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2026/07/09

コラム

マンション売却 賃借人の退去前後どちらが有利?

マンション売却 賃借人の退去前後どちらが有利?

賃借人が住んでいるマンションを売却したいとき、「退去してもらってから売るべきか」「そのままオーナーチェンジで売るべきか」は多くのオーナー様が悩むポイントです。

 

 

判断を誤ると、売却価格に数百万円単位の差が生じることもあります。

 

 

この記事では、退去前と退去後それぞれの売却フローや価格差、立退き交渉の実務、札幌ならではの市場特性まで、オーナー様が最適な判断を下せるよう具体的に解説します。

 

 

 

賃借人がいるマンションを売却する2つの選択肢

 

賃貸中のマンション売却には、大きく分けて2つの方法があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、ご自身の状況に合わせた選択が重要です。

 

 

 

退去後に空室で売却する方法

 

賃借人に退去してもらい、空室の状態で売りに出す方法です。居住用物件として幅広い買い手層にアプローチできるため、一般的に売却価格は高くなります

 

 

ただし、退去交渉に時間がかかる場合があり、立退き料の負担が発生するケースもあります。退去完了まで売却活動を開始できない点もデメリットです。

 

 

 

退去前にオーナーチェンジで売却する方法

 

賃借人が住んだまま、収益物件として投資家に売却する方法です。退去交渉が不要で、賃料収入を得ながら売却活動を進められます。

 

 

一方、買い手が投資家に限定されるため、売却価格は空室時より下がる傾向にあります。

 

 

以下の比較表で、2つの方法の違いを整理します。

項目 退去後(空室売却) 退去前(オーナーチェンジ)
買い手層 居住用の一般購入者+投資家 投資家が中心
売却価格 相場に近い水準 相場より1〜3割低い傾向
売却までの期間 退去交渉+売却活動で長期化の可能性 比較的短期で成約しやすい
立退き料 発生する場合あり(家賃6〜12か月分) 不要
賃料収入 退去後は途絶える 売却完了まで継続

マンション売却の詳細はこちら

 

 

 

退去前と退去後で売却価格はどれだけ変わるか

 

賃借人の有無による価格差は、オーナー様にとって最も気になるポイントです。具体的な目安と札幌での実例をもとに解説します。

 

 

 

空室と賃貸中の価格差の目安

 

一般的に、賃貸中のマンションは空室時と比較して10〜30%程度価格が下がるとされています。価格差が生じる主な要因は以下の通りです。

  • 買い手が投資家に限定され、利回り基準で価格が決まるため
  • 購入後すぐに自己居住できないため、居住用ローンが使えない
  • 室内の内覧ができず、物件状態の確認が難しいため
  • 賃借人の属性や残存契約期間によるリスクが価格に反映されるため

たとえば空室なら2,500万円で売れるマンションが、賃貸中では1,750万円〜2,250万円程度になるイメージです。

 

 

 

札幌の買取事例に見る価格差データ

 

当社が札幌で取り扱った事例では、地下鉄沿線の築15年・3LDKのマンションで、空室時の査定額が2,200万円だったのに対し、賃貸中のオーナーチェンジ買取では1,760万円でした。差額は約440万円、率にして約20%です。

 

 

一方、利回り7%以上が見込める物件では、価格差が15%以内に収まるケースもあります。札幌は賃貸需要が安定しているため、道内の他エリアと比べるとオーナーチェンジでも値崩れしにくい傾向があります。

 

 

ただし築25年を超える物件では、空室にしてリフォーム後に売却したほうが、立退き料を差し引いても手取りが200〜400万円多くなった事例もあります。築年数と立地による個別判断が欠かせません。

 

 

 

賃借人に退去を求める際の法的ルールと正当事由

 

退去後の売却を選ぶ場合、賃借人に退去を求めるための法的な手続きを理解しておく必要があります。借地借家法のルールを正しく押さえましょう。

 

 

 

借地借家法が定める正当事由の要件

 

普通借家契約の場合、オーナー側から契約更新を拒絶するには「正当事由」が必要です。借地借家法第28条では、以下の要素を総合的に考慮すると定めています。

  • オーナー側の建物使用の必要性:自己居住や建替えの必要があるか
  • 賃借人側の建物使用の必要性:代替住居の確保が困難かどうか
  • 建物の現況:老朽化の程度や安全性の問題
  • 立退き料の提供:正当事由を補完する金銭的給付

