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2026/09/15
所有権移転登記の実務|決済当日の流れと売主が用意する書類
不動産を売ったとき、名義を買主に移す手続きを所有権移転登記といいます。この登記が終わってはじめて、売買は本当に完了します。契約書にサインをした時点ではまだ途中で、決済の日に代金を受け取り、同時に登記の申請をして、ようやく終わりです。
売主として知っておきたいのは、この登記がお金の受け渡しと同じ日に、同じ場所で、同時に行われるという点です。先に名義だけ移すことも、先にお金だけ受け取ることもしません。司法書士が立ち会い、書類がそろっていることを確認してから、銀行が振込を実行します。
決済の当日に書類が1枚足りないと、その日の取引は成立しません。印鑑証明書の日付が古い、住民票の住所が登記と違う、といった理由で止まることが実際にあります。前日までに司法書士と最終確認をしてください。
決済の日に何が起きるか
買主の銀行の一室に、売主・買主・双方の仲介会社・司法書士が集まります。所要時間は1時間から1時間半ほどです。流れは次のようになります。
- 司法書士が売主と買主の本人確認をする
- 売主が用意した書類を司法書士がすべて点検する
- 書類に問題がないことを確認したら、買主が振込を実行する
- 売主の口座に着金したことを確認する
- 住宅ローンが残っている場合は、その場で銀行に返済する
- 固定資産税や管理費の精算をする
- 仲介手数料と司法書士報酬を支払う
- 鍵と書類一式を買主に引き渡す
- 司法書士が法務局へ登記を申請する
登記が完了するのは数日後
申請したその日に名義が変わるわけではありません。法務局での処理に1週間から10日ほどかかります。ただし、申請を受け付けた時点で順番が確保されるため、売主が後から二重に売ることはできなくなります。完了すると、買主に新しい登記識別情報が届きます。売主にはとくに届くものはありません。
売主が用意する書類
必ず必要なもの
権利証(または登記識別情報)、印鑑証明書、実印、本人確認書類、固定資産評価証明書です。印鑑証明書は発行から3か月以内のものが求められます。決済日が延びると期限切れになるため、取るタイミングは司法書士に確認してください。
住所や氏名が変わっている場合
登記されている住所と、今の住民票の住所が違う場合は、先に住所変更の登記が必要です。結婚などで氏名が変わっている場合も同じです。これをやらずに決済日を迎えると、その日の取引が流れます。引っ越しを何度もしている場合は、つながりを示すために戸籍の附票などが必要になることがあります。
住宅ローンが残っている場合
抵当権を外す手続きが加わります。返済する銀行から、抵当権抹消に必要な書類を決済日に受け取ります。この書類の手配には銀行側で2〜3週間かかるのが普通です。決済日が決まったらすぐ銀行に連絡してください。ここが遅れて日程がずれる例が多いです。
権利証が見つからない場合でも売却はできます。司法書士がご本人と面談して本人確認情報を作る方法があり、追加の費用がかかりますが手続きは進められます。決済日の直前に気づくと間に合わないことがあるので、早めに探しておいてください。
費用は誰が負担するのか
買主が負担するもの
所有権移転登記の登録免許税と、その司法書士報酬は、慣習として買主の負担です。買主が住宅ローンを使う場合の抵当権設定登記も買主の負担になります。売主が気にする必要はありません。
売主が負担するもの
抵当権を外す登記と、住所や氏名の変更登記は売主の負担です。抵当権抹消は不動産1個につき1,000円で、土地と建物があれば2,000円。これに司法書士報酬が加わります。住所変更登記も同じく1個1,000円です。金額としては大きくありませんが、忘れると決済が止まります。
司法書士は誰が選ぶか
実務では、買主側または買主の銀行が指定した司法書士が担当することがほとんどです。お金を出す側の安全を確保するためです。売主が別の司法書士を立てることもできますが、その分費用が二重にかかります。特別な事情がなければ、買主側の司法書士に任せてかまいません。
