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2026/09/09

コラム

相続登記の義務化後に売却する手順

相続登記の義務化後に売却する手順

「相続した不動産を売りたいが、何から始めればいいのか分からない」というご相談が増えています。

 

 

2024年4月から相続登記が義務化され、放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。

 

 

この記事では、相続登記の義務化の要点から、登記完了後の売却手順、費用・税金、札幌ならではの注意点までをワンストップで解説します。

 

 

 

相続登記の義務化とは?罰則・過料の実務ポイント

 

まずは2024年4月に施行された相続登記義務化の制度内容を正確に押さえましょう。

 

 

 

義務化の背景と施行内容

 

全国で所有者不明の土地が約24%に達し、公共事業や災害復旧の妨げとなっていました。この問題を解消するため、不動産登記法の改正により相続登記が義務化されました。

 

 

相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。

 

 

施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続についても対象です。この場合、施行日から3年以内、つまり2027年3月末が期限となります。

 

 

 

過料10万円の適用条件と猶予期間

 

正当な理由なく期限内に相続登記を申請しない場合、10万円以下の過料が科されます。

 

 

ただし、過料は即座に適用されるわけではありません。法務局から催告書が届き、それでも対応しない場合に裁判所へ通知される流れです。

 

 

「正当な理由」として認められる可能性があるケースは以下のとおりです。

  • 相続人が多数で遺産分割協議に時間がかかっている
  • 相続人の一部が行方不明で連絡が取れない
  • 申請義務を負う相続人自身が重病である
  • 経済的な困窮により登記費用を捻出できない

正当な理由に該当するかどうかは法務局が個別に判断します。不安な場合は早めに司法書士へ相談することをおすすめします。

 

 

 

相続登記の手続きの流れと必要書類

 

相続登記をスムーズに進めるため、手続きの全体像と準備すべき書類を整理します。

 

 

 

遺産分割協議から登記申請までのステップ

 

相続登記の一般的な流れは以下のとおりです。

  • 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、法定相続人を特定する
  • 相続財産の調査:不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書を取得し、対象物件を把握する
  • 遺産分割協議:相続人全員で不動産の取得者を決め、遺産分割協議書を作成する
  • 登記申請:管轄の法務局に相続登記を申請する

遺言書がある場合は、遺産分割協議を省略して遺言の内容に基づき登記申請が可能です。

 

 

 

必要書類一覧と取得先

 

相続登記に必要な主な書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡):本籍地の市区町村役場で取得(1通450〜750円)
  • 被相続人の住民票の除票:最後の住所地の市区町村役場で取得(1通300円程度)
  • 相続人全員の戸籍謄本:各相続人の本籍地の市区町村役場で取得
  • 相続人全員の住民票:各相続人の住所地で取得
  • 遺産分割協議書+印鑑証明書:協議で取得者を決めた場合に必要
  • 固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場で取得
  • 登記申請書:法務局の窓口またはウェブサイトで書式を入手

登録免許税は固定資産評価額の0.4%です。評価額が2,000万円の不動産であれば8万円が目安となります。

 

 

司法書士に依頼する場合は、報酬として6万〜12万円程度が別途必要です。

 

 

 

相続登記から売却完了までのタイムライン

 

相続が発生してから不動産の売却が完了するまで、一般的に3〜6ヶ月が目安です。各フェーズの期間を時系列で整理します。

 

 

 

全体スケジュールの目安

  • 相続人調査・書類収集(2〜4週間):戸籍の取り寄せに時間がかかりやすいフェーズ
  • 遺産分割協議(2週間〜数ヶ月):相続人全員の合意が必要。人数が多いほど長期化
  • 相続登記の申請〜完了(2〜4週間):法務局の処理期間を含む
  • 不動産査定・媒介契約(1〜2週間):複数社の査定比較を推奨
  • 売却活動・購入希望者との交渉(1〜3ヶ月):物件の条件やエリアにより変動
  • 売買契約・決済・引渡し(1〜2ヶ月):買主のローン審査期間を含む

スムーズに進んで約3ヶ月、協議や売却活動に時間がかかると6ヶ月以上を要するケースもあります。

 

 

 

各フェーズで時間がかかるポイント

 

特に時間を要しやすいのが遺産分割協議です。相続人が5人以上いる場合や、道外に住む相続人がいる場合は2〜3ヶ月かかることも珍しくありません。

 

 

また、被相続人が複数の住所を転々としていた場合、戸籍の取り寄せだけで1ヶ月以上かかることがあります。2024年3月から始まった広域交付制度を活用すると、最寄りの市区町村窓口で他自治体の戸籍もまとめて取得できます。

 

 

売却にかかる費用や方法の詳細は「売却の方法と費用の詳細」もあわせてご覧ください。

 

 

 

相続不動産を売却する手順【査定から引渡しまで】

 

相続登記が完了したら、いよいよ売却のフェーズに進みます。具体的なステップを順に解説します。

 

 

 

査定依頼から媒介契約の流れ

 

まずは不動産会社に査定を依頼します。査定には2つの方法があります。

  • 机上査定(簡易査定):物件情報をもとに概算価格を算出。所要時間は1〜2日程度
  • 訪問査定(詳細査定):実際に物件を確認し、より正確な価格を算出。所要時間は1週間程度

査定結果に納得できたら、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、相続不動産の場合は窓口を一本化できる専任媒介契約が多く選ばれています。

 

 

 

売買契約・決済・引渡しの注意点

 

購入希望者が見つかったら、売買契約を締結します。契約時に買主から手付金(売買価格の5〜10%が一般的)を受領します。

 

 

決済日には残代金の受領と同時に所有権移転登記を行い、物件の引渡しとなります。相続登記で取得した権利証(登記識別情報通知)が必要ですので、紛失しないよう保管しておきましょう。

