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2026/09/15

ブログ

委任状で不動産を売る|必要な記載と司法書士の本人確認

先に結論です。本人が決済に行けなくても、委任状があれば不動産は売れます。遠方に住んでいる、仕事が休めない、入院している、高齢で外出が難しい。どれもよくある事情で、実務では珍しくありません。

ただし、委任状は書式が決まっているわけではなく、内容が曖昧だと登記が通りません。司法書士が作ったものを使い、実印を押して、印鑑証明書を添えるのが基本です。自分で書いた簡単な一筆では足りません。

委任状に必要な内容

  • 委任する人(売主)と、委任を受ける人(代理人)の氏名・住所
  • 対象の不動産の表示(登記簿どおりの所在・地番・家屋番号)
  • 委任する行為の範囲(売買契約の締結、代金の受領、登記申請、抵当権抹消など)
  • 売買代金の額、または下限の金額
  • 作成の日付
  • 売主の実印による押印

とくに「委任する行為の範囲」が大事です。契約だけを委任するのか、代金の受領まで含めるのか、登記の申請まで任せるのか。ここが書かれていないと、その場で手続きが止まります。

金額を白紙にした委任状は危険です。代理人が安く売ってしまっても、売主は文句を言えません。売買代金の額か、これ以上安くは売らないという下限を必ず書いてください。

一緒に必要な書類

  1. 委任状(実印を押したもの)
  2. 売主の印鑑証明書(発行から3か月以内)
  3. 売主の本人確認書類の写し
  4. 代理人の本人確認書類(当日、原本を持参)
  5. 登記識別情報通知(権利証)
  6. 固定資産税の納税通知書

印鑑証明書の3か月という期限に注意してください。契約から決済まで1か月から2か月あるため、契約のときに取ったものが決済で期限切れになることがあります。

司法書士が本人に確認する

代理人が来る取引でも、司法書士は売主本人の意思を確認します。これは省略できません。方法は次のようなものです。

  • 司法書士が事前に本人を訪問する
  • 電話で本人と話す
  • オンラインの面談で顔を見て確認する

本人と連絡が取れない、話ができないという状態では、委任状があっても登記は通りません。ここは制度の根幹なので、抜け道はないと考えてください。

遠方にお住まいの売主の場合、司法書士が現地まで出向くこともあります。その場合は出張費がかかります。事前に確認しておいてください。

誰に委任するか

親族に委任する

配偶者、子、兄弟に頼むのがもっとも多い形です。ただし、共有名義で、共有者どうしが委任し合う場合は注意が要ります。利益が相反する関係になると、別の対応が必要になることがあります。

司法書士に委任する

登記の申請については、もともと司法書士に委任します。売買契約そのものの代理は別の話なので、どこまで任せるかを整理してください。

不動産会社に委任する

仲介する会社が代理人になることは、利益が相反するため避けるのが通常です。当社でも、売主の代理人として契約を締結することはしていません。

本人が判断できない場合は委任状では足りない

認知症が進んでいる、意識がない、といった状態では、委任状を書いても無効です。本人に意思能力がないためです。この場合は成年後見の手続きが必要になります。

  • 家庭裁判所に成年後見開始の申立てをする
  • 後見人が選任されるまで、数か月かかる
  • 自宅を売るには、家庭裁判所の許可が別途必要
  • 後見人は、売却が本人のためになるかを説明する必要がある

親が施設に入った後に実家を売ろうとして、この壁にぶつかる方が多くいます。判断ができるうちに、売るかどうかを話しておくのがいちばんです。すでに難しい状態なら、早めに司法書士か弁護士にご相談ください。

札幌の物件を道外から売るとき

相続で札幌の実家を引き継いだが、自分は道外にいるという相談は多くあります。この場合の進め方です。

  1. 登記簿と公図を取り、名義と地積を確認する(郵送でもオンラインでも取得できる)
  2. 現地の状況は、当社が写真を撮って報告する
  3. 査定額を書面で確認する
  4. 媒介契約は郵送でやりとりする
  5. 売買契約は、代理人に委任するか、持ち回りで締結する
  6. 決済は代理人に委任するか、一度だけ札幌に来ていただく

実務では、契約を郵送の持ち回りで済ませ、決済の日だけ来ていただくという形が多くあります。代理人を立てるより、一度の往復で済むほうが結果的に楽なこともあります。

冬の札幌は、飛行機が欠航することがあります。決済の日を冬に設定する場合、前日入りするか、代理人を立てておくか、どちらかの備えをしておいてください。

まとめ

  • 委任状があれば、本人が行かなくても売れる
  • 委任する行為の範囲と、金額を必ず書く
  • 実印と、3か月以内の印鑑証明書が必要
  • 司法書士による本人の意思確認は省略できない
  • 本人が判断できない状態では、委任状は無効。成年後見が必要
  • 道外からなら、契約は郵送、決済だけ来るという形もある

委任状の書式や、後見の手続きについては司法書士または弁護士にご確認ください。ここでは売却実務での進め方を整理しています。

よくあるご質問

本人が行けなくても売れますか。

委任状があれば売れます。遠方、仕事、入院、高齢で外出が難しいといった事情は珍しくありません。

委任状には何を書きますか。

委任する人と代理人の氏名住所、対象不動産の表示、委任する行為の範囲、売買代金の額か下限、日付、実印の押印です。行為の範囲が書かれていないと手続きが止まります。

金額は書かなくてもいいですか。

必ず書いてください。白紙だと代理人が安く売っても文句を言えません。売買代金の額か、これ以上安くは売らないという下限を記載します。

印鑑証明書はいつのものが必要ですか。

発行から3か月以内のものです。契約から決済まで1か月から2か月あるため、契約時に取ったものが決済で期限切れになることがあります。

代理人を立てれば本人の確認は不要ですか。

不要にはなりません。司法書士が売主本人の意思を必ず確認します。訪問、電話、オンライン面談のいずれかで行います。

親が認知症です。委任状を書いてもらえば売れますか。

売れません。意思能力がない状態で書かれた委任状は無効です。成年後見の手続きが必要で、自宅を売るには家庭裁判所の許可も要ります。

不動産会社に代理人になってもらえますか。

利益が相反するため、通常は行いません。当社でも売主の代理人として契約を締結することはしていません。

道外に住んでいます。何回札幌に行けばいいですか。

契約を郵送の持ち回りで済ませ、決済の日だけお越しいただく形が多くあります。代理人を立てれば、来ていただかずに完了させることもできます。

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