マンションを手放す際、「売却すべきか、賃貸に出すべきか」と迷うお客様は少なくありません。
全国的な一般論では「どちらにもメリットがある」と曖昧に結論づける記事が多いです。しかし、札幌の成約価格・空室率・人口動態を踏まえると、答えは大きく変わります。
当社が培ってきた地元密着の取引実績をもとに、2026年現在の札幌市場で「どちらが得か」を数字で解説します。
まず「売却」と「賃貸」の本質的な違いを整理しましょう。選択の出発点となる考え方です。
売却は一時的にまとまった現金が手に入りますが、その後の収入はありません。
賃貸は毎月継続して家賃収入が入りますが、管理費・修繕積立金・空室期間などのコストが収益を圧迫します。
「いつ手元に現金が必要か」という視点が、最初の判断軸になります。
以下の点を最初に確認してください。
マンション売却の基本的な流れもあわせてご確認ください。
売却は一度の取引で完結するシンプルな選択です。手取り額と将来の資産運用をしっかり計算することが重要です。
仮に2,500万円で売却できた場合、諸費用を差し引いた手取りを資産運用に回すと、以下のような長期試算になります。
売却後の資金を運用に回すことで、賃貸収入と比較できる長期リターンを得られる可能性があります。
一方、売却後は物件という資産そのものを手放すため、不動産価格の値上がりによる恩恵は受けられません。
売却価格がそのまま手取りになるわけではありません。主な費用は以下の通りです。
売却価格から諸費用を差し引いた実質手取り額を事前に把握することが重要です。
売却にかかる費用と手取り額の目安で詳しく解説しています。
「家賃収入が入り続けるから賃貸の方が得」と考えがちですが、実際の収支は名目利回りを大幅に下回ることが多いです。
月額家賃8万円、管理費・修繕積立金が合計月2万円のマンションを想定します。
名目表面利回りは年96万円÷2,500万円=約3.8%です。しかし実際には以下のコストが加わります。
これらを差し引いた実質利回りは1〜2%前後になることも珍しくありません。
さらに築年数が経つほど修繕積立金が値上がりし、管理費も増額されるケースがあります。名目と実質の乖離は年々拡大する傾向があります。
賃貸で見落とされがちなのが空室リスクと家賃下落リスクです。
入居者の退去から次の入居まで平均2〜4ヶ月の空室が生じることがあります。この間も管理費・修繕積立金・固定資産税は発生し続けます。
また賃料相場は築年数とともに下落傾向があります。10年後には現在の賃料より10〜20%低下するケースも珍しくありません。
収益物件として賃貸に出す場合の注意点もご参照ください。
全国一律の賃貸楽観論は、札幌・北海道の人口動態を無視した議論です。地元の実態をデータで確認します。
札幌市の人口は近年、転出超過と少子高齢化によって緩やかな減少フェーズに入りつつあります。
道内他市町村からの流入は続いているものの、首都圏・東京圏への転出が増加傾向にあります。
地下鉄沿線エリアは比較的需要が安定していますが、JR沿線や郊外エリアでは空室率の上昇が顕著です。
市街地エリアでも築古マンションの空室長期化は進んでおり、「立地が良ければ入居者は決まる」という楽観論は通用しにくくなっています。
札幌市内のマンション空室率は、築10年超の物件で10〜15%程度に達するエリアも存在します。
空室率が10%の場合、年間で約1.2ヶ月分の家賃収入がゼロになる計算です。
月額8万円の物件なら年間で約10万円の損失となります。これが20年継続すると累計200万円の空室損失になります。
高齢化による単身世帯の増加と若年層の転出超過が同時進行する、北海道特有の構造的な問題です。
全国平均ではなく、札幌の実際の成約価格と賃料相場をもとに比較します。
以下は築15年・70㎡・地下鉄沿線のマンションを想定した試算です。
この試算では、売却後に資産運用を行う方が長期的に有利になる結果となります。
ただし物件価格が将来さらに値上がりする可能性がある場合は、この限りではありません。
賃貸と売却の損益分岐点(賃貸収益が売却後運用益を超える年数)は、物件条件によって異なります。
多くのケースで20年以内に売却の方が有利になる試算結果が出ます。
ただしあくまで一般的な試算であり、個別の物件条件・ローン残債・税制によって大きく変わります。
「売却か賃貸か」を決める際は、年齢・資金状況・物件築年数・ローン残債の4軸で状況を整理してください。
以下に当てはまるお客様は、売却を優先的に検討することをお勧めします。
以下に当てはまる場合は、賃貸を検討する価値があります。
迷った場合はまず無料査定で売却価格を確認してから判断するのが賢明です。
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売却と賃貸では、かかる税金の種類と計算方法が大きく異なります。意思決定の前に必ず確認してください。
自宅マンションを売却する場合、3,000万円の特別控除が一般的に適用されます。
これは譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できる制度で、多くのケースで税負担が大きく軽減されます。
一方、賃貸に出すと毎年の家賃収入が不動産所得として課税されます。給与所得と合算して累進課税が適用されるため、収入が多いお客様ほど実質的な税負担が重くなる可能性があります。
賃貸収入が年間20万円超の場合、確定申告が必要です。
管理費・修繕積立金・賃貸管理費・固定資産税・ローン利息などは経費として計上でき、課税所得を圧縮できます。
ただし売却時に3,000万円特別控除を使うためには「居住用財産」であることが条件です。
賃貸に転用した後に売却する場合、原則としてこの特例は適用されなくなることが多いため注意が必要です。具体的な税務の判断は税理士にご相談されることをお勧めします。
A: 賃貸中でも売却への切り替えは可能です。ただし入居者がいる場合は退去してもらうか、入居者付きの「オーナーチェンジ物件」として売却する形になります。
また一度賃貸に出すと3,000万円特別控除が適用されなくなる可能性が高く、税負担が増えるリスクがあります。売却を視野に入れているなら、早めの決断が有利なケースが多いです。
A: 自宅として使用してきたマンションを売却する場合、3,000万円特別控除が一般的に使え、多くのケースで税負担が大幅に軽減されます。これが売却の大きな税制メリットです。
賃貸の場合は毎年の家賃収入に所得税がかかり、給与と合算されます。高所得のお客様ほど税負担が重くなる傾向があります。税金面では居住用特例を活用できるタイミングでの売却が有利になることが多いです。
A: 分譲マンションを賃貸に出す場合、管理費・修繕積立金はオーナー負担のままです。これらを家賃に転嫁できる場合もありますが、相場家賃との兼ね合いで難しいことも多くあります。
確定申告では管理費・修繕積立金を経費計上できます。ただし実質利回りを計算する際は必ずこれらを差し引いて計算し、名目利回りのみで判断しないよう注意してください。
A: 以下の4点を確認して判断することをお勧めします。まず市場価格が高水準にある今は売却に有利な環境です。次に築年数が20年を超えると修繕積立金の増額が見込まれ、賃貸収益が圧迫されます。
ローン残債が多い場合は賃貸収益で返済が賄えるか慎重に確認が必要です。また空室リスクについては、地下鉄沿線の好立地でも2〜3ヶ月の空室は想定しておく必要があります。迷う場合はまず無料査定で現在の売却価格を確認することを推奨します。
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