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2026/06/28

コラム

親族間の不動産売却|税金と注意点

親族間の不動産売却|税金と注意点

「親から子へ家を売りたいが、税金はどうなるのか」「兄弟間で土地を売買したいが注意点がわからない」。こうしたご相談を、当社でも年間を通じて多くいただいています。

 

 

親族間の不動産売却は、通常の売買と異なる税務リスクや審査上のハードルがあり、知らずに進めると数百万円単位の追徴課税につながるケースもあります。

 

 

この記事では、札幌エリアの地価データも交えながら、親族間売買で押さえるべき税金の仕組みと実務上の注意点を詳しく解説します。

 

 

 

親族間の不動産売買と通常売却の違い

 

親族間売買とは、親子・兄弟姉妹・配偶者など一定の親族の間で不動産を売買する取引です。まずは通常の売却との違いを整理しましょう。

 

 

 

親族間売買の定義と対象となる親族の範囲

 

税務上、「親族」とは6親等以内の血族と3親等以内の姻族を指します(民法725条)。つまり、いとこ同士の売買や、配偶者の兄弟への売却も「親族間売買」に該当します。

 

 

一般的な感覚より範囲が広いため、「親族間売買に当たると思っていなかった」というケースも少なくありません。

 

 

 

通常の不動産売却と異なる3つのポイント

 

親族間売買には、通常売却にはない特有のリスクと制約があります。

  • みなし贈与リスク:時価より著しく低い価格で売買すると、差額に贈与税が課される
  • 住宅ローン審査の厳格化:金融機関が親族間売買への融資を制限する傾向がある
  • 税務署からの調査リスク:売買価格の妥当性について税務署から問い合わせを受ける可能性が高い

これらのポイントを理解せずに進めると、想定外の税負担が生じます。不動産売却の基本的な流れと費用については、不動産売却の方法と費用の基本もあわせてご確認ください。

 

 

 

親族間売買にかかる税金の種類と計算の仕組み

 

親族間であっても不動産売買には複数の税金が発生します。売主・買主それぞれの負担を正しく把握しておきましょう。

 

 

 

譲渡所得税・印紙税・登録免許税の基本

 

親族間売買で発生する主な税金は以下のとおりです。

  • 譲渡所得税(売主負担):売却益に対して所有期間5年超なら約20.315%、5年以下なら約39.63%が課税される
  • 印紙税(売主・買主で折半が一般的):売買契約書に貼付。売買価格1,000万円超〜5,000万円以下で1万円
  • 登録免許税(買主負担):所有権移転登記に固定資産税評価額の2%が必要

なお、親族間売買では売主に適用される「3,000万円特別控除」が使えないケースがあります。特に、売主と買主が同居親族の場合や生計を一にする親族への売却では、特別控除の対象外となる点に注意が必要です。

 

 

 

不動産取得税と固定資産税の精算についての注意

 

買主側には、不動産取得税もかかります。土地・建物の固定資産税評価額に対し、原則税率4%(住宅用は軽減措置で3%)が課されます。

 

 

また、固定資産税の精算も忘れがちな注意点です。1月1日時点の所有者に課税されるため、年度途中で売買した場合は日割り精算するのが一般的です。

 

 

親族間だからといって「精算はしなくていい」と曖昧にすると、後々トラブルの原因になります。契約書に精算方法を明記しましょう。

 

 

 

みなし贈与の判定基準と適正価格の算出方法

 

親族間売買で最も注意すべきリスクが「みなし贈与」です。税務署がどのような基準で判定するのか、具体的に解説します。

 

 

 

時価の何割以下でみなし贈与になるか具体的な線引き

 

相続税法第7条では、著しく低い価格での売買は贈与とみなされると規定されています。では「著しく低い」とは具体的にどの程度でしょうか。

 

 

明確な法定基準はありませんが、過去の判例や国税庁の運用から、時価の80%を下回る価格での売買はみなし贈与と判定されるリスクが高いとされています。

 

 

たとえば時価2,000万円の物件を1,400万円(時価の70%)で親族に売却した場合、差額600万円が贈与とみなされ、贈与税が約82万円発生する可能性があります(暦年課税・基礎控除110万円差引後)。

 

 

安全に取引を進めるには、時価の80%以上、できれば85〜90%以上の価格設定が望ましいでしょう。

 

 

 

不動産鑑定士への依頼で税務署リスクを下げる方法

 