決済が止まりやすいところ
住所変更登記を忘れていた
一番多い原因です。登記の住所が前の家のままになっていると、そのままでは名義を移せません。売り出す前に登記事項証明書を取り、住所と氏名が今のものと一致しているか確認してください。
共有者の一人が来られない
共有名義の場合、原則として全員が決済に出席します。遠方にお住まいの方や入院中の方がいる場合は、委任状を用意して代理人に来てもらう形にします。委任状には実印を押し、印鑑証明書を添えます。司法書士が事前にご本人の意思を確認する必要があるため、早めに伝えてください。
銀行の書類が間に合わない
抵当権を外す書類の手配が遅れて、決済日を動かすことになる例が実際にあります。決済日が決まったその日のうちに銀行へ連絡してください。とくに年末年始と大型連休をまたぐ場合は、余裕を多めに見てください。
雪で境界が確認できない
札幌特有の事情です。土地を売る場合、境界の確認や測量を求められることがありますが、雪の下では杭が見えず作業ができません。冬に契約して春に決済する、という日程を組むことがあります。売り出す時期を決める前に、境界が確定しているかどうかを確認しておくと安心です。
売る前にやることのまとめ
- 登記事項証明書を取り、名義・住所・氏名が今のものと一致しているか確認する
- 権利証(登記識別情報)が手元にあるか探す
- 住宅ローンが残っていれば、残高証明を取り、決済日が決まり次第すぐ銀行に連絡する
- 住所や氏名が変わっていれば、先に変更登記を済ませる
- 共有名義なら、全員が決済に出られるかを早めに確認する
- 印鑑証明書は司法書士の指示に合わせて取得する
- 決済日の前日までに、書類の最終確認をする
いつ売り出すのがよいか
戸建て・土地
札幌では4月から6月が動きます。この時期は測量や境界の立会いもできるため、決済までの日程が組みやすくなります。逆に12月から3月に土地を売る場合は、雪解け後の決済を前提にした契約にすることが多くなります。
マンション
季節の影響が小さく、通年で売り出せます。2月から3月と9月から10月に問い合わせが増えます。管理組合から必要な書類を取り寄せる時間を見込んでください。
よくあるご質問
名義変更はいつ行われますか。
決済の日に、代金の受け渡しと同時に司法書士が法務局へ申請します。契約日ではありません。法務局での処理が終わって実際に名義が変わるのは、申請から1週間から10日ほど後です。
登記の費用は売主と買主のどちらが払いますか。
名義を移す登記の費用は買主の負担が慣習です。売主が負担するのは、抵当権を外す登記と、住所や氏名の変更登記の費用です。
司法書士は自分で選べますか。
選べますが、実務では買主側または買主の銀行が指定した司法書士が担当するのが一般的です。売主が別に立てると費用が二重にかかります。
登記の住所が前の家のままです。どうなりますか。
そのままでは名義を移せません。先に住所変更の登記が必要です。売り出す前に登記事項証明書を取って確認しておいてください。決済日の直前に気づくと日程が動きます。
権利証をなくしてしまいました。売れますか。
売れます。司法書士がご本人と面談して本人確認情報を作る方法があります。追加の費用と日数がかかるため、早めに司法書士へ伝えてください。
共有名義ですが、全員が決済に行けません。
委任状と印鑑証明書を用意して、代理人に出席してもらう形が取れます。司法書士が事前にご本人の意思を確認しますので、日程に余裕を持って伝えてください。
決済当日にかかる時間はどれくらいですか。
1時間から1時間半ほどです。買主の銀行の一室で行うことが多く、本人確認、書類の点検、振込、精算、鍵の引き渡しまでを一度に済ませます。
住宅ローンが残っていても売れますか。
売れます。決済の日に、受け取った代金でその場で返済し、抵当権を外します。銀行に必要書類を手配してもらうのに2〜3週間かかるため、決済日が決まったらすぐ連絡してください。
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