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2026/06/29
相続登記未了の不動産は売れる?手順と注意点
相続登記未了の不動産は売れる?手順と注意点
「相続した不動産を売却したいけれど、相続登記がまだ終わっていない」というご相談は少なくありません。結論から申し上げると、相続登記が未了のままでは不動産の売買契約を完了させることはできません。
ただし、売却活動を先に始めること自体は可能です。登記を進めながら並行して買主を探し、引渡しまでに相続登記を完了させる方法が実務では一般的です。
本記事では、2024年4月に施行された相続登記義務化の最新情報を踏まえ、未了の状態から売却完了までの具体的な手順・費用・注意点を札幌エリアの事情も含めて詳しく解説いたします。
相続登記未了の不動産は売却できるのか
相続登記が済んでいない不動産であっても、売却の意思を持って査定や買主探しを始めること自体は問題ありません。しかし、所有権の移転登記ができない以上、最終的な売買契約の決済・引渡しは登記完了後でなければ成立しません。
未登記のままでは売買契約が成立しない理由
不動産の売買では、売主から買主へ所有権移転登記を行う必要があります。相続登記が未了の場合、登記簿上の名義は被相続人(亡くなった方)のままです。
名義人でない方が売主として所有権移転登記を申請することはできません。そのため、まず相続登記で自分の名義に変更し、その後に買主への移転登記を行うという2段階の手続きが求められます。
買主の住宅ローン審査への影響
買主が住宅ローンを利用して購入する場合、金融機関は対象不動産に抵当権を設定します。登記簿上の所有者が確定していない物件には、原則として抵当権の設定ができず、ローン審査が通りません。
つまり、相続登記が未了のままでは現金購入以外の買主を実質的に排除してしまうことになります。買主の選択肢を広げるためにも、早期の相続登記完了が重要です。
2024年4月施行・相続登記義務化で変わったこと
2024年4月1日から、相続登記が法律上の義務となりました。この法改正により、相続登記を放置するリスクは以前よりも大きくなっています。
義務化の概要と3年以内ルール
改正不動産登記法により、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられました。この義務は、2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。
過去の相続については、2024年4月1日から3年以内、つまり2027年3月末が期限の目安となります。2026年現在、残りの猶予は約1年です。
違反した場合の10万円以下の過料リスク
正当な理由なく期限内に相続登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料は刑罰ではなく行政上の制裁ですが、経済的な負担となることに変わりありません。
「正当な理由」としては、相続人の調査に時間を要する場合や、遺産分割協議が難航している場合などが想定されています。ただし、単に面倒だからという理由は認められません。
売却を検討されている方にとっては、義務化によりむしろ「早く登記して売却する」動機が明確になったとも言えます。
相続登記を完了させて売却するまでの5ステップ
相続登記が未了の状態から不動産を売れるようにするためには、以下の5つのステップを順に進めていきます。全体の流れを把握しておくことで、スムーズに手続きを進められます。
必要書類の一覧と取得先
相続登記の申請には、多くの書類が必要です。主な必要書類は以下のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得(1通450〜750円程度)
- 被相続人の住民票の除票:最後の住所地の市区町村役場で取得(1通300円程度)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本:各相続人の本籍地で取得(1通450円程度)
- 相続人全員の住民票:各相続人の住所地で取得(1通300円程度)
- 固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村で取得(1通300〜400円程度)
- 遺産分割協議書:相続人全員の署名・実印・印鑑証明書が必要
- 登記申請書:法務局の書式に従って作成
戸籍の取得は、2024年3月から始まった広域交付制度により、最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できるようになりました。道内に本籍がない相続人も、この制度を活用すると取得の手間を大幅に減らせます。
遺産分割協議から登記申請・売却活動開始までの流れ
具体的なステップは以下の5段階です。
- ステップ1:相続人の確定:戸籍を収集し、法定相続人が誰かを確認します(目安:2〜4週間)
- ステップ2:遺産分割協議:相続人全員で不動産の分割方法を話し合い、協議書を作成します(目安:2週間〜数か月)
- ステップ3:相続登記の申請:法務局に登記申請書と必要書類を提出します(目安:申請から完了まで1〜2週間)
- ステップ4:不動産会社へ売却依頼:登記完了後、査定を受けて媒介契約を締結します
- ステップ5:売買契約・決済・引渡し:買主が見つかり次第、契約から引渡しまで進めます(目安:1〜3か月)
なお、ステップ3の登記申請と並行してステップ4の査定・売却活動を始めることも実務上は可能です。登記完了の見通しが立っていれば、時間を有効に使えます。
相続登記にかかる費用と期間の目安
相続登記にかかる費用は、ご自身で行う場合と司法書士に依頼する場合で大きく異なります。それぞれの目安を把握しておきましょう。
自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の費用比較
- 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%(例:評価額1,000万円の不動産なら4万円)
- 戸籍・住民票等の取得費用:合計3,000〜5,000円程度
- 司法書士報酬:一般的に5〜10万円程度(不動産の数や相続関係の複雑さにより変動)
ご自身で手続きを行う場合は、登録免許税と書類取得費用のみで済むため、総額5〜6万円程度に抑えられることが多いです。
司法書士に依頼する場合は、報酬を含めて総額10〜16万円程度が目安となります。書類収集から申請まで一括して任せられるため、時間と手間を大幅に節約できます。
