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2026/09/14

コラム

相続不動産の遺産分割から売却までの手順

相続不動産の遺産分割から売却までの手順

「親から相続した札幌の不動産、どう売却すればいいのかわからない」というご相談を、当社では数多くいただいています。

 

 

相続不動産の売却は、遺産分割協議・相続登記・査定・売買契約と多くの手順を踏む必要があり、一つでも手続きを誤ると売却が大幅に遅れてしまいます。

 

 

この記事では、遺産分割協議書の作成から売却完了までの全工程を時系列で解説し、各ステップで起きやすいトラブルと解決策を具体的にご紹介します。

 

 

 

相続不動産を売却するまでの全体像と流れ

 

相続した不動産を売却するには、大きく分けて6つのステップを順番に進める必要があります。全体像を把握しておくことで、手続きの抜け漏れを防げます。

 

 

 

遺産分割から売却完了までの6ステップ

  • ステップ1:遺産分割協議:相続人全員で不動産の分け方を話し合い、協議書を作成する
  • ステップ2:相続登記:法務局で不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する
  • ステップ3:不動産査定:複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を把握する
  • ステップ4:媒介契約の締結:依頼する不動産会社を選び、売却活動を開始する
  • ステップ5:売買契約・決済:買主と売買契約を結び、代金の受け渡しと引き渡しを行う
  • ステップ6:確定申告:売却益が出た場合は翌年に譲渡所得の確定申告を行う

 

 

 

手続きにかかる期間の目安

 

遺産分割協議から売却完了までの期間は、一般的に6か月〜1年程度です。遺産分割協議がスムーズにまとまれば3〜4か月で売却活動に入れますが、相続人間で意見が対立すると1年以上かかるケースもあります。

 

 

相続登記の申請から完了までは約2〜4週間、不動産の売却活動開始から成約までは札幌エリアの場合で平均3〜6か月が目安です。

 

 

売却の方法や費用について詳しく知りたい方は、売却の方法と費用の詳細はこちらをご覧ください。

 

 

 

遺産分割協議の進め方と協議書の作成方法

 

遺産分割協議は、相続不動産の売却手順のなかで最も重要なステップです。ここでつまずくと、その後のすべての手続きが止まってしまいます。

 

 

 

遺産分割協議書に記載すべき項目

 

遺産分割協議書には、以下の項目を漏れなく記載する必要があります。

  • 被相続人の情報:氏名・生年月日・死亡日・最後の住所・本籍地
  • 相続人全員の情報:氏名・住所・生年月日・被相続人との続柄
  • 不動産の表示:登記簿に記載された所在・地番・地目・地積(建物の場合は家屋番号・構造・床面積)
  • 分割方法:誰がどの財産を取得するか、代償金の有無と金額
  • 相続人全員の署名・実印押印:印鑑証明書の添付も必要

協議書は法的な書式の指定はありませんが、記載内容に不備があると相続登記の申請が却下される場合があります。不安な場合は司法書士への依頼をおすすめします。

 

 

 

相続人全員の合意が得られないときの対処法

 

遺産分割協議で全員の合意が得られない場合、次の手順で解決を図ります。

  • 家庭裁判所への調停申立て:調停委員を交えて話し合いを行う。札幌の場合は札幌家庭裁判所に申立てる。申立て費用は収入印紙1,200円と郵便切手代で、比較的少額で利用できる
  • 審判への移行:調停が不成立の場合は自動的に審判手続きに移行し、裁判官が分割方法を決定する
  • 審判前の保全処分:不動産の処分を防ぐため、審判前に処分禁止の仮処分を申し立てることも可能

調停の期間は平均して6か月〜1年、審判まで進むとさらに半年程度かかるのが一般的です。その間も不動産の維持管理費は発生し続けるため、早期の合意形成が重要です。

 

 

 

相続登記の手続きと必要書類

 

遺産分割協議が完了したら、次は相続登記の手続きに進みます。2024年4月から相続登記が義務化されており、早めの対応が求められます。

 

 

 

相続登記の義務化と罰則のポイント

 

2024年4月1日の法改正により、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務となりました。

 

 

正当な理由なく期限内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。この義務化は改正前に発生した相続にも適用されるため、過去の相続で未登記の不動産がある場合も早めの対応が必要です。

 

 

 

