冬になると、屋根からのつららや落雪で隣家と揉めてしまうことがあります。そうした家を売ることになり、不安を抱えているお客様は少なくありません。
この記事では、札幌で不動産売却を手がける当社が、次の4点を順に解説します。告知義務の考え方、契約不適合責任のリスク、屋根対策の費用対効果、そして現況のまま売る方法です。
まず、落雪トラブルの典型例と、法律上どのように扱われるかを確認します。売主が負う可能性のあるリスクを知ることが、売却準備の第一歩になります。
札幌の年間降雪量は平年で約4.8mに達し、屋根には大量の雪が積もります。しまった雪は1㎥あたり300kg前後になることもあり、落ちると大きな被害につながります。
当社に寄せられるご相談では、主に次のような近隣トラブルが見られます。
建物の屋根は、民法717条の「土地の工作物」にあたると一般的に考えられています。設置や保存に問題があって他人に損害を与えた場合、まず占有者が、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が責任を負う仕組みです。
所有者の責任は、過失がなくても負う可能性がある点に注意が必要です。雪止めがない、あるいは壊れたまま放置していると、賠償を求められるおそれが高まります。
こうした経緯は、買主にとって「購入後も同じ問題が続くか」を判断する大事な材料です。そのため、価格や売りやすさに影響しやすくなります。個別の責任の有無は、弁護士などの専門家に確認されることをおすすめします。
多くのお客様が最も気にされるのが告知の要否です。結論として、近隣との揉め事は告知する方向で考えるのが一般的に安全です。
告知の判断は、トラブルの段階によって変わります。以下は当社が実務で用いている目安です。
告知しないまま引き渡し、後で買主が事実を知った場合は、契約不適合責任や説明義務違反を問われる可能性があります。買主の不満は、引渡し後の最初の冬に表面化しやすい傾向があります。
民法では、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば責任を追及できるとされています。個人の売主の場合は、引渡しから3ヶ月などに期間を限定する特約を設けることが多くあります。
物件状況報告書(告知書)には、事実を具体的に書くことが大切です。記載例は次のとおりです。
トラブルの事情が複雑な物件は、ワケあり物件として専門的な売却方法を検討する余地もあります。まずは事実を整理し、不動産会社と共有してください。
査定では、建物の状態に加えて「冬に問題が起きない家か」も見られます。ここでは評価が分かれやすいポイントを具体的に整理します。
北海道の買主は、屋根の形状をとても気にします。雪下ろしが不要で落雪の心配が少ない無落雪屋根は、一般的に好まれる傾向があります。
一方、勾配のある三角屋根は雪が自然に落ちる構造です。そのため、隣地との距離が近い物件ほど、価格交渉の材料にされやすくなります。
当社が査定時に確認している主な項目は次のとおりです。
軒先の越境は、境界確認の際に問題となることがあります。築年数が経った戸建ての売却では、測量や境界の確認とあわせて点検しておくと安心です。
札幌ならではの住宅の特徴を知ると、自宅がどの程度トラブルのリスクを抱えているかを判断しやすくなります。
札幌の住宅は、1980年代頃から屋根の中央に雪をためて溶かすスノーダクト方式の無落雪屋根が広まりました。現在の市街地エリアでは、この形状が主流になっています。
一方、築40年以上の住宅には三角屋根が多く残っています。もともと敷地に余裕があることを前提とした設計のため、後から隣に家が建ち、落雪が問題になるケースが見られます。
札幌市は、敷地の雪を道路に出さないよう呼びかけています。そのため道内の住宅は、敷地内で雪を処理する前提で考える必要があります。
地下鉄沿線やJR沿線の駅近では、30坪前後の狭小地に家が密集していることがあります。隣家との距離が近いほど、落雪の影響が出やすくなります。
冬に内見する買主は、次の点をよく確認します。
冬に売り出す場合は、事前に軒下の雪を片付けておくと印象がよくなります。あわせて、つららも除去しておきましょう。
売却前の改修は、かけた費用を回収できるかで判断します。費用の目安と、やるべき対策・見送ってよい対策を整理します。
一般的な費用の目安は次のとおりです。屋根の大きさや状態によって大きく変わるため、あくまで参考としてください。
雪止めの設置は費用が比較的安く、トラブルの再発防止を示す材料になります。そのため、費用に見合いやすい対策といえます。
一方、無落雪屋根への改修は、数百万円の費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。建物の評価が低い築年数の古い家では、回収が難しい場合が多くあります。
建物を解体する前提の買主や、自分の好みで改修したい買主もいます。そのため、改修せずに現況のまま、価格調整で売るほうが手取りが多くなるケースもあります。
当社では、まず改修しない場合の査定額を出します。そのうえで、改修費用と比べて判断することをおすすめしています。売却の方法と費用の全体像をつかんでから決めると、判断を誤りにくくなります。
近隣トラブルを抱えた物件でも売却は可能です。紛争の段階に応じて、仲介と買取のどちらが向いているかを比べてみましょう。
隣家と合意書や覚書を交わしている場合は、その内容を買主に引き継げるかを確認します。たとえば「毎冬、落雪は売主側で除雪する」という約束は、新しい所有者に当然には引き継がれないと考えられています。
一般的な進め方は次のとおりです。
仲介は市場価格に近い金額で売れる可能性があります。ただし、トラブルを嫌う買主が多いため、売却期間が3〜6ヶ月以上に長引くことがあります。
不動産会社による買取は、価格が相場の7〜8割程度になることが多いものの、次のようなメリットがあります。
当社では、仲介と買取の両方で査定額をお出しし、お客様の状況に合う方法をご提案しています。まずは無料査定・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
つらら・落雪による近隣トラブルと売却について、お客様からよくいただく質問にお答えします。
A: 原則として伝える方向で考えるのが一般的に安全です。解決済みでも、経緯や合意内容を物件状況報告書に記載しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
どこまで告知するかは事情によって異なるため、不動産会社や専門家と確認しながら進めてください。
A: 売却は可能です。落雪の方向や対策の状況を買主に正しく伝えることが前提となります。
そのうえで、価格を調整して仲介で売るか、現況のまま不動産会社に買い取ってもらうかを検討します。
A: 費用対効果によります。雪止めは数万〜30万円程度と比較的安く、評価につながりやすい対策です。
無落雪屋根への改修は数百万円かかるため、査定を受けてから判断するのが無難です。
A: 現況のまま買取に対応できる場合が多くあります。紛争の内容によって条件が変わるため、まずは経緯をお聞かせください。
当社でも、札幌市内のトラブルを抱えた物件のご相談をお受けしています。お気軽にお問い合わせください。
つらら・落雪による近隣トラブルは、北海道の住宅ならではの悩みです。告知と対策を適切に行えば、売却を進められます。
2026年の冬を迎える前に、まずはご自宅の現況での価値を把握しておきましょう。当社は札幌の住宅事情に合わせて、お客様に最適な売却方法をご提案します。
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