築年数が古くなったアパートを持っていると、「いつ売るのが得なのか」という判断がいちばん難しくなります。まだ家賃が入っているうちは動きにくく、かといって空室が増えてからでは値段が下がる。この見極めの話です。
結論から言うと、古いアパートの売り時は築年数そのものではなく「買う人がローンを使えるかどうか」と「次の大きな修繕が来る前かどうか」で決まります。この2つが崩れる前に動けるかどうかで、手取りが大きく変わります。
アパートを買うのは、現金一括の投資家ばかりではありません。多くは金融機関の融資を使います。つまり買主が借りられなければ、どれだけ利回りが良くても売れません。売り手側から見た「売りやすさ」は、買主が融資を受けられるかどうかにほぼ連動します。
木造アパートの法定耐用年数は22年です。融資期間を耐用年数の残りに合わせる金融機関が多いため、築22年を超えると融資期間が一気に短くなるか、そもそも組めないことがあります。融資期間が短くなると毎月の返済が重くなり、買主が出せる価格は下がります。
耐用年数を超えたアパートは、現金で買える層か、土地としての価値を見て買う層が中心になります。買える人が減るぶん価格は下がりますが、土地の価値がしっかりしていれば値段は付きます。札幌市内であれば、この土地値が下支えになるケースは少なくありません。
築20年前後は、買い手の層が切り替わる直前にあたります。まだ融資が付く状態で売れるかどうかが、価格の分かれ目になります。
次のような状態が出てきたら、売却を検討する時期に入っています。
外壁塗装、屋根、給湯器の一斉交換、外階段の鉄部補修。いずれも一度に数百万円単位でかかります。修繕を終えてから売っても、かけた費用がそのまま価格に乗るわけではありません。修繕の見積もりが出た段階で、売った場合の手取りと比べてみてください。
退去のたびに次が決まるまでの期間が延びてきたら、建物の競争力が落ちているサインです。空室のまま売り出すと、買主は空室を前提に計算します。入居がある状態のほうが価格を作りやすくなります。
アパートの価格は家賃収入から計算されます。家賃を1室あたり月3,000円下げると、4室で年間14万4千円の減収です。利回り10%で計算すれば、売却価格は約144万円下がることになります。家賃を下げる前に一度、売った場合の金額を確かめておく価値があります。
アパートを共有で相続すると、売るにも建て替えるにも全員の同意が必要になります。方向性が決まらないまま空室が増えていくのがいちばん損です。元気なうちに売って現金で分けるほうが、結果的にもめません。
返済が進んで残債が減り、売却額で完済できる状態になったら、いつでも動ける立場です。完済できるうちが、いちばん条件を選べる時期です。
アパートの価格は、住宅のように近隣の相場から決めるのではなく、年間の家賃収入を利回りで割って求めるのが基本です。
築年数が古いほど買主は高い利回りを求めるため、同じ家賃収入でも価格は下がります。これが「早いほうが高い」と言われる理由です。
広告に出ている利回りは、たいてい満室想定の表面利回りです。買主は固定資産税、管理費、修繕費、空室分を引いた実質で判断します。修繕履歴が残っていて手が入っている建物ほど、実質が読めるぶん評価されます。
建物の価値がほぼ無くなっていても、土地には値段が付きます。地下鉄駅の徒歩圏や、再建築のしやすい整形地であれば、収益から出した金額より土地値のほうが高くなることがあります。この場合は、収益物件としてではなく土地として売り出したほうが高く決まります。
判断の順番は次のとおりです。
解体してから売るかどうかは、売り主が解体費を負担して土地で売るのか、建物付きのまま買主に判断してもらうのかの違いです。買主のなかには自分で解体して建てたい人もいるため、先に壊してしまうのが必ず得とは限りません。
札幌では、敷地内の除雪と排雪が毎年の固定費になります。駐車場が広いアパートほど排雪の費用が重く、実質利回りを押し下げます。買主も必ずここを見ます。逆に、除雪の手配先と年間費用をきちんと示せると、収支が読めるぶん安心して買ってもらえます。
大学や専門学校の近く、地下鉄沿線、職場が集まる区では、単身向けの部屋が動きます。一方で、車が前提のエリアでは駐車場の台数が入居を左右します。同じ築年数でも、立地によって空室の埋まり方がまったく違います。
札幌は進学と転勤で3月に人が動きます。この時期を過ぎて空いた部屋は、次の春まで埋まりにくくなることがあります。売却を考えているなら、入居が固まる4月の数字を持って動くのが有利です。
買主と金融機関が必ず見るものです。手元にあるだけで話が早く進みます。
とくに境界は、古い土地ほど確定していないことがあります。測量には時間がかかるため、売ると決めた段階で早めに確認してください。
売れます。築年数の上限はありません。建物の価値がほぼ無くなっていても、土地の価値と現状の家賃収入から価格を出します。地下鉄駅の徒歩圏や再建築のしやすい土地であれば、土地値が価格を支えます。
売れます。賃貸借契約はそのまま買主に引き継がれるため、入居者に退去してもらう必要はありません。むしろ入居がある状態のほうが収入が読めるため、収益物件としては評価されやすくなります。
売り出しの段階で知らせる義務はありません。引き渡し後に、家賃の振込先と管理の連絡先が変わることを通知します。内覧も、共用部と空室だけで行うのが通常です。
かけた費用がそのまま価格に上乗せされるとは限りません。修繕の見積もりが出た段階で、直してから売る場合と現状のまま売る場合の手取りを比べて判断してください。
一概には言えません。自分で解体して建てたい買主もいるため、先に壊すと選択肢が狭まることがあります。収益から出した価格と、解体費を引いた土地値を比べてから決めてください。
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