降に2,000万円以上で購入した物件では、実際の取得費が5%を大幅に上回るケースがほとんどです。代替書類による立証を優先し、やむを得ない場合のみ5%ルールを用いることを当社はお勧めします。

 

 

5%ルールを適用した場合でも、税務署から「実際の取得費を調べる努力をしたか」と確認される場合があります。代替書類を探した事実を記録に残しておきましょう。

 

 

 

減価償却を誤ると起きる問題と確定申告の注意点

 

正確な計算を怠ると、後になって思わぬ追加負担が生じることがあります。どのようなリスクがあるかを具体的に確認しておきましょう。

 

 

 

計算ミスによる申告漏れと税務調査リスク

 

不動産売却による収入は、税務署が登記情報と照合しやすいため、申告漏れが発見されやすい税目のひとつです。特にマンション売却は売買価格が高額になるため、注意が必要です。

 

 

減価償却費を誤って計算した場合、以下のペナルティが発生することがあります。

  • 過少申告加算税:本来の納税額の10〜15%が加算される
  • 延滞税:納付期限翌日から年率約8.7%(2026年現在・原則適用)が発生する
  • 重加算税:意図的な隠蔽・仮装と判断された場合は35〜40%の重加算税が課される

たとえば、本来の追加税額が100万円の場合、過少申告加算税だけで10〜15万円の追加負担となります。さらに数年分の延滞税が積み重なれば、総負担額は想定以上に膨らむことがあります。

 

 

 

確定申告書への記載手順と必要書類チェックリスト

 

マンション売却による譲渡所得は、売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。以下の書類を事前に準備しておくとスムーズに手続きできます。

  • 売買契約書(売却時・購入時の両方):取得費・譲渡費用の計算根拠
  • 仲介手数料の領収書:売却時・購入時ともに保管しておく
  • 登記費用・不動産取得税の領収書:取得費算入の根拠書類
  • 住宅ローンの返済明細・金消契約書:取得費立証の補完資料
  • 固定資産税評価証明書:土地・建物の按分計算に使用
  • 確定申告書第三表(分離課税用):不動産譲渡専用の申告用紙

申告書の記載では、減価償却費の計算過程も根拠として保管しておくことを当社はお勧めします。税務署から問い合わせがあった際も、根拠書類がそろっていれば迅速に対応できます。

 

 

取得費の計算や確定申告の準備でご不安な点がある場合は、無料査定・税務面も含めてご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: マンション売却時の取得費に含められる諸費用を教えてください。仲介手数料や登記費用も対象ですか?

 

A: 購入時の仲介手数料・所有権移転登記費用・不動産取得税・住宅ローン手数料・印紙税は、すべて取得費に算入できます。

 

 

大規模リフォーム(一般的に1回50万円以上の資本的支出)も取得費に含められます。一方、管理費・修繕積立金・固定資産税・ローンの利息部分は算入できません。領収書を保管しておくことが確定申告の際に重要です。

 

 

 

Q: 購入時の売買契約書をなくしてしまいました。取得費はどうやって計算すればよいですか?

 

A: 住宅ローンの金消契約書・返済明細、重要事項説明書、登記簿謄本の抵当権設定額、当時の固定資産税課税明細書などが代替書類として活用できます。

 

 

これらで実際の取得費を立証できない場合は、「売却価格の5%」を取得費とみなす概算取得費5%ルールを適用します。多くの場合、実際の取得費のほうが5%を上回るため、代替書類での立証を先に試みることをお勧めします。

 

 

 

Q: 築25年のRC造マンションを売却する場合、建物の取得費はゼロになってしまうのでしょうか?

 

A: RC造の非業務用マンションは耐用年数が70年(法定47年×1.5倍)と長く、築25年ではまだ償却途中です。建物取得費がゼロになることはありません。

 

 

計算上は、償却率0.015×25年×0.9=33.75%が減価償却費となり、建物取得費の約66%が残存します。なお、計算上の減価償却費が建物取得費の95%を超えた場合でも、最低5%は取得費として残ります。

 

 

 

Q: 減価償却を正しく計算しないと、確定申告でどのような問題が起きますか?税務調査のリスクはありますか?

 

A: 不動産売却は税務署が登記情報と照合しやすいため、計算ミスによる申告漏れが発見されやすい傾向があります。発覚した場合は、本来の税額に加えて過少申告加算税(10〜15%)と延滞税(年率約8.7%)が発生します。

 

 

意図的な隠蔽と判断された場合は35〜40%の重加算税が課されることもあります。減価償却費の計算根拠となる書類は、申告後も一定期間保管しておくことをお勧めします。

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