申請に必要な書類一覧と取得先

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得(1通450〜750円
  • 相続人全員の戸籍謄本:各相続人の本籍地の市区町村役場で取得
  • 被相続人の住民票の除票:最後の住所地の市区町村役場で取得
  • 不動産を取得する相続人の住民票:住所地の市区町村役場で取得
  • 固定資産評価証明書:不動産所在地の市区町村役場で取得(札幌市の場合は各区役所の税務課)
  • 遺産分割協議書と印鑑証明書:協議書は自作可、印鑑証明書は市区町村役場で取得
  • 登記申請書:法務局の窓口またはウェブサイトから様式を入手

札幌の不動産の場合、札幌法務局(北海道合同庁舎内)または各支局で申請します。窓口申請のほかオンライン申請も可能で、登録免許税は固定資産評価額の0.4%です。

 

 

例えば評価額2,000万円の不動産であれば、登録免許税は8万円となります。

 

 

 

共有名義のまま売却する場合と分割後に売却する場合の比較

 

相続人が複数いる場合、不動産を共有名義のまま売却するか、遺産分割で単独名義にしてから売却するかの判断が必要です。それぞれの特徴を比較してみましょう。

 

 

 

共有名義売却のメリット・デメリット

 

メリット:

  • 遺産分割協議で不動産の帰属を決めずに済むため、協議がまとまりやすい
  • 売却代金を持分割合に応じて分配するので公平感がある
  • 相続人それぞれが3,000万円特別控除を適用できる可能性がある

デメリット:

  • 売却時に共有者全員の同意と署名押印が必要で、手続きが煩雑になる
  • 一人でも反対すると売却できない
  • 共有者が遠方に住んでいる場合、契約手続きに時間がかかる

 

 

 

単独名義にしてから売却する方が有利なケース

 

以下のような状況では、遺産分割で単独名義にしてから売却する方がスムーズです。

  • 相続人の一人が不動産の近くに住んでおり、売却活動を主導できる場合
  • 相続人の中に高齢者や海外居住者がおり、契約手続きへの参加が困難な場合
  • 他の相続財産(預貯金など)との調整で代償分割が可能な場合

当社の経験では、相続人が3名以上の場合は単独名義にしてからの売却の方が手続き期間を短縮できるケースが多くなっています。

 

 

 

売却のタイミングと使える税金特例

 

相続不動産の売却では、タイミングによって使える税金の特例が変わります。数百万円単位の節税につながることもあるため、売却時期の判断は慎重に行いましょう。

 

 

 

相続から3年以内の譲渡所得特例(取得費加算)

 

「取得費加算の特例」とは、相続税を支払った方が相続財産を売却する際に、支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。

 

 

この特例を使うと譲渡所得が圧縮され、所得税・住民税の負担を軽減できます。適用を受けるには、相続開始から3年10か月以内に売却する必要があります。

 

 

例えば、相続税を500万円支払い、相続財産全体に占める不動産の割合が40%の場合、200万円を取得費に加算できます。譲渡所得税率を約20%(長期譲渡の場合)とすると、約40万円の節税効果があります。

 

 

 

空き家の3,000万円特別控除の適用条件

 

被相続人が一人で住んでいた自宅を相続し、一定の条件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

 

 

主な適用条件は以下のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
  • 相続開始から売却まで空き家であること(賃貸や居住に使っていないこと)
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
  • 建物を解体するか、耐震リフォームを行ってから売却すること

相続物件の売却についてさらに詳しく知りたい方は、相続物件の売却についてさらに詳しくをご確認ください。

 

 

 

札幌の相続不動産を放置するリスクと早期売却の重要性

 

札幌は積雪寒冷地であるため、道内の相続不動産を空き家のまま放置すると、本州以上に大きなリスクとコストが発生します。

 

 

 

積雪寒冷地ならではの維持管理コスト

 

札幌の空き家を維持するには、以下のようなコストが毎年発生します。

  • 除雪費用:業者に依頼すると1シーズンあたり10〜20万円程度。放置すると近隣トラブルや行政指導の原因になる
  • 凍結対策:冬季に水道管の水抜きを怠ると破裂し、修繕費用が数十万円に及ぶことがある
  • 屋根の雪下ろし:積雪荷重による建物損傷を防ぐため、年1〜2回の対応が必要
  • 固定資産税:特定空家に指定されると住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍に跳ね上がる可能性がある

これらを合計すると、北海道の空き家の維持管理費は年間30〜50万円に達するケースも珍しくありません。売却を先送りするほどコストが積み上がるため、早期の判断が重要です。

