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2026/08/30
札幌の相続空き家で使える3000万円特別控除
札幌の相続空き家で使える3000万円特別控除
相続した札幌の空き家、売却すべきとわかっていても「税金がいくらかかるのか」が気になって動けない方は多いのではないでしょうか。
実は、相続空き家の売却には最大3000万円の特別控除が適用できる特例があります。2024年の税制改正で適用範囲が広がり、さらに使いやすくなりました。
この記事では、特例の要件から札幌特有の注意点、相続登記義務化との同時対応まで、相続空き家を持つ方が知っておくべき実務情報をまとめています。
空き家の3000万円特別控除とは?制度の基本を整理
この特例は、相続で取得した空き家を売却した際に、譲渡所得から最大3000万円を差し引ける制度です。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
特例の趣旨と控除の仕組み
全国で増え続ける空き家の発生を抑制するために、2016年に創設されました。相続人が早期に売却するインセンティブとして、譲渡所得税の負担を大幅に軽減する仕組みです。
たとえば、相続した空き家を2,500万円で売却し、取得費が不明で概算取得費(売却価格の5%=125万円)を使った場合、譲渡所得は約2,375万円となります。特例を使えばこの全額が控除され、譲渡所得税はゼロになります。
特例を使わない場合、所得税・住民税合わせて長期譲渡所得の税率約20.315%が課されるため、約482万円の税負担が発生する計算です。この差は非常に大きいといえます。
2024年改正で追加された2つの譲渡パターン
2024年1月1日以降の譲渡から、適用対象が拡大されました。従来は「耐震基準を満たす建物付きでの譲渡」のみが対象でしたが、以下の2パターンが新たに加わっています。
- 取壊し後の敷地譲渡:売主が建物を解体し、更地にしてから土地を売却するパターン。解体費用は売主負担だが、買主が見つかりやすい利点がある
- 耐震リフォーム後の譲渡:現行の耐震基準を満たすようリフォームしてから、建物付きで売却するパターン。リフォーム費用と売却価格のバランスが判断基準になる
実務上の判断基準として、札幌では築40年以上の木造住宅が多く、耐震リフォームに150万〜300万円程度かかるケースが一般的です。一方、解体費用は木造で100万〜200万円程度が相場とされています。
建物に資産価値が残っていなければ取壊しを選び、立地が良く建物の状態も比較的良好であれば耐震リフォームを検討する、というのが多くの場合の判断の分かれ目です。
適用を受けるための6つの要件
3000万円特別控除を受けるには、複数の要件をすべて満たす必要があります。ひとつでも欠けると適用されないため、事前に確認しておくことが重要です。
建物・被相続人・売却期限の要件
主な適用要件は以下の6つです。チェックリストとしてご活用ください。
- 建築時期:昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物であること
- 建物の種類:区分所有建物(マンション)でないこと(戸建てが対象)
- 被相続人の居住:相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
- 売却期限:相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
- 売却金額:譲渡対価が1億円以下であること
- 相続後の利用:相続から譲渡までの間に、事業・貸付・居住の用に供していないこと
見落としやすい要件と判定フローチャート
見落としやすいのが「被相続人が一人で居住していた」という要件です。老人ホームに入所していた場合でも、一定の条件を満たせば適用対象になりますが、入所前に同居人がいた場合は対象外となります。
また、相続後に一度でも賃貸に出した場合は「貸付の用に供した」と判断され、特例が使えなくなります。空き家を管理しながらも、利用せずに保持している状態であることが求められます。
ご自身のケースが該当するか不明な場合は、早めに税理士へ相談されることをおすすめします。
相続登記義務化との同時対応フロー
2024年4月から相続登記が義務化されました。3000万円控除の特例申請と合わせて、手続きの順序を正しく理解しておく必要があります。
相続登記と特例申請の手続き順序
相続登記義務化により、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
