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2026/07/18
省エネ基準が不動産売却に与える2025年改正の影響
省エネ基準が不動産売却に与える2025年改正の影響
2025年4月の建築物省エネ法改正により、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。この制度変更は、中古住宅の売却市場にも大きな影響を及ぼしています。
「自宅は省エネ基準を満たしているのか」「適合していない場合、査定額は下がるのか」。こうした不安を抱える売主様が増えています。
この記事では、省エネ基準の義務化が不動産売却にどのような影響を与えるのか、適合・未適合それぞれの対処法を具体的な数値とともに解説します。特に札幌など寒冷地の住宅が持つ優位性についても詳しくお伝えします。
2025年省エネ基準適合義務化とは
まず、省エネ基準の適合義務化の内容を正確に理解しておきましょう。
建築物省エネ法改正の概要
2025年4月に施行された改正建築物省エネ法では、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物に対して、省エネ基準への適合が義務となりました。それ以前は、延べ面積300㎡以上の中規模建築物のみが対象でしたが、改正後は小規模な戸建て住宅も含まれます。
省エネ基準の具体的な指標は、主に以下の2つです。
- 断熱等性能等級4以上:外皮性能(UA値)が地域ごとの基準を満たすこと。札幌を含む1・2地域ではUA値0.46W/㎡K以下が求められます
- 一次エネルギー消費量等級4以上:冷暖房・給湯・照明などの一次エネルギー消費量がBEI(Building Energy Index)1.0以下であること
既存住宅と新築住宅で異なる適用範囲
重要な点として、この適合義務化は新築住宅が対象です。既存住宅(中古住宅)については、売却時に省エネ基準への適合が法律上義務づけられているわけではありません。
ただし、2024年4月から始まった「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」により、不動産広告に省エネ性能ラベルの表示が努力義務となっています。この制度により、買主が省エネ性能を比較しやすくなったため、未適合物件は市場での競争力に影響が出始めています。
省エネ基準が中古住宅の査定額に与える影響
省エネ基準の義務化は、中古住宅の市場評価にも変化をもたらしています。
適合物件と未適合物件の価格差の実態
国土交通省の調査によると、省エネ性能が高い住宅は一般的な住宅と比較して約5〜10%程度高い価格で取引される傾向が見られます。断熱等級5以上(ZEH水準)の住宅では、さらに上乗せされるケースもあります。
一方、省エネ基準未適合の住宅は、築年数や立地条件が同等であっても査定額が低く抑えられる傾向が強まっています。特に築30年以上の住宅では、断熱等級2以下と評価される場合があり、買主から改修費用分の値引きを求められることも少なくありません。
買主の意識変化と市場トレンド
住宅金融支援機構の調査では、住宅購入者の約72%が「省エネ性能を重視する」と回答しています。光熱費への関心が高まっていることが背景にあります。
さらに、以下のような制度面の後押しもあり、省エネ性能の高い住宅への需要は今後も増加が見込まれます。
- 住宅ローン減税の要件厳格化:2024年以降、新築住宅で住宅ローン減税を受けるには省エネ基準適合が条件に。中古住宅の購入者も省エネ性能を意識するようになっています
- フラット35の金利優遇:省エネ基準適合住宅は金利引き下げの対象となり、買主にとって経済的メリットがあります
- 光熱費の上昇:電気・ガス料金の値上がりにより、断熱性能の高い住宅の経済的メリットが年間約3万〜8万円と試算されています
省エネ基準未適合の住宅を売却する方法
省エネ基準を満たしていない住宅でも、売却の方法は複数あります。状況に応じた最適な選択が重要です。
断熱改修してから売却する場合の費用対効果
売却前に断熱改修を行い、省エネ基準に適合させてから売りに出す方法があります。主な改修内容と費用の目安は以下のとおりです。
- 窓の断熱改修(内窓設置):1箇所あたり約8万〜15万円。住宅全体で約50万〜100万円
- 壁・天井の断熱材追加:約80万〜200万円(施工範囲による)
- 床下断熱の強化:約30万〜60万円
- 総合的な断熱改修(全体):約150万〜350万円が一般的な相場
改修費用に対して、売却価格の上昇幅が上回るかどうかが判断のポイントです。一般的に、築20年以内の物件で立地条件が良い場合は、改修による査定額アップが費用の1.2〜1.5倍になるケースがあります。
一方、築30年超の物件では改修しても査定額への反映が限定的で、費用を回収できない場合もあります。物件の状態と市場価値を総合的に判断することが大切です。
現状のまま売却する場合の価格設定と訴求法
省エネ基準未適合でも、現状のまま売却する選択肢は十分にあります。その場合は、以下のような工夫が効果的です。
- 価格設定の透明性:未適合であることを前提に、買主が改修しやすいよう改修費用の見積もりを添えて提示する
- 他の強みの訴求:立地・日当たり・間取り・周辺環境など、省エネ以外の魅力を明確にアピールする
- 買取業者の活用:リフォームを前提とした不動産買取であれば、省エネ性能にかかわらずスムーズに売却できる場合があります
売却の方法と費用についてはこちらで、仲介と買取それぞれのメリット・費用を詳しく解説しています。
売却時の告知義務と省エネ性能ラベルの活用
法改正に伴い、不動産売却時に求められる情報開示のあり方も変わりつつあります。
省エネ性能表示制度で変わる説明責任
2024年4月から開始された省エネ性能表示制度では、販売・賃貸の広告時に省エネ性能ラベルの表示が努力義務とされています。このラベルには、断熱性能(等級1〜7)とエネルギー消費量の目安が星の数で示されます。