適正価格の根拠を客観的に示すには、不動産鑑定士による鑑定評価書が最も有効です。

  • 鑑定費用の目安:一般的な住宅で20万〜30万円程度、土地のみなら15万〜25万円程度
  • 簡易査定との違い:不動産会社の無料査定は参考価格であり、税務署に対する証拠力は弱い
  • 鑑定のタイミング:売買契約を締結する前に依頼し、鑑定価格を基に売買価格を決定するのが理想

鑑定費用は数十万円かかりますが、みなし贈与と判定された場合の追徴税額と比較すれば、十分に元が取れる投資です。特に売買価格が1,000万円を超える取引では、鑑定評価書の取得を強くお勧めします。

 

 

 

住宅ローン審査が通りにくい理由と代替の資金調達手段

 

親族間売買では、住宅ローンの審査が通りにくいという現実があります。資金調達の選択肢を事前に把握しておきましょう。

 

 

 

金融機関が親族間売買を警戒する背景

 

多くの金融機関が親族間売買への住宅ローン融資に消極的な理由は、主に以下の3点です。

  • 売買価格の妥当性が疑わしい:市場取引と異なり、価格操作の余地がある
  • 資金流用のリスク:ローンで得た資金を売主・買主間で融通する懸念がある
  • 担保評価との乖離:売買価格と担保評価額に差が生じやすい

大手メガバンクでは親族間売買の融資を原則取り扱わないケースが多く、地方銀行や信用金庫でも審査が厳格化される傾向にあります。ただし、一部のノンバンクや親族間売買に対応可能な金融機関も存在するため、事前に複数の金融機関へ相談することが重要です。

 

 

 

分割払い契約・親族間ローンの実務と注意点

 

住宅ローンが利用できない場合、以下の代替手段を検討できます。

  • 分割払い契約:売主と買主の間で分割払いの契約書を作成する方法。無利息にすると贈与とみなされるリスクがあるため、年1〜2%程度の利息設定が望ましい
  • 親族間ローン:親が子に融資する形で金銭消費貸借契約を締結する方法。返済の実態を銀行口座の振込記録で残すことが重要
  • 自己資金での一括購入:資金に余裕がある場合は最もシンプルな方法

分割払いや親族間ローンを利用する場合は、契約書の作成と公正証書化が重要です。口約束だけで進めると、税務署から実質的な贈与と判定される可能性があります。返済期間は一般的に10年〜20年、金額に応じた合理的な設定が求められます。

 

 

 

札幌エリアの地価動向が適正価格に与える影響

 

親族間売買の適正価格を算出するうえで、地域の地価動向は非常に重要な要素です。北海道、とりわけ札幌圏の最新動向を押さえておきましょう。

 

 

 

札幌圏の地価上昇と郊外下落の二極化

 

2026年の地価公示によると、札幌市の住宅地は前年比で平均約3〜5%の上昇が続いています。地下鉄沿線やJR沿線の駅徒歩圏は特に上昇傾向が顕著で、市街地エリアでは1㎡あたり10万円を超える地点も珍しくありません。

 

 

一方、道内の郊外エリアでは地価の横ばいや下落が見られ、二極化が進んでいます。この地価変動の差は、親族間売買における適正価格の算定に大きく影響します。

 

 

たとえば、5年前に購入した札幌市内の土地が当時より20〜30%上昇しているケースでは、取得時の価格で親族に売却するとみなし贈与のリスクが高まります。

 

 

 

地価公示データを活用した時価設定の実務

 

適正価格を設定する際には、以下のデータを複合的に活用するのが実務上の標準的なアプローチです。

  • 地価公示価格:国土交通省が毎年1月1日時点で公表する基準価格
  • 路線価:国税庁が公表する相続税・贈与税の算定基準。公示価格の約80%が目安
  • 固定資産税評価額:市町村が算定する評価額。公示価格の約70%が目安
  • 実勢価格(取引事例):国土交通省の不動産取引価格情報で確認可能

札幌の不動産市場では、地下鉄沿線の人気エリアと郊外で㎡単価に2〜3倍の差が生じることもあります。札幌の土地売却について詳しく見るページでも地価傾向を解説していますので、あわせてご参照ください。

 

 

 

親族間売買の流れと必要書類チェックリスト

 

親族間の不動産売買は、以下の手順で進めるのが一般的です。漏れのないよう、流れを把握しておきましょう。

 

 

 

売買契約から所有権移転までの7ステップ

  • ステップ1:売買条件の合意(価格・引渡時期・支払方法を決定)
  • ステップ2:不動産鑑定士や不動産会社に適正価格の査定を依頼
  • ステップ3:売買契約書の作成(重要事項説明書が必要な場合は不動産会社に依頼)
  • ステップ4:資金調達の手配(ローン申請または分割払い契約の締結)
  • ステップ5:売買代金の決済と物件の引渡し
  • ステップ6:司法書士による所有権移転登記の申請
  • ステップ7:確定申告と税金の納付(売主は譲渡所得税、買主は不動産取得税)