3000万円控除の特例を使うためには、売買契約・所有権移転登記・確定申告という流れを踏む必要がありますが、そもそも相続登記が完了していなければ所有権移転登記ができません。つまり、相続登記は売却の大前提です。
司法書士・税理士への依頼タイミング
以下のタイムラインに沿って手続きを進めると、漏れなく対応できます。
- 相続発生直後(1〜2か月目):遺産分割協議を開始。司法書士に相続登記を依頼する
- 3〜4か月目:相続登記完了。不動産会社に売却相談・査定を依頼する
- 5〜12か月目:売却活動を開始。買主が見つかり次第、売買契約を締結する
- 売却完了後:翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に特例の適用を申告する
司法書士への相続登記の依頼費用は5万〜10万円程度、税理士への確定申告依頼は3万〜8万円程度が目安です。特例の適用で数百万円の節税になることを考えれば、専門家費用は十分に回収できます。
札幌の相続空き家が急いで売却すべき理由
北海道、とくに札幌の空き家は、本州と比べて劣化スピードが格段に速いという特徴があります。3年以内の売却期限がある特例を活用するなら、早めの行動が欠かせません。
積雪・凍結による劣化と資産価値の下落スピード
札幌の年間降雪量は約5メートルにも達します。屋根や外壁に積もった雪の重みは建物に大きな負荷をかけ、人が住んでいない空き家では除雪が行われないため、劣化が加速します。
冬季の凍結と融解の繰り返しは、基礎部分のひび割れや水道管の破裂を引き起こします。道内の空き家は管理を怠るとわずか2〜3年で大幅に資産価値が下がるケースも珍しくありません。
さらに、冬場の除雪を行わないと近隣への雪害リスクが生じ、自治体から指導を受ける可能性もあります。札幌市では除雪義務に関する条例もあり、所有者としての管理責任が問われます。
特定空家指定リスクと除雪義務の負担
管理不全の空き家は、自治体から「特定空家」に指定される可能性があります。特定空家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が最大約6倍に跳ね上がります。
札幌市では2026年時点で空き家の実態調査を進めており、管理状態が悪い物件への指導件数は年々増加傾向にあります。相続した空き家を放置するリスクは、税負担と維持コストの両面で高まっているのが現状です。
売却のベストタイミングは雪解け後の3月下旬〜5月です。この時期は内覧希望者が増え、建物の外観や周辺環境も確認しやすいため、成約率が高まる傾向があります。逆に12月〜2月の冬季は内覧数が減少するため、春に向けて準備を進めておくのが賢明です。
相続から売却完了までのスケジュールと必要書類
3000万円控除の適用期限から逆算して、いつまでに何をすべきかを整理しておきましょう。期限切れで数百万円の控除を失うことがないよう、計画的に進めることが大切です。
3年以内の売却期限から逆算した行動計画
たとえば2026年8月に相続が発生した場合、売却期限は2029年12月31日です。一見余裕があるように見えますが、実際の売却活動には時間がかかります。
- 相続発生〜3か月:遺産分割協議・相続登記の準備
- 3〜6か月:相続登記完了・不動産会社への査定依頼
- 6〜12か月:売却活動の開始(媒介契約の締結)
- 12〜24か月:買主探し・価格交渉・売買契約の締結
- 契約後1〜2か月:決済・引渡し・所有権移転登記
- 翌年2〜3月:確定申告で特例適用を申告
札幌の市街地エリアであれば平均3〜6か月程度で買主が見つかることが多いですが、郊外の物件では1年以上かかるケースもあります。早めに動き始めることで、価格交渉にも余裕が生まれます。
確定申告までに揃える書類一覧
特例の適用を受けるために必要な主な書類は以下のとおりです。
- 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)
- 売買契約書のコピー
- 登記事項証明書(建物・土地)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本
- 耐震基準適合証明書(耐震リフォームの場合)または取壊し証明書
とくに「被相続人居住用家屋等確認書」は市区町村への申請が必要で、発行まで2〜4週間かかることがあります。確定申告直前に慌てないよう、売却完了後すぐに取得手続きを始めてください。
札幌市の空き家補助金との併用と活用術
札幌市には独自の空き家対策関連の補助制度があります。3000万円控除との併用可否を正しく理解し、使える制度はすべて活用しましょう。