 

 

 

地下鉄沿線・JR沿線エリアの売却スピードの違い

 

札幌市内でも、エリアによって売却スピードには大きな差があります。

 

 

地下鉄沿線の市街地エリアでは、利便性の高さから買い手が見つかりやすく、売却活動開始から成約まで2〜4か月で決まるケースが多い傾向です。

 

 

一方、JR沿線の郊外エリアでは6か月〜1年かかることもあります。とくに築年数が古い物件は、買取による売却を検討したほうがスムーズに進む場合もあります。

 

 

空き家・空き地の売却について詳しくは、空き家・空き地の売却についてをご覧ください。

 

 

 

相続不動産の査定から売却完了までの実務ポイント

 

相続登記が完了し売却の準備が整ったら、いよいよ不動産会社への査定依頼です。ここからの手順で注意すべきポイントをご紹介します。

 

 

 

不動産会社選びで確認すべき3つの条件

  • 相続不動産の売却実績:相続案件は通常の売却と異なる手続きが多いため、経験豊富な会社を選ぶことが大切です。過去の相続案件の取扱件数を確認しましょう
  • 地域の市場に精通しているか:札幌の不動産市場は地下鉄沿線とJR沿線で特性が異なります。地域密着で市場動向を把握している会社が適切な査定額を提示できます
  • 税務・法務の専門家と連携しているか:相続不動産の売却では税理士や司法書士との連携が不可欠です。提携先の専門家を紹介してもらえるかどうかも重要な判断基準です

 

 

 

売買契約から引き渡しまでの注意点

 

買主が決まったら、売買契約の締結に進みます。契約時には以下の点に注意してください。

  • 契約不適合責任の範囲:相続した不動産は売主が物件の状態を十分把握していないことが多いため、契約不適合責任の免責条項について事前に不動産会社と相談する
  • 確定測量の要否:土地の境界が不明確な場合は確定測量が必要になり、費用は30〜80万円程度かかる
  • 残置物の処理:被相続人の家財道具が残っている場合は、引き渡しまでに撤去が必要。業者に依頼すると一戸建てで20〜50万円程度が目安
  • 売却代金の分配:共有名義の場合は売却代金から諸費用を差し引いた後、持分割合に応じて分配する

決済・引き渡しは一般的に売買契約から1〜2か月後に行われます。司法書士立会いのもと、代金の授受と所有権移転登記を同日に完了させるのが通常の流れです。

 

 

相続不動産の売却でお悩みの方は、まずは無料査定からお気軽にご相談ください。無料査定のお問い合わせはこちらから受け付けております。

 

 

 

よくある質問

 

 

 

Q: 相続した不動産を売却するには遺産分割協議書が必ず必要ですか?

 

A: 法定相続分どおりに共有名義で相続登記を行えば、遺産分割協議書がなくても売却は可能です。ただしその場合、売却時に共有者全員の同意と署名押印が必要になります。

 

 

実務上は遺産分割協議書を作成し、売却を担当する相続人の単独名義にしてから売却する方がスムーズに進む場合が多いです。

 

 

 

Q: 相続不動産の売却で使える「取得費加算の特例」とはどんな制度ですか?

 

A: 相続税を納付した方が、相続開始から3年10か月以内に相続財産を売却した場合、支払った相続税の一部を不動産の取得費に加算できる制度です。

 

 

取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、所得税と住民税の負担を軽減する効果があります。相続税の申告期限の翌日から3年以内が適用期限となります。

 

 

 

Q: 遺産分割協議がまとまらないまま不動産を売却することはできますか?

 

A: 法律上は、自分の共有持分のみを第三者に売却することは可能です。しかし共有持分だけでは買い手が見つかりにくく、市場価格より大幅に低い金額での売却になるのが一般的です。

 

 

多くの場合、家庭裁判所の調停や審判を利用して遺産分割を成立させてから売却する方が、結果的に有利な条件で売却できます。

 

 

 

Q: 相続した札幌の空き家を放置すると固定資産税はどれくらい上がりますか?

 

A: 管理不全の空き家が「特定空家」に指定されると、住宅用地の特例措置が解除されます。この特例は土地の固定資産税を最大6分の1に軽減するものなので、解除されると税額が最大6倍に上がる可能性があります。

 

 

札幌市でも特定空家の認定は進んでおり、北海道の厳しい気候による建物の劣化は指定の判断材料になりやすいため、早めの対策が重要です。

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