「売却したい」という理由だけでは正当事由として認められないのが一般的です。多くの場合、立退き料の支払いによって正当事由を補完する形で交渉が進みます。

 

 

 

定期借家契約と普通借家契約で異なる対応

 

定期借家契約であれば、契約期間の満了により賃貸借関係が終了します。正当事由は不要で、期間満了の6か月前から1年前までに終了通知を出せば、契約満了時に退去を求められます。

 

 

普通借家契約の場合は、前述の正当事由が必要です。契約満了の6か月前までに更新拒絶の通知を行い、正当事由と立退き料の提示をセットで交渉するのが実務上の流れです。

 

 

現在の契約形態を確認することが、売却戦略を立てる第一歩といえます。

 

 

 

立退き交渉の進め方と立退き料の相場

 

退去後売却を選ぶ場合、避けて通れないのが立退き交渉です。交渉の手順と費用の目安を具体的に解説します。

 

 

 

交渉開始から退去完了までの流れ

 

立退き交渉は一般的に以下のステップで進みます。

  • 事前準備:契約書の確認、立退き料の予算設定、弁護士への相談
  • 書面での通知:契約満了6か月前までに更新拒絶の意思を文書で通知
  • 面談・交渉:退去時期と立退き料の条件を話し合い、合意形成を図る
  • 合意書の締結:退去日・立退き料・原状回復の範囲を書面で確定
  • 退去・明渡し:退去の確認と鍵の受領、敷金の精算

交渉開始から退去完了までの期間は、スムーズに進んで3〜6か月、難航した場合は1年以上かかるケースもあります。売却スケジュールに余裕を持たせることが大切です。

 

 

 

立退き料の相場感と費用対効果の考え方

 

立退き料の明確な法定基準はありませんが、実務上の相場は家賃の6〜12か月分が目安です。たとえば月額家賃が8万円の場合、48万円〜96万円が一つの交渉ラインになります。

 

 

ここで重要なのは費用対効果の計算です。立退き料を支払ってでも空室で売却したほうが有利かどうかは、以下の式で判断できます。

 

 

空室時の想定売却価格 −(オーナーチェンジの想定売却価格 + 立退き料 + 空室期間の逸失賃料)

 

 

この差額がプラスであれば退去後売却が有利、マイナスであればオーナーチェンジが合理的です。当社の経験では、差額が100万円以上プラスになる場合に退去後売却をお勧めするケースが多くなっています。

 

 

売却にかかる費用の全体像

 

 

 

札幌で賃貸中マンションを売却する際の市場特性

 

札幌には、他のエリアとは異なる独自の市場環境があります。売却判断に影響する2つの特性を押さえておきましょう。

 

 

 

転勤需要と地下鉄沿線の賃貸中物件の流動性

 

札幌は道内最大の経済都市であり、官公庁や大手企業の支店が集中しています。そのため転勤族による賃貸需要が年間を通じて安定しており、地下鉄沿線のマンションは空室リスクが低い特徴があります。

 

 

この安定した賃貸需要を背景に、札幌のオーナーチェンジ物件は投資家からの引き合いが比較的強い市場です。利回り6〜8%程度が見込める物件であれば、道内外の投資家から問い合わせが入りやすい傾向にあります。

 

 

 

冬季の退去・引越し困難が売却判断に与える影響

 

北海道の冬は11月から翌3月まで積雪が続き、引越し作業のコストと難易度が上がります。冬季の引越し費用は夏場と比べて1.3〜1.5倍になることも珍しくありません。

 

 

そのため、賃借人に退去を求める場合は、退去時期を4〜10月の間に設定するのが現実的です。冬場に退去交渉を始めると、引越し費用の加算分を立退き料に上乗せ請求される可能性も考慮しておきましょう。

 

 

札幌の市街地エリアでは、3〜4月の転勤シーズンに合わせて退去と売却活動を同時に進めるオーナー様が多く見られます。

 

 

 

退去前か退去後か判断するためのチェックリスト

 

