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2023/04/26

戸建て売却 コラム

契約不適合責任とは|売主が負う範囲と、札幌の中古住宅で必ず書いておくこと

先に結論です。契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約書に書かれた内容と違っていたときに、売主が負う責任のことです。2020年の民法改正で、それまでの瑕疵担保責任から置き換わりました。大事な点は一つで、契約書に書いてあれば責任を負わないということです。隠すのではなく、書いておく。これが売主を守る唯一の方法です。

札幌の中古住宅では、雨漏り、床下の腐り、給排水管の凍結による割れ、シロアリ、境界の不明確さなどがよく問題になります。どれも後から見つかったときにもめるもので、逆に言えば売る前に把握して契約書に書いておけば、もめようがありません。以下では、何を書けばよいのか、どこまで責任を負うのかを順に整理します。

契約不適合責任とは何か

引き渡した物が、種類・品質・数量について契約の内容に適合していない場合、買主は売主に対して、修補の請求、代金の減額請求、損害賠償の請求、契約の解除ができます。ここでいう契約の内容とは、売買契約書と、その一部である物件状況報告書や付帯設備表に書かれたことを指します。

以前の瑕疵担保責任との違い

  • 以前は隠れた瑕疵、つまり買主が知らなかった欠陥だけが対象だった
  • 今は契約の内容と違うかどうかで判断する
  • 買主が使える手段に、修補請求と代金減額請求が加わった
  • 契約書への記載がこれまで以上に重要になった

言い換えると、買主が知っていたかどうかではなく、契約書に書いてあったかどうかで決まります。口頭で伝えただけでは、言った言わないになります。必ず書面に残してください。

売主がやるべきことは3つだけ

物件状況報告書を正直に埋める

雨漏り、シロアリ、給排水管の不具合、建物の傾き、増改築の履歴、火災の履歴、近隣との申し合わせなどを記入する書面です。わからないことは、わからないと書いて構いません。事実でないことを書くほうが危険です。相続した実家のように売主自身が住んでいなかった場合は、その旨をはっきり記載しておきます。

付帯設備表で設備の状態を伝える

給湯器、コンロ、換気扇、エアコン、照明、インターホン、物置などを一つずつ、引き渡すか撤去するか、不具合があるかを書きます。故障している設備は、故障と書いたうえで引き渡せば責任を負いません。直してから渡す必要はありません。

免責の範囲を契約書に定める

個人が売主の中古住宅では、契約不適合責任を負う期間を引き渡しから3か月程度に限る、あるいは建物については免責とする、といった取り決めがよく使われます。これは当事者の合意で決められる部分です。

売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法により、引き渡しから2年以上の期間を定めなければならないなどの制限があります。個人が売主の取引とは前提が違います。

札幌でとくに争いになりやすい5つ

給排水管の凍結による破損

空き家のまま冬を越した家では、水抜きが不十分だと配管が凍って割れます。割れていても、水を止めているあいだは気づきません。春に通水して初めてわかるため、冬の引き渡しでは特に注意が必要です。引き渡し前に通水して確認するか、確認していない旨を契約書に明記してください。

雪の重みによる屋根と雨樋の変形

見た目では気づきにくく、次の冬に雨漏りとして表れることがあります。過去に屋根工事をした履歴があれば、時期と内容を書いておきます。

凍上による基礎のひびと床の傾き

床にビー玉を置いて転がるかどうか、という話をよく聞きますが、程度の判断は難しいところです。気になるなら、売り出す前に専門家に見てもらい、その結果を報告書に添えるのが確実です。

境界と越境

塀、物置、庭木の枝、屋根の軒先が隣地にはみ出していることがあります。冬は雪で境界杭が埋まって確認できないため、測量や立会いは雪が消えてから行います。売り出しを急ぐ場合は、境界未確定のまま売ることを契約書に明記します。

敷地内の埋設物

古い浄化槽、使わなくなったオイルタンク、解体したガレージの基礎などが地中に残っていることがあります。土地として売る場合、埋設物は撤去費用の話に直結します。心当たりがあれば必ず書いてください。

札幌では、冬に売買契約を結んで春に引き渡すという流れが少なくありません。雪が消えたときに初めて見えるものがあるので、引き渡しの直前にもう一度現地を確認する取り決めを入れておくと安全です。

買主が請求できる4つの手段

  1. 追完請求 直してほしい、足りない分を渡してほしいという請求
  2. 代金減額請求 直してもらえないときに、その分を値引きしてほしいという請求
  3. 損害賠償請求 売主に落ち度があるときに、損害を埋めてほしいという請求
  4. 契約解除 目的が達せられないほど重大なときに、契約をなかったことにする

