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2026/08/22

コラム

不動産売却の契約不適合責任|免責条件と対策

不動産売却の契約不適合責任|免責条件と対策

不動産売却を検討する際、多くのお客様が不安を感じるのが契約不適合責任の問題です。2020年の民法改正により、売主が負う責任の範囲が大きく変わりました。

 

 

特に札幌など寒冷地では、凍害や断熱不良といった地域特有のリスクがあり、免責特約の設定が売却成功の鍵を握ります。

 

 

この記事では、免責条件の具体的な設定方法から、インスペクション活用によるリスク軽減策まで、売主目線の実務ガイドとして解説します。

 

 

 

契約不適合責任とは?売主が知るべき基本の仕組み

 

契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容に適合しない場合に売主が負う法的責任です。2020年4月の民法改正で、旧来の「瑕疵担保責任」から名称と内容が大きく変わりました。

 

 

 

旧・瑕疵担保責任との違いと改正のポイント

 

旧制度では「隠れた瑕疵(欠陥)」が対象でしたが、改正後は契約の内容に適合しているかどうかが判断基準となります。買主が事前に知っていた不具合でも、契約書に記載がなければ責任を問われる可能性があります。

 

 

また、旧制度では買主の権利は「損害賠償」と「契約解除」の2つに限られていました。改正後は買主が行使できる権利が拡大され、売主にとってはより慎重な対応が求められます。

 

 

責任を追及できる期間も変更されました。旧制度では瑕疵を知ってから1年以内に「権利行使」が必要でしたが、改正後は1年以内に「通知」すれば足りるとされ、買主にとって有利な内容となっています。

 

 

 

売主が負う4つの責任

 

契約不適合責任において、売主は以下の4つの責任を負う可能性があります。

  • 追完請求:雨漏りの修繕など、不適合箇所の補修や代替物の引渡しを求められる
  • 代金減額請求:追完が困難な場合、不適合の程度に応じて売買代金の減額を請求される
  • 損害賠償請求:不適合により買主に損害が生じた場合、その賠償を求められる(売主に帰責事由がある場合)
  • 契約解除:不適合の程度が重大で契約の目的を達成できない場合、契約自体を解除される

たとえば築25年の戸建てで売却後に基礎のひび割れが発覚した場合、補修費用として数十万円から200万円以上の追完請求を受けるケースもあります。不動産売却では、これらのリスクを正しく理解したうえで対策を講じることが重要です。

 

 

売却の方法と費用についてはこちら

 

 

 

免責特約の設定方法と有効・無効の境界線

 

契約不適合責任は、売主と買主の合意により免責特約を設定することで責任範囲を限定できます。ただし、すべてのケースで免責が認められるわけではありません。

 

 

 

免責特約が認められる条件と契約書への具体的な記載例

 

個人が売主となる不動産売却では、買主の同意を得たうえで免責特約を付けることが法律上認められています。契約書には具体的かつ明確な文言で記載する必要があります。

 

 

実務で使われる免責特約の記載例としては、以下のような文言が一般的です。

  • 全部免責型:「売主は、本物件の種類・品質に関する契約不適合責任を一切負わないものとする」
  • 期間限定型:「売主の契約不適合責任の期間は、引渡しから3ヶ月間とし、それ以降は責任を負わない」
  • 範囲限定型:「売主は、雨漏り・シロアリ・給排水設備の不具合についてのみ契約不適合責任を負い、その他については免責とする」

築20年以上の物件では全部免責型や期間限定型が使われることが多く、一般的な責任期間は引渡しから3ヶ月に設定するケースが約6割を占めます。残りの約3割が期間なしの全部免責、約1割が6ヶ月以上の期間設定です。

 

 

 

特約が無効になるケース(売主の悪意・故意の不告知)

 

免責特約を設定しても、以下の条件に該当する場合は特約が無効となります。

  • 売主が不具合を知りながら告知しなかった場合:過去の判例では、雨漏りを認識していたにもかかわらず告知書に記載しなかった売主に対し、免責特約があっても約150万円の損害賠償が認められた事例がある
  • 売主が事業者である場合:消費者契約法により、事業者が売主の場合は免責特約自体が無効となる可能性が高い
  • 特約の内容が不明確な場合:「現状有姿」とだけ記載し、免責の範囲が具体的に示されていない契約書は、裁判で免責が認められないケースがある

つまり、免責条件を有効に機能させるためには、物件の状態を正直に告知したうえで、明確な文言で特約を設定することが不可欠です。

 

 

 

個人間売買と業者買取で免責条件はどう変わるか

 

不動産売却には大きく分けて「個人間売買(仲介)」と「業者買取」の2つの方法があります。それぞれで免責特約の扱いが大きく異なるため、売却方法の選択は免責条件にも直結します。

 

 

 

個人間売買での免責特約の交渉ポイント

 

個人間売買では、免責特約の設定は買主との交渉次第となります。築年数が浅い物件や人気エリアの物件では、買主側が免責特約に難色を示すことも少なくありません。

 

