「相続した空き家を放置していたら、固定資産税が6倍になると聞いた」——こうしたご相談が、札幌でも増えています。
2023年の法改正により、管理が不十分な空き家も増税の対象に加わりました。放置するほどコストが膨らむ時代です。
この記事では、固定資産税が6倍になる仕組みから具体的な税額シミュレーション、そして損をしないための5つの対策まで、数字を交えてわかりやすく解説します。
まず「6倍」という数字の正体を正しく理解しましょう。実は税率が上がるのではなく、これまで受けていた軽減措置がなくなることで負担が跳ね上がる仕組みです。
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用されています。この特例により、固定資産税の課税標準額が最大6分の1に軽減されています。
具体的には以下の2段階で軽減されます。
つまり、建物が建っているだけで土地の固定資産税は大幅に安くなっています。古い空き家でも、建物が存在する限りこの特例は適用され続けます。
空き家が「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、行政からの勧告を受けると、この住宅用地の特例が解除されます。
特例が解除されると、課税標準額が6分の1から本来の評価額に戻ります。結果として、固定資産税が最大6倍に増えるという仕組みです。
「増税された」のではなく「優遇がなくなった」という点が重要です。特例解除後の税額こそが、本来支払うべき金額だということを認識しておきましょう。
どのような状態の空き家が指定の対象になるのか、判断基準と2023年の法改正ポイントを整理します。
空家等対策特別措置法に基づき、以下の4つの基準のいずれかに該当すると「特定空家」に指定される可能性があります。
国土交通省の調査によると、2023年時点で全国の特定空家の指定件数は累計で約2万件を超えています。
2023年12月に施行された改正空家法では、新たに「管理不全空家」という区分が設けられました。特定空家の一歩手前の段階で行政が介入できる仕組みです。
管理不全空家から固定資産税6倍になるまでの流れは、以下のタイムラインで進みます。
従来は特定空家に指定されなければ特例は維持されていましたが、改正後は管理不全空家への勧告の段階で特例が解除されます。つまり、増税のハードルが大幅に下がったということです。
勧告から翌年度の課税に反映されるため、2026年に勧告を受けた場合、2027年度の固定資産税から6倍が適用される流れとなります。
「6倍」と言われてもピンとこない方のために、土地の評価額別に具体的な税額を計算してみましょう。
以下は200㎡以下の小規模住宅用地を前提に、固定資産税の標準税率1.4%で計算した年間税額です。
北海道内の住宅地では、土地評価額が1,000万〜2,000万円の範囲に収まるケースが多くあります。特例が解除されるだけで、年間10万円以上の負担増になることがわかります。
特例解除の影響を5年間で見ると、さらに深刻さが際立ちます。
このほかに都市計画税(税率0.3%)も特例解除の影響を受けるため、実際の負担増はさらに大きくなります。放置すればするほど累計コストが膨らむ構造です。
全国的に空き家問題は深刻化していますが、札幌市には積雪寒冷地ならではの特有のリスクがあります。
総務省の住宅・土地統計調査によると、札幌市の空き家率は約12%で、道内の政令市として高い水準にあります。空き家の総数は約5万戸以上に上ります。
札幌市では2016年に「札幌市空家等対策計画」を策定し、特定空家の指定と指導を段階的に進めてきました。近年は調査対象の拡大に伴い、管理不全の空き家への指導件数が増加傾向にあります。
2023年の法改正以降、管理不全空家の制度が加わったことで、これまで特定空家に至らなかった物件にも行政の目が届くようになっています。
札幌市の年間降雪量は約600cmに達します。管理されていない空き家は除雪が行われないため、屋根への積雪荷重が原因で倒壊するリスクが高まります。
実際に、積雪シーズンに屋根が崩落した空き家が近隣住宅を巻き込んだ事例も報告されています。こうした危険性がある空き家は、特定空家に指定されやすい傾向があります。
また、札幌市では空き家に関する相談窓口を設けており、空き家の管理や利活用についての無料相談を受け付けています。地下鉄沿線やJR沿線の市街地エリアにある空き家は、売却や利活用の可能性が高いため、早めの相談が有効です。
特例解除による増税を避けるためには、早めの行動が重要です。具体的な対策を5つご紹介します。
管理を続けることが難しい場合は、以下の3つの選択肢を検討しましょう。
放置して5年間で累計約60万〜120万円の増税を受けるよりも、早期に売却して固定資産税の負担から解放される方が経済的に合理的な場合が多くあります。
空き家の売却について詳しくは、空き家・空き地の売却についてはこちらのページもご参照ください。
相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。放置して増税を受けるのと、売却して控除を活用するのとでは、どちらが得なのか比較してみましょう。
「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」の主な要件は以下のとおりです。
なお、2024年1月以降の譲渡については、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に縮小される改正が適用されています。適用の可否は個別の事情により異なるため、税理士への確認をおすすめします。
評価額1,500万円の土地に建つ空き家を例に、放置と売却のコストを比較します。
【放置した場合の5年間コスト】
【売却した場合】
このように、数字で比較すると放置するほど損失が拡大する構造であることがわかります。特に3,000万円特別控除には期限があるため、相続した空き家は早めの判断が重要です。
相続物件の売却について詳しくは、相続物件の売却について詳しくはこちらをご覧ください。
ここまで解説してきた内容を振り返り、今すぐ取るべき行動を整理します。
空き家の固定資産税が6倍になる仕組みと、放置した場合の累計コストをお伝えしてきました。2023年の法改正により、管理不全空家の段階でも増税の対象となり、札幌市のような積雪地域では指定リスクがさらに高まっています。
今すぐ取るべき行動をまとめます。
「まだ大丈夫」と先延ばしにするほど、固定資産税の負担は積み上がり、特別控除の期限は近づきます。まずは空き家の価値を知ることから始めてみませんか。
当社では、札幌市内の空き家の無料査定を承っております。お気軽に空き家の無料査定・ご相談はこちらからお問い合わせください。
A: 特定空家や管理不全空家に指定された後、行政から「勧告」を受けた翌年度の固定資産税から適用されます。
2023年の法改正で管理不全空家の制度が加わり、特定空家に至る前の段階でも勧告 → 特例解除の流れが適用されるようになりました。指導の段階で改善すれば、勧告を回避できる可能性があります。
A: はい、改善措置を講じて危険な状態を解消すれば、特定空家の指定は解除される可能性があります。
具体的には、建物の修繕や敷地内の清掃・植栽の剪定などを行い、自治体に改善完了を報告します。自治体の再調査で基準を満たしていると判断されれば、指定が解除され、住宅用地の特例も翌年度から再適用となるのが一般的です。
A: 一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。主な要件は、1981年5月31日以前の建築であること、被相続人が一人暮らしだったこと、相続から3年を経過する年の12月31日までに売却することです。
なお、2024年1月以降の売却で相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に縮小されます。適用の可否は個別の事情で異なるため、税理士へのご相談をおすすめします。
A: 木造住宅30坪(約100㎡)の場合、一般的に150万〜250万円程度が目安です。建物の構造や立地条件、アスベストの有無などにより変動します。
札幌市では、特定空家等に該当する危険な建物について解体費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。最新の補助金情報は札幌市の建築安全推進課に確認されることをおすすめします。
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