 

 

相続物件の売却について詳しくは「相続物件の売却についてはこちら」をご参照ください。

 

 

 

売却時の費用・税金と3000万円特別控除

 

相続不動産の売却では、通常の売却費用に加えて相続特有の税制を理解しておくことが大切です。

 

 

 

譲渡所得税・仲介手数料など費用一覧

 

売却時にかかる主な費用は以下のとおりです。

  • 仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税(上限)。2,000万円の物件で約72万円
  • 譲渡所得税・住民税:売却益に対して所有期間5年超なら約20%、5年以下なら約39%
  • 印紙税:売買契約書に貼付。1,000万円超〜5,000万円以下の契約で1万円
  • 司法書士費用:抵当権抹消や所有権移転の手続きで2万〜5万円程度

相続で取得した不動産の所有期間は、被相続人が取得した日から起算します。多くの場合は長期譲渡(5年超)に該当し、税率は約20%となります。

 

 

 

相続空き家の3000万円特別控除の適用要件

 

相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。主な要件は以下のとおりです。

  • 被相続人が一人暮らしをしていた居住用家屋であること
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続から売却まで空き家のまま(賃貸に出していない)であること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること

この特例を使うには、家屋を耐震リフォームするか、解体して更地にして売却する方法があります。

 

 

また、相続税を納めた方は「取得費加算の特例」を利用できる場合があります。相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できます。

 

 

 

札幌で相続不動産を売却するときの注意点

 

北海道、特に札幌で相続不動産を売却する際には、道内特有の事情を押さえておく必要があります。

 

 

 

積雪寒冷地の空き家リスクと冬前売却の重要性

 

札幌は12月〜3月にかけて積雪量が年間約600cmに達します。相続した空き家を放置すると、水道管の凍結・破裂や屋根の雪荷重による損傷といった深刻なリスクが発生します。

 

 

冬期間は内覧希望者も減少するため、売却活動は春〜秋がベストシーズンです。相続が発生したら、遅くとも10月頃までに売却活動を開始できるよう逆算してスケジュールを組むことをおすすめします。

 

 

空き家の管理や売却について詳しくは「空き家・空き地の売却について」もご覧ください。

 

 

 

札幌法務局の混雑状況と広大地の筆数問題

 

義務化以降、札幌法務局(本局)では相続登記の申請件数が増加しており、処理に3〜4週間かかるケースも報告されています。繁忙期を避けるなら、年度末(3月)や年末を外して申請するのがスムーズです。

 

 

また、北海道では1つの土地が複数の地番(筆)に分かれていることが珍しくありません。市街地エリアでも3〜5筆にまたがる敷地があり、すべての筆について相続登記が必要です。筆数が多いほど登録免許税も増えますので、事前に登記事項証明書で筆数を確認しておきましょう。

 

 

地下鉄沿線やJR沿線の住宅地では需要が安定しており、相続不動産でも比較的早期に買い手が見つかる傾向があります。

 

 

 

遺産分割が未了でも売却を進める方法

 

相続人間の協議がまとまらない場合でも、売却に向けて動き出す方法があります。

 

 

 

相続人申告登記の活用

 

2024年4月から新設された「相続人申告登記」は、遺産分割協議が完了していなくても、自分が相続人であることを法務局に申告できる制度です。

 

 

この申告を行えば、相続登記の義務を一時的に履行したものとみなされ、過料を回避できます。手続きも簡易で、申告する相続人が単独で申請でき、費用は非課税です。

 

 

ただし、相続人申告登記はあくまで「義務の猶予」であり、実際に不動産を売却するには正式な相続登記が必要です。協議がまとまり次第、速やかに本登記を進めましょう。

 

 

 

共有名義での売却と代金分配の考え方

 

遺産分割協議で特定の相続人への単独名義にできない場合、法定相続分に基づく共有名義で相続登記を行い、共有者全員の合意のもとで売却する方法があります。

 

 

共有名義での売却では、売買契約書に共有者全員の署名・押印が必要です。売却代金は持分割合に応じて分配するのが一般的です。

 

 

例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1です。売却代金が3,000万円であれば、配偶者が1,500万円、子がそれぞれ750万円を受け取ります。

 

 

相続不動産の売却でお悩みの方は「無料査定・お問い合わせはこちら」からお気軽にご相談ください。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 相続登記をしないまま不動産を売却できますか?

 

A: 相続登記を完了しないまま不動産を売却することはできません。売却とは買主への所有権移転登記を行うことであり、その前提として売主名義の登記が必要です。

 

 

相続登記が未了の場合、まずは相続登記を済ませてから売却手続きに進む流れとなります。

 

 

 

Q: 相続登記の義務化に違反した場合の過料はいくらですか?

 

A: 正当な理由なく、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

 

 

ただし、法務局からの催告に応じて登記申請を行えば、過料を回避できるケースが多いとされています。

 

 

 

Q: 相続した札幌の不動産で3000万円特別控除は使えますか?

 

A: 被相続人が一人暮らしをしていた居住用家屋で、1981年5月31日以前の建築であるなどの要件を満たせば、相続空き家の3,000万円特別控除の適用が可能です。

 

 

家屋を耐震改修するか解体して更地にすることが条件となります。適用の可否は個別の事情により異なるため、税理士や不動産会社にご相談ください。

 

 

 

Q: 相続人が複数いる場合、売却代金はどう分けますか?

 

A: 一般的には遺産分割協議の内容に従って分配します。協議で特段の定めがない場合は、法定相続分の割合が基準となります。

 

 

例えば配偶者と子2人が相続人の場合、配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1の割合で代金を受け取るのが基本的な考え方です。

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