先に結論です。本人が決済に行けなくても、委任状があれば不動産は売れます。遠方に住んでいる、仕事が休めない、入院している、高齢で外出が難しい。どれもよくある事情で、実務では珍しくありません。
ただし、委任状は書式が決まっているわけではなく、内容が曖昧だと登記が通りません。司法書士が作ったものを使い、実印を押して、印鑑証明書を添えるのが基本です。自分で書いた簡単な一筆では足りません。
とくに「委任する行為の範囲」が大事です。契約だけを委任するのか、代金の受領まで含めるのか、登記の申請まで任せるのか。ここが書かれていないと、その場で手続きが止まります。
金額を白紙にした委任状は危険です。代理人が安く売ってしまっても、売主は文句を言えません。売買代金の額か、これ以上安くは売らないという下限を必ず書いてください。
印鑑証明書の3か月という期限に注意してください。契約から決済まで1か月から2か月あるため、契約のときに取ったものが決済で期限切れになることがあります。
代理人が来る取引でも、司法書士は売主本人の意思を確認します。これは省略できません。方法は次のようなものです。
本人と連絡が取れない、話ができないという状態では、委任状があっても登記は通りません。ここは制度の根幹なので、抜け道はないと考えてください。
遠方にお住まいの売主の場合、司法書士が現地まで出向くこともあります。その場合は出張費がかかります。事前に確認しておいてください。
配偶者、子、兄弟に頼むのがもっとも多い形です。ただし、共有名義で、共有者どうしが委任し合う場合は注意が要ります。利益が相反する関係になると、別の対応が必要になることがあります。
登記の申請については、もともと司法書士に委任します。売買契約そのものの代理は別の話なので、どこまで任せるかを整理してください。
仲介する会社が代理人になることは、利益が相反するため避けるのが通常です。当社でも、売主の代理人として契約を締結することはしていません。
認知症が進んでいる、意識がない、といった状態では、委任状を書いても無効です。本人に意思能力がないためです。この場合は成年後見の手続きが必要になります。
親が施設に入った後に実家を売ろうとして、この壁にぶつかる方が多くいます。判断ができるうちに、売るかどうかを話しておくのがいちばんです。すでに難しい状態なら、早めに司法書士か弁護士にご相談ください。
相続で札幌の実家を引き継いだが、自分は道外にいるという相談は多くあります。この場合の進め方です。
実務では、契約を郵送の持ち回りで済ませ、決済の日だけ来ていただくという形が多くあります。代理人を立てるより、一度の往復で済むほうが結果的に楽なこともあります。
冬の札幌は、飛行機が欠航することがあります。決済の日を冬に設定する場合、前日入りするか、代理人を立てておくか、どちらかの備えをしておいてください。
委任状の書式や、後見の手続きについては司法書士または弁護士にご確認ください。ここでは売却実務での進め方を整理しています。
委任状があれば売れます。遠方、仕事、入院、高齢で外出が難しいといった事情は珍しくありません。
委任する人と代理人の氏名住所、対象不動産の表示、委任する行為の範囲、売買代金の額か下限、日付、実印の押印です。行為の範囲が書かれていないと手続きが止まります。
必ず書いてください。白紙だと代理人が安く売っても文句を言えません。売買代金の額か、これ以上安くは売らないという下限を記載します。
発行から3か月以内のものです。契約から決済まで1か月から2か月あるため、契約時に取ったものが決済で期限切れになることがあります。
不要にはなりません。司法書士が売主本人の意思を必ず確認します。訪問、電話、オンライン面談のいずれかで行います。
売れません。意思能力がない状態で書かれた委任状は無効です。成年後見の手続きが必要で、自宅を売るには家庭裁判所の許可も要ります。
利益が相反するため、通常は行いません。当社でも売主の代理人として契約を締結することはしていません。
契約を郵送の持ち回りで済ませ、決済の日だけお越しいただく形が多くあります。代理人を立てれば、来ていただかずに完了させることもできます。
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