 

交渉を有利に進めるためのポイントは以下の通りです。

  • インスペクション済みの報告書を提示する:物件の状態を客観的に示すことで買主の不安を軽減し、免責特約への合意を得やすくなる
  • 告知書を詳細に記載する:過去の修繕履歴や気になる箇所を正直に書くことで、信頼関係を構築できる
  • 責任期間の限定で折り合う:全部免責が難しい場合は、「引渡しから3ヶ月」など期間限定で合意を目指す
  • 売却価格で調整する:免責特約を付ける代わりに、相場より5〜10%程度価格を下げて交渉する方法もある

個人間売買での仲介手数料は売買価格の3%+6万円(税別)が上限です。免責特約の交渉は仲介を担当する不動産会社のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

 

 

 

業者買取なら免責が原則となる理由と注意点

 

不動産会社が直接買い取る「業者買取」では、売主の契約不適合責任は原則として免責となります。これは、買主である不動産会社がプロとして物件のリスクを承知のうえで購入するためです。

 

 

業者買取のメリットと注意点を整理すると、以下の通りです。

  • メリット①:契約不適合責任が免責となるため、売却後のトラブルリスクがほぼゼロになる
  • メリット②:最短1〜2週間で現金化できるスピード感がある
  • メリット③:仲介手数料が不要なケースが多い
  • 注意点:買取価格は市場相場の約70〜80%が一般的で、仲介売買より低くなる傾向がある

築30年以上の物件や、雨漏り・傾きなどの不具合がある物件では、免責のメリットが価格差を上回ることも多いです。ただし、業者買取でも契約書の免責条項は必ず確認してください。「免責」と口頭で説明されていても、契約書に明記されていなければ効力がありません。

 

 

 

インスペクション活用で契約不適合リスクを軽減する方法

 

インスペクション(建物状況調査)は、契約不適合責任のリスクを大幅に軽減する有効な手段です。2018年の宅建業法改正により、不動産取引時にインスペクションの実施有無を説明することが義務化されました。

 

 

 

建物状況調査の内容・費用と実施のメリット

 

インスペクションでは、国土交通省の基準に基づき、建物の構造耐力上の主要部分と雨水の浸入を防止する部分を中心に調査を行います。調査費用は一般的な戸建てで5万〜7万円、マンションで4万〜6万円程度です。

 

 

インスペクションを実施するメリットは以下の通りです。

  • 物件の状態を客観的に把握:自分では気づかなかった不具合を事前に発見できる
  • 買主への信頼性向上:調査報告書があることで、買主の安心感が高まり成約率が上がる
  • 免責特約の交渉材料:「調査済みの物件」として、免責特約への合意を得やすくなる
  • 売却期間の短縮:インスペクション済み物件は未実施物件より平均で約30%早く成約するというデータもある

調査費用の5万〜7万円は、売却後に数百万円の損害賠償を請求されるリスクと比較すれば、非常に費用対効果の高い投資といえます。

 

 

 

調査結果の告知義務と責任範囲への影響

 

インスペクションを実施した場合、その結果は重要事項説明書に記載して買主に告知する義務があります。調査で不具合が見つかった場合は、隠さずに告知書に記載することが重要です。

 

 

不具合を告知したうえで免責特約を設定すれば、買主は物件の状態を理解したうえで購入を判断したことになります。この場合、売却後に同じ不具合について契約不適合責任を問われるリスクは大幅に低減します。

 

 

ただし、インスペクションを実施しても契約不適合責任が完全に免責になるわけではありません。調査範囲外の不具合(たとえば配管内部の劣化や地中の埋設物など)については、別途リスクが残ります。

 

 

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札幌の不動産売却で特に注意すべき契約不適合リスク

 

北海道、特に札幌圏での不動産売却では、本州とは異なる寒冷地特有のリスクに注意が必要です。これらのリスクを把握せずに売却すると、契約不適合責任を問われる原因となります。

 

 

 

凍害・融雪水による基礎劣化など寒冷地特有の瑕疵

 

道内の物件では、以下のような寒冷地固有の不具合が契約不適合の原因となりやすい傾向があります。

  • 凍害によるコンクリート劣化:外壁やコンクリート基礎内部の水分が凍結・膨張を繰り返し、ひび割れや剥離が発生する。札幌の冬季平均気温は氷点下3〜4℃で、凍結融解サイクルが年間約120回に達する
  • 融雪水による基礎への浸水:春先の融雪期に大量の水が基礎周辺に溜まり、防水処理が劣化した箇所から地下室や床下に浸水する
  • 断熱材の劣化・不良:築古物件では断熱材が経年劣化し、結露やカビの原因となる。特に1990年代以前の物件では現行の断熱基準を満たしていないケースが多い
  • 凍結による給排水管の破損:水抜き栓の不具合や配管の断熱不足による凍結破損は、道内で毎冬発生する典型的なトラブル

