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2026/08/09

コラム

戸建て売却 相続人が複数いるとき全員の同意を得る方法

戸建て売却 相続人が複数いるとき全員の同意を得る方法

相続した戸建てを売却したいけれど、相続人が複数いてなかなか話がまとまらない。こうしたお悩みは、当社にも多く寄せられます。

 

 

不動産の売却には原則として共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すれば手続きが止まってしまうため、事前の準備と正しい知識が欠かせません。

 

 

この記事では、相続人全員の同意を得るための具体的な進め方から、同意が得られない場合の法的対処法、さらに札幌ならではの注意点まで詳しく解説します。

 

 

 

相続した戸建て売却に全員の同意が必要な理由

 

相続が発生すると、遺産分割が完了するまで不動産は相続人全員の共有状態になります。この共有名義の仕組みが、売却を難しくする最大の原因です。

 

 

 

共有名義と単独名義の違い

 

単独名義であれば、所有者一人の判断で売却できます。しかし共有名義の場合、民法251条により「共有物の変更」にあたる売却には共有者全員の同意が求められます。

 

 

たとえば相続人が3人いれば、3人全員が売却に賛成しなければ契約を進められません。持分の大小に関係なく、1人でも反対すれば売却は成立しないのです。

 

 

 

同意なしで売却するとどうなるか

 

全員の同意を得ずに売買契約を締結した場合、その契約は無効となる可能性があります。買主にも損害が及び、損害賠償請求に発展するリスクもあります。

 

 

なお、自分の持分だけを第三者に売却することは法律上可能です。しかし共有持分のみの買い手は限られ、市場価格の5割〜7割程度まで下がるのが一般的です。

 

 

相続物件の売却についてはこちら

 

 

 

遺産分割の3つの方法と戸建て売却への影響

 

相続財産の分け方には主に3つの方法があります。どの方法を選ぶかによって、売却の進めやすさが大きく変わります。

 

 

 

換価分割・代償分割・現物分割の比較

  • 換価分割:不動産を売却し、売却代金を相続人間で分配する方法。戸建て売却との相性が最も良く、公平性が高い
  • 代償分割:一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法。資金力のある相続人がいる場合に有効だが、代償金の負担が大きい
  • 現物分割:財産をそのまま分ける方法。土地であれば分筆が可能だが、戸建て建物は物理的に分割できないため不向き

 

 

 

戸建て売却に最適な分割方法の選び方

 

戸建てを売却して現金化したい場合は、換価分割が最もスムーズです。全員が売却に同意しやすく、代金を法定相続分に応じて分配できるため不公平感が生じにくいのが特徴です。

 

 

一方、相続人の誰かがその家に住み続けたい場合は代償分割を検討します。ただし、戸建ての評価額が2,000万円〜3,000万円であれば、他の相続人への代償金も高額になる点に注意が必要です。

 

 

 

全員の同意を得るための遺産分割協議の進め方

 

遺産分割協議は、相続人全員が参加して遺産の分け方を話し合う手続きです。一人でも欠けると協議自体が無効になるため、慎重に進める必要があります。

 

 

 

協議の準備と進行のコツ

 

まず協議を始める前に、以下の準備を整えましょう。

  • 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、法定相続人を漏れなく特定する
  • 不動産の査定:複数の不動産会社に査定を依頼し、売却見込み額を把握する(査定は無料で依頼でき、3社程度が目安)
  • 費用の試算:仲介手数料や税金を差し引いた手取り額を事前に計算し、各相続人の取り分を明示する
  • 資料の共有:固定資産税評価証明書や登記事項証明書を全員に配布し、情報格差をなくす

協議では感情的な対立を避けるため、客観的なデータに基づいて話し合うことが大切です。売却価格の根拠として複数の査定書を提示すると、納得を得やすくなります。

 

 

 

遺産分割協議書の作成ポイント

 

協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。この書類がなければ相続登記や売却手続きを進められません。

 

 

協議書に記載すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 被相続人の氏名・死亡日・最後の住所
  • 相続人全員の氏名・住所・生年月日
  • 不動産の所在地・地番・家屋番号(登記事項証明書と一致させる)
  • 分割方法の詳細(換価分割の場合は代金の分配割合も明記)
  • 相続人全員の署名と実印の押印

協議書は相続人の人数分を作成し、各自が1通ずつ保管します。印鑑証明書の添付も忘れずに準備しましょう。

 

 

売却の方法と費用の詳細

 

 

 

同意が得られないときの対処法

 

話し合いを重ねても全員の同意が得られないケースは少なくありません。その場合でも、法的な手段で解決の道が開かれています。

 

 

 

家庭裁判所での調停・審判の流れ

 

協議が不調に終わった場合、まず利用を検討したいのが家庭裁判所の遺産分割調停です。調停では調停委員が間に入り、中立的な立場で話し合いを仲介してくれます。

 

 

調停の申立てには以下が必要です。

  • 申立書(裁判所のウェブサイトからダウンロード可能)
  • 被相続人の戸籍謄本一式
  • 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書
  • 申立手数料:収入印紙1,200円+郵便切手代

札幌家庭裁判所への申立ての場合、調停期日は月1回程度のペースで設定され、解決まで平均6か月〜1年程度かかるのが一般的です。

 

 

調停でも合意に至らない場合は、審判手続きに移行します。審判では裁判官が分割方法を決定するため、相続人の意向どおりにならない場合もあります。

 

 

 

共有物分割請求という最終手段

 

遺産分割協議・調停・審判のいずれでも解決しない場合、共有物分割請求訴訟を提起する方法があります。これは地方裁判所に対して共有状態の解消を求める手続きです。

 

 

裁判所は競売による換価を命じることもあり、市場価格の7割〜8割程度での売却になる可能性があります。できる限り協議や調停の段階で解決を図ることが、全員にとって経済的に有利です。

