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2026/09/14

ブログ

親が認知症になったときの不動産売却|成年後見と家庭裁判所の許可

親が認知症と診断され、実家をどうするかを考え始めた。「家族が代わりに売れるのか」という疑問が最初に出てきます。

結論から言うと、家族が代わりに売ることはできません。不動産を売れるのは所有者本人だけで、本人に契約の意味を理解する力(意思能力)が残っていない場合は、成年後見人を立てたうえで、家庭裁判所の許可を得る必要があります。ここには数か月かかります。

認知症だと必ず売れないわけではない

判断の基準は診断名ではなく意思能力

認知症という診断があっても、売買契約の内容を理解し、自分の意思で決められる状態であれば、本人が売ることができます。程度は人によって大きく違い、時期によっても変わります。

意思能力がないまま結んだ契約は無効になる

理解できない状態のまま署名させても、その契約はあとから無効とされる可能性があります。買主にとっても大きな負担になるため、司法書士や金融機関が本人の状態を確認し、進められないと判断することがあります。

家族の代筆や委任状では通らない

委任状は、本人に判断する力があることが前提の書類です。本人が理解できない状態で作られた委任状は効力を持ちません。「実印を預かっているから大丈夫」ということにはなりません。

成年後見制度を使う

どういう制度か

判断する力が十分でない方に代わって、財産の管理や契約を行う人を家庭裁判所が選ぶ制度です。本人の状態に応じて後見・保佐・補助の3つに分かれます。

居住用不動産を売るには家庭裁判所の許可が要る

後見人が付いても、それだけで売れるわけではありません。本人が住んでいた(住んでいる)不動産を売る場合は、家庭裁判所の許可が別に必要です。本人の生活の基盤を失わせないための決まりです。

許可の判断では、売る必要性(施設の費用に充てるなど)、価格が適正か、本人が戻る見込みがあるかが見られます。査定書や施設の費用の資料を添えて申し立てます。

後見人は家族が選ばれるとは限らない

申立てのときに候補者を挙げることはできますが、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門職を選ぶこともあります。財産の額が大きい場合や、親族のあいだで意見が分かれている場合はその傾向があります。

始めたら、本人が亡くなるまで続く

ここは必ず知っておいてください。成年後見は「家を売るあいだだけ」という使い方ができません。本人が亡くなるまで続き、専門職が後見人になった場合は報酬が毎年かかります。家庭裁判所への報告も続きます。

売却までの流れ

  1. 本人の状態を医師に確認する/申立てには診断書が必要です。かかりつけ医に相談します
  2. 家庭裁判所に後見開始の申立てをする/本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ。札幌市内にお住まいなら札幌家庭裁判所です
  3. 審理・審判/申立てから審判まで数か月みておいてください。鑑定が必要になるとさらに延びます
  4. 後見人が売却の準備をする/査定を取り、価格と売却の理由を整理します
  5. 居住用不動産処分の許可を申し立てる/売買契約書の案、査定書、費用の資料を添えます
  6. 許可が出てから契約・引き渡し/許可前に契約を結んでも効力が生じません

全体で半年から1年近くかかることも珍しくありません。「施設の費用が足りなくなってから」では間に合いません。状態が変わり始めた段階で、進め方だけでも決めておいてください。

売ったお金の扱い

本人の財産として管理する

売却代金は本人のものです。後見人が本人の口座で管理し、家庭裁判所に報告します。施設の費用や医療費に充てるのは当然できますが、家族の生活費に使うことはできません。

生前贈与や相続対策はできなくなる

後見が始まると、本人の財産を減らす行為は原則としてできません。生前贈与、相続税対策としての資産の組み替え、自宅の建て替えなどは行えなくなります。これも、始める前に知っておくべき点です。

元気なうちにできる備え

任意後見契約

判断する力があるうちに、誰に、何を任せるかを自分で決めて公正証書で契約しておく方法です。実際に判断が難しくなったときに効力を持たせます。後見人を家庭裁判所に選ばれるのではなく、自分で決められるのが違いです。

家族信託

自宅などの財産の管理を、信頼できる家族に託しておく方法です。あらかじめ「売却してよい」と定めておけば、判断が難しくなったあとでも家族が売却できます。家庭裁判所の許可も不要です。ただしこれも、本人に判断する力があるうちにしか結べません。

先に売っておく

もっとも単純な方法です。本人が元気なうちに売れば、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までという期限内であれば、居住用財産の3,000万円特別控除も使えます。手続きも短くて済みます。

備えは、判断する力があるうちにしかできません。診断がついてからでは、選べる方法が成年後見だけになります。この差は、時間にしても費用にしてもかなり大きなものです。

手続きのあいだ、家をどうしておくか

札幌の空き家は冬の手当てが必須

後見の手続きに数か月かかるあいだ、家は空いたままになります。水抜きと閉栓をしないまま冬を越すと、配管が凍って破裂します。屋根の雪下ろしと玄関前の除雪も、誰が手配するかを決めておいてください。

人に貸さない

空けておくのがもったいないからと貸してしまうと、将来、相続後に空き家の3,000万円特別控除を使えなくなります。後見人が付いている状態で賃貸に出すこと自体にも制約があります。

価格は先に把握しておく

家庭裁判所への許可の申立てでは、価格が適正かどうかが見られます。査定を先に取っておけば、申立ての資料としてそのまま使えます。売ると決まる前でも、金額を把握しておいて損はありません。

よくあるご質問

親が認知症です。子どもが代わりに売れますか。

売れません。不動産を売れるのは所有者本人だけです。本人に契約の意味を理解する力が残っていない場合は、成年後見人を立てたうえで家庭裁判所の許可を得る必要があります。

認知症と診断されていても、本人が売れる場合はありますか。

あります。判断の基準は診断名ではなく、契約の内容を理解して自分の意思で決められるかどうかです。程度は人によって違うため、司法書士や金融機関が本人の状態を確認したうえで判断します。

委任状があれば売れますか。

本人に判断する力があることが前提の書類なので、理解できない状態で作られた委任状は効力を持ちません。実印を預かっていても同じです。

成年後見の手続きにどれくらいかかりますか。

申立てから審判まで数か月、鑑定が必要になるとさらに延びます。そのあとで居住用不動産処分の許可を得る必要があるため、全体で半年から1年近くかかることも珍しくありません。

後見人には家族がなれますか。

候補者を挙げることはできますが、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門職を選ぶこともあります。財産の額が大きい場合や、親族のあいだで意見が分かれている場合はその傾向があります。

家を売り終わったら後見は終わりますか。

終わりません。成年後見は本人が亡くなるまで続きます。専門職が後見人になった場合は報酬が毎年かかり、家庭裁判所への報告も続きます。

売ったお金を家族が使ってよいですか。

売却代金は本人の財産です。施設の費用や医療費に充てることはできますが、家族の生活費に使うことはできません。後見人が本人の口座で管理し、家庭裁判所に報告します。

まだ元気ですが、備えておく方法はありますか。

任意後見契約、家族信託、元気なうちに売っておく、という3つの方法があります。いずれも判断する力があるうちにしかできません。診断がついてからでは成年後見しか選べなくなります。

申立ての資料にも使えます。まず金額を確かめる

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