現時点では「努力義務」ですが、国土交通省は段階的な義務化を検討しており、将来的には表示が必須となる可能性があります。早い段階から対応しておくことで、売却活動をスムーズに進められます。
売主が準備すべき書類と対応
省エネ基準に関連して、売却時に準備しておくと有利になる書類があります。
- 住宅性能評価書:断熱等級や一次エネルギー消費量等級が記載されている場合、省エネ性能の証明になります
- 設計図書・仕様書:使用されている断熱材の種類や厚さがわかれば、省エネ性能を推定できます
- BELS評価書:建築物省エネルギー性能表示制度に基づく第三者評価で、取得費用は約5万〜10万円程度です
- リフォーム履歴:窓や断熱材の改修歴があれば、省エネ性能の向上を示す材料になります
これらの書類が手元にない場合でも、建築時の仕様から性能を推定できることがあります。まずは専門家に相談することをおすすめします。
札幌の住宅は省エネ基準で有利になる理由
北海道、特に札幌の住宅は、省エネ基準の観点で全国的に見ても有利な立場にあります。
寒冷地仕様の断熱性能と適合率の高さ
札幌は省エネ基準の地域区分で「2地域」に該当し、求められるUA値は0.46W/㎡K以下です。これは本州の多くの地域(5〜7地域:UA値0.60〜0.87)と比べて厳しい基準ですが、道内の住宅は長年にわたり寒冷地仕様で建てられてきた歴史があります。
北海道の住宅は1990年代以降、高断熱・高気密住宅が標準的に普及してきました。そのため、築20年程度の住宅でも省エネ基準を満たしているケースが少なくありません。本州では築浅でも基準未適合の物件が多い中、これは札幌の不動産にとって大きなアドバンテージです。
北海道の中古住宅市場における強みの活かし方
札幌の住宅が持つ省エネ性能の高さは、売却時に積極的にアピールすべきポイントです。
- 光熱費の優位性を数値で提示:高断熱住宅は冬季の暖房費が一般住宅と比べて年間約4万〜6万円の節約になるとされています
- 全国基準との比較:道内の寒冷地仕様が本州の省エネ基準を上回っていることを、UA値の数値で示すと買主への説得力が増します
- 住宅ローン優遇の活用:省エネ基準適合を証明できれば、買主がフラット35Sなどの金利優遇を受けられるため、購入意欲の向上につながります
地下鉄沿線やJR沿線の利便性が高いエリアでは、省エネ性能と立地の両面で高い評価を得やすい傾向にあります。札幌の戸建て売却についてはこちらもあわせてご覧ください。
省エネ基準を踏まえた売却成功のポイント
省エネ基準の動向を踏まえ、不動産売却を成功させるための具体的なポイントを整理します。
売却前にチェックすべき省エネ関連項目
売却活動を始める前に、以下の項目を確認しておくことをおすすめします。
- 建築時期と断熱仕様:1999年(平成11年)以降に建てられた住宅は、当時の新省エネ基準(断熱等級3〜4相当)に適合している可能性があります
- 窓の仕様:ペアガラスやLow-Eガラスが使用されているかどうかで断熱性能は大きく変わります
- 過去のリフォーム履歴:断熱改修や窓交換の実績があれば、省エネ性能の向上を証明できます
- 設備の更新状況:高効率給湯器(エコジョーズ等)への更新は一次エネルギー消費量の評価にプラスです
買取と仲介それぞれの活用場面
省エネ基準への適合状況によって、売却方法の選択も変わってきます。
仲介が向いているケースは、省エネ基準に適合している物件や、適合に近い性能を持つ物件です。性能をアピールすることで、相場に近い価格、あるいはそれ以上での売却が期待できます。
買取が向いているケースは、省エネ基準から大きく乖離している物件や、改修費用が売却価格の上昇を上回ると見込まれる場合です。買取業者はリフォームを前提に査定するため、省エネ性能の不足が直接的なマイナス要因になりにくい場合があります。
市街地エリアの空き家や、相続で取得した住宅の売却でお悩みの方は、空き家・空き地の売却についてはこちらをご参照ください。当社では物件の状態に応じた最適な売却プランをご提案しています。
よくある質問
Q: 省エネ基準を満たしていない家は2025年以降売れなくなりますか?
A: 売れなくなることはありません。2025年の適合義務化は新築住宅が対象であり、既存の中古住宅は省エネ基準を満たしていなくても売却は可能です。
ただし、買主の省エネ意識が高まっているため、未適合物件は市場での評価に影響が出る傾向があります。適切な価格設定と物件の強みのアピールが重要です。
Q: 省エネ基準適合の有無は査定額にどのくらい影響しますか?
A: 物件の築年数・立地・状態によって異なりますが、省エネ基準適合物件は未適合物件と比べて約5〜10%程度高く評価される傾向があります。
今後、省エネ性能表示制度の浸透に伴い、この価格差はさらに広がる可能性があります。正確な査定額は個別の物件調査が必要です。
Q: 売却前に省エネリフォームをすべきですか?
A: 一概には言えず、費用対効果による個別判断が重要です。改修費用が約150万〜350万円かかるのに対し、売却価格への反映が限定的な場合は、現状のまま売却した方が手取り額で有利になることもあります。
築年数が浅く立地が良い物件では改修が効果的ですが、築30年超の物件では現状売却や買取の方が合理的なケースが多いです。
Q: 札幌の築古住宅でも省エネ基準に適合しているケースはありますか?
A: はい、あります。北海道では寒冷地仕様として高い断熱性能の住宅が早くから普及しており、1990年代後半以降に建てられた住宅は現行の省エネ基準に適合している場合があります。
特に道内の住宅メーカーが手がけた物件は、全国基準を上回る断熱性能を備えていることが少なくありません。設計図書や住宅性能評価書で確認することをおすすめします。
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