買主は、契約の内容と違うことを知ってから1年以内に売主へ通知する必要があります。ただし売主がそれを知っていて告げなかった場合は、この期間の制限は使えません。隠すことが一番危険だというのは、この点からもわかります。

免責特約はどこまで有効か

個人どうしの売買では、契約不適合責任を免除したり、期間を短く区切ったりする特約が有効です。実務では次のような書き方がよく使われます。

  • 建物については契約不適合責任を負わない(土地のみ責任を負う)
  • 責任を負う期間を引き渡しから3か月とする
  • 雨漏り・シロアリ・構造上主要な部位の腐食・給排水管の故障の4点に限る

ただし、売主が不具合を知っていながら買主に告げなかった場合、免責特約があっても責任を免れません。免責は「知らなかったこと」を守る仕組みであって、「隠したこと」を守る仕組みではありません。

築年数が古い家ほど、建物免責での取引が自然です。買主も、築40年の家に新築同様の状態を期待してはいません。むしろ、状態をはっきり伝えたうえで免責にするほうが、話が早くまとまります。

相続した家を売るときの注意

相続した実家は、売主自身が住んだことのない家であることが多く、雨漏りの有無も設備の状態もわからないのが普通です。この場合は、物件状況報告書に「相続により取得したため、居住歴がなく状況を把握していない」とはっきり書きます。わからないことをわからないと書くのは、不誠実ではなく、正確な記載です。

そのうえで、建物については契約不適合責任を負わない特約を入れるのが一般的です。買主も、事情を理解したうえで検討します。

責任を負わずに手放す方法

どうしても引き渡し後の責任が心配という場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。買主が不動産会社であれば、建物の状態を自分で判断したうえで買うため、契約不適合責任を負わない条件での契約が成り立ちます。

  • 雨漏り、傾き、シロアリ、埋設物があっても、直さずに引き渡せる
  • 引き渡しのあとに連絡が来る心配がない
  • 残置物を片づけずに引き渡せる場合もある

仲介で売るより手取りは下がりますが、遠方に住んでいる、高齢で対応が難しい、相続人が複数いて長く持ちたくない、といった事情があるときは現実的な選択肢になります。

売る前にやっておくと差が出ること

  1. 過去の修繕の記録を集める(屋根、外壁、給湯器、水回り)
  2. 権利証、確定測量図、建築確認済証を探す
  3. 隣地との申し合わせがあれば書面にする
  4. 設備を一つずつ動かして、不具合の有無を確かめる
  5. 把握したことを物件状況報告書と付帯設備表に落とし込む

税金の扱いや契約条項の書き方について迷ったときは、最終的な判断は税理士・司法書士・弁護士にご確認ください。ここでは売却実務でよくある考え方を整理しています。

よくあるご質問

契約不適合責任は個人が売主でも負いますか。

負います。ただし当事者の合意で、責任を負わない、あるいは期間を短く区切るといった特約を定めることができます。個人間の中古住宅では広く使われています。

古い家なのに責任を負うのは酷ではありませんか。

だからこそ、建物については免責とする特約や、期間を3か月に限る特約が使われます。大事なのは、知っている不具合を必ず書面に書いておくことです。

知らなかった不具合でも責任を負いますか。

原則として、契約の内容と違えば責任の対象になります。だからこそ免責特約が使われます。ただし知っていて告げなかった場合は、免責特約があっても責任を免れません。

設備が壊れているのですが直してから売るべきですか。

直さなくて構いません。付帯設備表に故障と書いたうえで引き渡せば、その設備について責任を負いません。

相続した家で状態がわかりません。どう書けばいいですか。

相続で取得したため居住歴がなく状況を把握していない、とはっきり書いてください。わからないことをわからないと書くのは正確な記載であり、問題ありません。

冬に引き渡す場合に気をつけることは何ですか。

水抜きが不十分だと給排水管が凍って割れていることがあります。通水して確認するか、確認していない旨を契約書に書いてください。境界も雪で見えないため、未確定である旨の記載が必要です。

買主はいつまで請求できますか。

契約の内容と違うことを知ってから1年以内に売主へ通知する必要があります。ただし特約でこの期間を短く区切ることもできます。

引き渡し後に連絡が来るのが不安です。

不動産会社が直接買い取る形であれば、契約不適合責任を負わない条件での契約が成り立ちます。雨漏りや傾きがあっても、直さずに引き渡せます。

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