除却補助金と3000万円控除の併用可否
札幌市では、老朽化した危険空き家の除却(解体)に対して補助金を交付する制度を設けています。補助額は解体費用の一部で、上限は50万〜100万円程度とされています(年度や事業により変動)。
この除却補助金と3000万円特別控除は、制度の趣旨が異なるため原則として併用が可能と考えられています。ただし、補助金の交付要件や時期によっては控除の適用要件と重なる部分もあるため、事前に札幌市の担当窓口と税理士の双方に確認されることをおすすめします。
JR・地下鉄沿線の需要差を踏まえた売却判断
札幌市内でも、地下鉄沿線とJR沿線では相続空き家の売れやすさに大きな差があります。
- 地下鉄沿線:駅徒歩圏内であれば需要が高く、更地にして売却すると住宅用地として買い手がつきやすい
- JR沿線:駅周辺は一定の需要があるが、駅から離れると売却に時間がかかる傾向がある
- 郊外エリア:買い手が限られるため、早めの価格設定見直しや買取業者への相談も選択肢に入れる
道内の不動産市場では、札幌市街地エリアの土地は底堅い需要がありますが、郊外に向かうほど売却期間が長期化します。特例の期限を考慮し、立地に応じた売却戦略を早めに立てることが重要です。
特例を使って売却する際の注意点
3000万円控除の特例には、適用できないケースや注意すべきポイントがいくつかあります。事前に把握しておくことで、想定外の事態を避けられます。
共有名義の場合の控除額の考え方
相続人が複数いて共有名義で空き家を相続した場合、各相続人がそれぞれ最大3000万円の控除を受けられます。たとえば兄弟2人で相続した場合、合計で最大6000万円の控除が可能です。
ただし、各相続人が個別に要件を満たす必要があり、確定申告もそれぞれが行います。持分割合に応じた譲渡所得の計算が必要になるため、共有名義の場合は税理士への相談を強くおすすめします。
特例が使えないケースと代替手段
以下に該当する場合は、残念ながらこの特例を適用できません。
- 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された建物
- 相続後に賃貸に出したことがある物件
- マンション(区分所有建物)の相続
- 譲渡対価が1億円を超える場合
- 売却期限(相続開始から3年後の年末)を過ぎた場合
特例が使えない場合でも、取得費加算の特例(相続税を取得費に加算できる制度)や、居住用財産の3000万円控除(相続人が居住していた場合)など、別の税制優遇を検討できる場合があります。
どの制度が最も有利かはケースバイケースのため、北海道内の不動産税務に詳しい税理士への相談をおすすめします。当社でも提携の専門家をご紹介可能です。
よくある質問
Q: 相続した空き家の3000万円控除はいつまでに売却すれば適用できますか?
A: 相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡(引渡し)を完了する必要があります。
たとえば2026年4月に相続が発生した場合、期限は2029年12月31日です。売却活動には半年〜1年以上かかることもあるため、早めに準備を始めることが大切です。
Q: 空き家を取り壊してから土地を売った場合でも3000万円控除は使えますか?
A: 2024年1月1日以降の譲渡であれば、取壊し後の敷地譲渡も特例の対象になります。これは2024年の税制改正で追加された適用パターンです。
ただし、取壊し後から譲渡までの間に、その敷地を駐車場などの貸付用途に使っていないことが条件となります。更地のまま管理し、売却することが求められます。
Q: 相続登記がまだ済んでいない空き家でも売却や特例申請はできますか?
A: 売買契約の締結自体は相続登記が未了でも可能ですが、所有権移転登記(決済・引渡し)の前には相続登記を完了しておく必要があります。
また、特例の確定申告時には登記事項証明書の提出が求められるため、実質的に相続登記は必須です。2024年4月から相続登記が義務化されていますので、早めの対応をおすすめします。
Q: 札幌市の空き家除却補助金と3000万円特別控除は併用できますか?
A: 除却補助金は市の住環境整備を目的とした制度、3000万円控除は国の税制上の特例であり、制度趣旨が異なるため原則として併用は可能と考えられています。
ただし、補助金の交付条件や年度ごとの要綱により取扱いが変わる可能性があります。申請前に札幌市の担当課と税理士の双方に確認されることをおすすめします。
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