これらの不具合は本州の不動産取引ではあまり意識されないため、道外からの購入者との取引では特に注意が必要です。

 

 

 

築古物件の売却時に免責特約が重要になる理由

 

札幌市内の戸建て住宅のうち、築30年以上の物件が約45%を占めるといわれています。これらの築古物件では、上記の寒冷地リスクが蓄積している可能性が高く、免責特約の設定が特に重要です。

 

 

市街地エリアやJR沿線・地下鉄沿線の利便性の高い立地であっても、築年数が経過した物件には経年劣化によるリスクが潜んでいます。札幌で築古物件を売却する際は、寒冷地特有の不具合をインスペクションで洗い出し、告知書に正確に記載したうえで免責特約を設定するという流れが、トラブル防止の基本となります。

 

 

空き家・空き地の売却について

 

 

 

トラブルを防ぐ売却前チェックリスト5項目

 

契約不適合責任によるトラブルを未然に防ぐために、売却前に確認すべき5つの項目をまとめました。お客様が今日から取り組める実践的な内容です。

 

 

 

物件の状態把握から告知書作成までの手順

  • ①物件の現状を自分で確認する:雨漏りの跡、壁のひび割れ、床の傾き、カビの発生など、目視で確認できる不具合をリストアップする
  • ②過去の修繕履歴を整理する:屋根の葺き替え、外壁塗装、配管交換など、過去に実施した修繕の時期と内容を記録にまとめる
  • ③インスペクションを実施する:専門家による建物状況調査を依頼し、客観的な調査報告書を取得する。費用は5万〜7万円程度
  • ④告知書(物件状況報告書)を正確に記載する:知っている不具合はすべて記載する。「知っていたのに書かなかった」は免責特約が無効になる最大の原因
  • ⑤免責特約の内容を不動産会社と相談する:物件の状態や築年数に応じて、全部免責・期間限定・範囲限定のどれが最適かを判断する

 

 

 

信頼できる不動産会社選びのポイント

 

免責特約の設定や告知書の作成は、不動産会社のサポートが欠かせません。会社選びの際は、以下の点を確認してください。

  • 契約不適合責任について丁寧に説明してくれるか:リスクを隠さず、売主の立場で対策を提案してくれる会社が望ましい
  • インスペクションの手配実績があるか:調査会社との連携がスムーズな不動産会社を選ぶと、売却準備が効率的に進む
  • 地域の取引実績が豊富か:札幌の寒冷地特有のリスクを理解し、適切な免責条件の設定をサポートできる地元密着型の会社が安心

当社では、札幌圏の不動産売却において、お客様の状況に応じた免責特約の設定から告知書の作成サポートまで一貫して対応しています。契約不適合責任に関するご不安があれば、お気軽にご相談ください。

 

 

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よくある質問

 

 

 

Q: 契約不適合責任の免責特約を付けても無効になるケースはありますか?

 

A: はい、あります。売主が物件の不具合を知っていたにもかかわらず告知しなかった場合、免責特約は無効となります。

 

 

これは民法第572条に基づくもので、売主の悪意や故意の不告知があった場合は、たとえ契約書に免責条項を記載していても買主を保護する規定が優先されます。告知書には知っている不具合をすべて正直に記載することが、免責特約を有効に機能させる大前提です。

 

 

 

Q: 築30年以上の古い家を売却する場合、契約不適合責任はどこまで負う必要がありますか?

 

A: 築30年以上の物件でも、法律上は売主に契約不適合責任が生じます。ただし、免責特約と告知書を併用することで責任範囲を限定できます。

 

 

実務では「引渡しから3ヶ月間のみ責任を負う」とする期間限定型や、「雨漏り・シロアリのみ責任を負い、その他は免責」とする範囲限定型が多く使われています。事前にインスペクションを実施し、物件の状態を把握・告知することで、より安心な売却が可能になります。

 

 

 

Q: インスペクションを実施すれば契約不適合責任を免れますか?

 

A: インスペクションの実施だけで契約不適合責任が免責になるわけではありません。しかし、調査結果を告知書に反映させることで、告知義務を適切に果たした証拠となり、売却後のトラブルリスクを大幅に軽減できます。

 

 

費用は戸建てで5万〜7万円程度ですが、売却後に数百万円の損害賠償を請求されるリスクと比較すれば十分に価値のある投資です。免責特約とあわせて活用することで、より確実なリスク軽減が期待できます。

 

 

 

Q: 不動産会社に買取してもらう場合、契約不適合責任は免責になりますか?

 

A: 業者買取では、売主の契約不適合責任は原則として免責となることが一般的です。不動産会社はプロとしてリスクを引き受けたうえで買い取るため、個人間売買のような責任負担は通常求められません。

 

 

ただし、口頭の説明だけでなく、契約書に免責条項が明記されているかを必ず確認してください。買取価格は市場相場の約70〜80%となる傾向がありますが、契約不適合責任のリスクがなくなるメリットは大きいといえます。

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