登記完了までの一般的なスケジュール
書類がすべて揃った状態で法務局に申請した場合、登記完了までは通常1〜2週間です。ただし、書類の収集や遺産分割協議に時間がかかるケースが多いため、相続発生から登記完了まで全体で1〜3か月を見込んでおくと安心です。
相続人が多い場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合は、半年以上かかることもあります。早めに着手することが重要です。
相続人が複数いる場合の売却の進め方
相続人が1人であれば手続きはシンプルですが、複数いる場合は調整が必要になります。ここでは、よくあるケースごとの対応方法をご説明します。
全員の同意が必要なケースと代表者で進められるケース
遺産分割協議により不動産を1人の相続人が単独で相続した場合は、その方の判断で売却を進められます。一方、共有名義で相続登記を行った場合は、共有者全員の同意がなければ売却できません。
共有持分のみを売却することも法律上は可能ですが、買主が見つかりにくく、売却価格も大幅に下がる傾向にあります。一般的には、共有持分だけの売却は市場価格の50〜70%程度になるケースが多いです。
遺産分割協議がまとまらないときの対処法
話し合いで合意に至らない場合の選択肢は、主に以下のとおりです。
- 家庭裁判所での調停:第三者を交えた話し合いで合意を目指します(費用:申立て手数料1,200円+郵便切手代)
- 家庭裁判所での審判:調停が不成立の場合、裁判所が分割方法を決定します
- 換価分割:不動産を売却して代金を相続人間で分配する方法です
北海道では相続人が道外に散らばっているケースも珍しくありません。遠方の相続人との協議は、オンライン会議や郵送でのやり取りを活用することで効率的に進められます。
札幌で相続登記未了の不動産を売却するときのポイント
札幌エリアには、地域特有の事情や活用できる仕組みがあります。地元の状況を踏まえた対策を取ることで、よりスムーズに手続きを進められます。
札幌法務局での申請と郵送申請の活用
札幌法務局では、窓口での申請のほか郵送による申請も受け付けています。道内に広大な土地を所有していても、不動産の所在地を管轄する法務局へ郵送で申請できるため、わざわざ現地まで出向く必要はありません。
また、相続人が本州など遠方にお住まいの場合も、郵送申請を活用すれば札幌まで来ることなく手続きを完了できます。返送用の封筒を同封するだけで、登記完了証を受け取ることが可能です。
札幌市内の不動産は、地下鉄沿線やJR沿線を中心に需要が安定しています。特に市街地エリアのマンションや戸建ては、相続登記完了後にスムーズな売却が見込めるケースが多いです。
冬季の売却活動で気をつけたいこと
北海道ならではの注意点として、冬季の売却活動があります。12月〜3月は積雪により現地の内覧や外観確認が難しくなることがあります。
- 秋までに登記を完了させ、雪が積もる前に売却活動を本格化するのが理想的です
- 冬季でも売却は可能ですが、内覧時の除雪や暖房の準備など追加の対応が発生します
- 春先(4〜5月)は不動産市場が活発になる時期のため、そこに合わせて準備を進める戦略も有効です
当社では札幌の不動産市場に精通したスタッフが、季節に応じた最適な売却プランをご提案しております。
相続登記未了のまま放置するリスクまとめ
相続登記を先延ばしにすると、時間が経つほど問題が大きくなります。ここでは、放置によって生じる主なリスクを整理します。
権利関係の複雑化と将来の売却困難
相続登記をしないまま次の相続が発生すると、相続人がねずみ算式に増えていきます。例えば、親の相続を放置したまま兄弟の1人が亡くなると、その配偶者や子どもも新たな相続人として加わります。
相続人が10人、20人と増えてしまうケースも実際に存在します。こうなると全員の同意を得ることが極めて困難になり、事実上売れる状態ではなくなってしまいます。
固定資産税や管理責任の問題
相続登記が未了であっても、固定資産税の納税義務や建物の管理責任は相続人に生じます。空き家の場合、管理不全のまま放置すると「特定空家」に指定され、固定資産税の軽減措置(最大6分の1)が解除される可能性もあります。
さらに、建物の老朽化による近隣への損害が発生した場合、所有者として賠償責任を問われることもあります。不動産を使う予定がないのであれば、早めに相続登記を済ませて売却することが、経済的にも精神的にも負担の少ない選択です。
相続登記の義務化により、2027年3月末までに手続きを行わないと過料のリスクも加わります。まずは現状の確認から始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q: 相続登記が済んでいない不動産でも売却できますか?
A: 売却活動を始めること自体は可能ですが、買主への所有権移転登記を行うためには、事前に相続登記を完了させる必要があります。
つまり、引渡し・決済までに相続登記が完了していなければ、売買契約を最終的に成立させることはできません。早めの着手をおすすめいたします。
Q: 相続登記の義務化に違反するとどうなりますか?
A: 正当な理由なく、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
2024年4月1日より前の相続にも適用されるため、過去に相続した不動産の登記が未了の方も2027年3月末までに対応が求められます。
Q: 相続登記から売却完了までどのくらいかかりますか?
A: 相続登記の手続き自体は、書類が揃ってから1〜2週間程度で完了するのが一般的です。書類収集や遺産分割協議を含めると、登記完了まで1〜3か月が目安です。
その後の売却活動には3〜6か月程度かかることが多く、全体では4〜9か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
Q: 相続人が複数いる場合、全員の同意がないと売れませんか?
A: 共有名義で相続登記を行った場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。ただし、遺産分割協議により1人の相続人が単独で不動産を相続すれば、その方のみの判断で売却できます。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。まずは相続人間での話し合いから始めることをおすすめいたします。
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