 

 

 

必要書類一覧と取得先まとめ

 

親族間売買で必要となる主な書類は以下のとおりです。

  • 登記事項証明書:法務局で取得(手数料600円)
  • 固定資産税評価証明書:市区町村の税務課で取得
  • 印鑑証明書:市区町村窓口で取得(発行から3ヶ月以内)
  • 住民票:買主側が所有権移転登記に必要
  • 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカード
  • 売買契約書:不動産会社または司法書士が作成

相続で取得した物件を親族間で売買する場合は、遺産分割協議書や相続登記の完了が前提となります。相続物件の売却については相続物件の売却についてはこちらで詳しく解説しています。

 

 

 

トラブルを防ぐために不動産会社へ仲介を依頼するメリット

 

「親族同士だから仲介は不要」と考える方も多いですが、実務上は不動産会社が介在することで多くのリスクを回避できます。

 

 

 

第三者が入ることで税務リスクと親族トラブルを回避

 

親族間売買は感情的な要素が入りやすく、「もっと安くしてほしい」「他の兄弟は納得していない」といったトラブルが起こりがちです。

 

 

不動産会社が仲介に入ることで、以下のメリットが得られます。

  • 適正価格の根拠を提示:相場データに基づく査定額を示し、当事者間の価格交渉をスムーズにする
  • 契約書の法的整備:売買契約書や重要事項説明書を専門家が作成し、法的な抜け漏れを防ぐ
  • 税務署への説明材料:仲介を通じた取引であることが、適正な売買であったことの証拠になる

当社でも親族間売買の仲介実績があり、トラブルを未然に防ぐためのサポートを行っています。

 

 

 

重要事項説明書が融資審査で有利に働く理由

 

住宅ローンを利用して親族間売買を行う場合、金融機関から重要事項説明書の提出を求められることがほとんどです。

 

 

重要事項説明書は不動産会社(宅地建物取引業者)しか作成できない書類であり、物件の権利関係・法令上の制限・インフラ状況などを網羅的に記載します。この書類があることで、金融機関は物件のリスクを正しく評価でき、融資判断がスムーズに進みます。

 

 

仲介手数料は売買価格が400万円超の場合「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限ですが、税務トラブルの防止や融資の円滑化を考えれば、費用対効果は十分にあるといえます。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 親族間で不動産を売買すると贈与税がかかるのはどんなケースですか?

 

A: 時価より著しく低い価格で売買した場合に、時価と売買価格の差額が「みなし贈与」として贈与税の対象になります。一般的には時価の80%を下回る価格での売買がリスクラインとされています。

 

 

たとえば時価3,000万円の物件を2,000万円で売却すると、差額1,000万円に対して贈与税が発生する可能性があります。適正価格での取引を行い、根拠となる資料を準備しておくことが大切です。

 

 

 

Q: 親族間売買で住宅ローンは利用できますか?審査が厳しい理由は?

 

A: 利用できるケースはありますが、多くの金融機関では親族間売買への融資に慎重な姿勢をとっています。売買価格の妥当性に疑念が生じやすいことや、資金流用のリスクが審査厳格化の主な理由です。

 

 

対応可能な金融機関を探す場合は、地方銀行や信用金庫、親族間売買の実績がある金融機関に相談するのが有効です。不動産会社経由で紹介を受ける方法もあります。

 

 

 

Q: 親族間売買の適正価格はどうやって決めればいいですか?

 

A: 路線価(公示価格の約80%)や固定資産税評価額(公示価格の約70%)を参考にしつつ、最も確実なのは不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する方法です。費用は15万〜30万円程度が目安です。

 

 

鑑定評価書があれば、税務署から指摘を受けた際にも適正価格であった根拠を客観的に示すことができます。高額な取引ほど、鑑定評価の取得をお勧めします。

 

 

 

Q: 親族間売買でも不動産会社に仲介を依頼すべきですか?そのメリットは?

 

A: 仲介を依頼することで、売買契約書・重要事項説明書の作成、適正価格の査定、税務リスクの軽減といったメリットがあります。特に住宅ローンを利用する場合、重要事項説明書は金融機関から求められるため事実上必須です。

 

 

また、第三者である不動産会社が間に入ることで、親族間のトラブル防止にもつながります。仲介手数料の負担はありますが、税務上のリスク回避を含めた総合的な費用対効果で判断されることをお勧めします。

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