ご自身の状況にどちらの方法が合っているか、以下のチェックリストで確認してみてください。

 

 

 

オーナーチェンジ(退去前売却)を選ぶべき5つの条件

  • 売却を急いでおり、3か月以内に現金化したい
  • 賃借人との関係が良好で、家賃滞納がない
  • 表面利回りが7%以上で、投資物件としての魅力がある
  • 立退き交渉に時間や費用をかけたくない
  • 築年数が浅く(築20年以内)、設備の劣化が少ない

 

 

 

退去後売却を選ぶべき5つの条件

  • 売却に6か月〜1年の時間的余裕がある
  • 定期借家契約で、契約満了が近い(残り1年以内)
  • 空室にすることで200万円以上の価格上昇が見込める
  • リフォームによる価値向上が期待でき、投資回収が可能
  • JR沿線や地下鉄沿線など、居住用としての需要が高い立地

チェック項目が3つ以上当てはまる方が、ご自身に合った売却方法です。判断に迷う場合は、両方のパターンで査定額を出してもらい、手取り額を比較することをお勧めします。

 

 

収益物件の売却についてはこちら

 

 

 

賃貸中マンションの売却先の選び方

 

売却方法が決まったら、次は「誰に売るか」の判断です。仲介と買取の違いを理解し、ご自身の状況に合った売却先を選びましょう。

 

 

 

仲介と買取の違いと判断基準

 

仲介は不動産会社が買い手を探す方法で、市場価格に近い金額で売れる可能性がある反面、成約まで平均3〜6か月かかります。仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)も発生します。

 

 

買取は不動産会社が直接購入する方法で、最短1〜2週間で現金化が可能です。仲介手数料もかかりません。ただし買取価格は市場価格の70〜80%程度が一般的です。

 

 

以下の基準で判断するとスムーズです。

  • 仲介が向いているケース:時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合
  • 買取が向いているケース:早期売却が最優先、または賃借人付きのまま売りたい場合
  • 買取業者選びのポイント:賃貸中物件の買取実績が豊富か、査定の根拠を明示してくれるか

札幌では、賃貸中マンションの買取に対応している業者が限られるため、複数社から査定を取って比較することが重要です。当社では賃借人付きのマンションも無料で査定を行っております。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 賃借人がいるままマンションを売却すると価格はどれくらい下がりますか?

 

A: 一般的に、空室時と比較して10〜30%程度価格が下がる傾向にあります。利回りや物件の立地条件、賃借人の属性によって変動幅は異なります。

 

 

札幌の地下鉄沿線など賃貸需要が高いエリアでは、価格差が15%以内に収まるケースもあります。正確な差額は、空室時とオーナーチェンジ時の両方で査定を依頼して比較するのが確実です。

 

 

 

Q: 賃借人に退去を求める場合、立退き料の相場はいくらですか?

 

A: 実務上の目安として、月額家賃の6〜12か月分が一般的な交渉ラインです。たとえば家賃7万円であれば42万円〜84万円程度です。

 

 

ただし法定の基準額はなく、賃借人の居住年数や転居先の確保しやすさ、交渉の進め方によって大きく変動します。弁護士に相談のうえ、適正な金額を検討されることをお勧めします。

 

 

 

Q: 賃貸借契約が定期借家契約の場合、売却タイミングはいつがベストですか?

 

A: 契約満了の6か月前から準備を始めるのが理想的です。満了の1年〜6か月前に終了通知を送付し、並行して売却活動の準備を進めます。

 

 

定期借家契約は正当事由なく契約を終了できるため、満了時期に合わせて空室売却を計画できます。売却活動自体は満了の3か月前頃から開始すると、退去後すぐに内覧対応が可能です。

 

 

 

Q: オーナーチェンジで売却した場合、賃借人への通知義務はありますか?

 

A: はい、所有権が移転した後に新オーナーから賃借人へ通知する義務があります。賃貸人の地位は所有権移転に伴い自動的に新オーナーに引き継がれます。

 

 

通知内容は、新オーナーの氏名・連絡先、賃料の振込先変更などです。通知が遅れると賃借人が旧口座に振り込み続けるトラブルが起きるため、所有権移転後速やかに書面で通知するのが一般的です。

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