 

 

 

相続登記義務化が戸建て売却に与える影響

 

2024年4月から相続登記が義務化されました。この制度変更は、相続した戸建ての売却にも大きな影響を与えています。

 

 

 

未登記のまま放置するリスク

 

相続登記の義務化により、相続を知った日から3年以内に登記を行わなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

 

 

また、未登記のまま放置すると次のような問題が生じます。

  • 不動産の売却ができない(登記名義人と売主が一致しないため)
  • さらに相続が発生すると権利関係が複雑化し、相続人が数十人に膨れ上がるケースもある
  • 固定資産税の納税義務者が不明確になり、トラブルの原因になる

 

 

 

登記完了までの手続きと費用の目安

 

相続登記にかかる主な費用は以下のとおりです。

  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%(評価額2,000万円なら8万円)
  • 戸籍謄本等の取得費用:1通450円〜750円、全体で5,000円〜1万円程度
  • 司法書士報酬:6万円〜10万円が相場

合計すると、一般的な戸建ての場合で15万円〜20万円程度が目安です。複数の相続人がいる場合は費用を按分して負担するのが通例です。

 

 

 

札幌で相続した戸建てを売却するときの注意点

 

北海道、とくに札幌で相続した戸建てには、道内特有の事情が売却判断に影響します。相続人間の協議でも争点になりやすいポイントを押さえておきましょう。

 

 

 

冬季の維持費・除雪負担が協議の争点になりやすい理由

 

札幌の戸建ては、冬季の除雪費用が年間5万円〜15万円程度かかるのが一般的です。誰も住んでいない空き家であっても、近隣への配慮から除雪を怠ることはできません。

 

 

この除雪費用を誰が負担するかが、相続人間の争いになりやすいのです。遠方に住む相続人は「自分には関係ない」と考えがちですが、共有者である以上、維持費の負担義務があります。

 

 

さらに固定資産税も毎年発生します。札幌市街地エリアの戸建てであれば、年間8万円〜15万円程度の負担です。売却が長引くほど、これらの維持コストがかさんでいきます。

 

 

 

売却時期と市場動向を踏まえた判断

 

札幌の不動産市場は、JR沿線や地下鉄沿線の利便性の高いエリアを中心に底堅い需要があります。2026年現在、札幌の戸建て中古市場は売り出しから成約まで平均3か月〜6か月かかる傾向です。

 

 

冬場は内覧数が減少しやすいため、春先の3月〜5月に売り出しを開始するのが効果的です。相続人間の協議を冬の間に済ませ、春に向けて売却準備を整えるスケジュールが理想的です。

 

 

戸建て売却の詳細はこちら

 

 

 

相続人が複数いる戸建て売却の費用と税金

 

売却にかかる費用と税金を事前に把握しておくことで、協議での合意形成がスムーズになります。相続人が複数いる場合の費用按分についても確認しましょう。

 

 

 

売却にかかる主な費用一覧

  • 仲介手数料:売却価格の3%+6万円+消費税(売却価格2,500万円なら約89万円)
  • 相続登記費用:15万円〜20万円程度
  • 印紙税:売買契約書に貼付(売却価格1,000万円超〜5,000万円以下で1万円)
  • 測量費用:境界確定が必要な場合は30万円〜50万円程度
  • 建物解体費:更地渡しの場合は100万円〜200万円程度(木造戸建ての場合)

これらの費用は、原則として相続人の持分割合に応じて按分します。換価分割であれば売却代金から費用を差し引いた後の金額を分配するのが一般的です。

 

 

 

譲渡所得税の計算と3,000万円特別控除

 

相続した戸建てを売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。税率は所有期間によって異なり、5年超の長期譲渡で約20.315%、5年以下の短期譲渡で約39.63%です。

 

 

なお、相続の場合は被相続人の取得時期を引き継ぐため、多くのケースで長期譲渡に該当します。

 

 

また、一定の条件を満たせば「被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除」が適用できます。この特例は相続人一人あたり最大3,000万円の控除が受けられるため、複数の相続人がいる場合は各自で適用可能です。ただし、相続開始から3年後の年末までに売却する必要があるなど、期限の条件があるため早めの対応が重要です。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 相続人の一人が売却に反対している場合、どうすればいいですか?

 

A: まずは協議の場で、売却しない場合の維持費負担や固定資産税の試算を示し、経済的な観点から説得を試みます。査定書など客観的なデータを用いると合意を得やすくなります。

 

 

それでも同意が得られない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。調停委員が中立的な立場で仲介し、解決を図ります。

 

 

 

Q: 遺産分割協議書がないと戸建ては売却できませんか?

 

A: 遺産分割協議書がない場合、相続登記を行えないため、実務上は売却手続きを進めることができません。共有名義のままでは買主への所有権移転に支障が生じます。

 

 

まずは相続人全員で協議を行い、協議書を作成することが売却の第一歩です。協議書には全員の署名・実印の押印と印鑑証明書の添付が求められます。

 

 

 

Q: 相続人の中に連絡が取れない人がいる場合はどうしますか?

 

A: 連絡が取れない相続人がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てることができます。管理人が不在者に代わって遺産分割協議に参加し、手続きを進められます。

 

 

申立てから選任まで一般的に1か月〜3か月程度かかるため、早めに手続きを開始することをおすすめします。

 

 

 

Q: 売却益は相続人全員で均等に分けなければなりませんか?

 

A: 法定相続分に基づく分配が基本ですが、遺産分割協議で全員が合意すれば自由に配分を決めることができます。たとえば、介護を担った相続人が多く受け取る「寄与分」を考慮した分配も可能です。

 

 

配分割合は遺産分割協議書に明記しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

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