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2026/06/07
相続土地の名義変更・売却費用と手順
相続土地の名義変更・売却費用と手順
相続した土地を売却するには、まず名義変更(相続登記)を完了させることが実務上の原則です。
2024年4月から相続登記が義務化され、期限を守らないと10万円以下の過料が科されるリスクが生じました。
本記事では、名義変更の手順・必要書類・費用の実額、複数相続人がいる場合の対処法、さらに売却が難しい場合の代替手段まで、実務チェックリスト形式で解説します。
相続した土地を売却するまでの全体像と実日数
相続発生から土地売却完了まで、一般的な流れと目安の所要日数を把握しておくことが重要です。全体では最短4〜6か月、平均8〜12か月かかることが多いです。
名義変更から売却完了まで工程別の標準所要日数
各工程の目安日数は以下のとおりです。
- 相続人調査・戸籍収集:2〜4週間
- 遺産分割協議書の作成・全員署名・押印:2〜8週間(相続人数・合意状況による)
- 相続登記の申請〜完了:法務局の混雑状況により1〜3週間
- 不動産査定・媒介契約:1〜2週間
- 売買契約〜引き渡し:1〜3か月
相続人が多い・遠方にいる・連絡が取れないなどの事情があると、遺産分割協議だけで数か月かかることもあります。
早期対応が、余分な固定資産税や管理費用の発生を防ぐうえでも大切です。
2024年4月施行・相続登記義務化で変わったこと(罰則と3年以内期限)
2024年4月1日から相続登記が法律上の義務となりました。相続の開始および所有権取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。
- 正当な理由なく期限を超過した場合:10万円以下の過料が科される可能性があります
- 遺産分割が未完了の場合:「相続人申告登記」で一時的に義務履行とみなされます
- 2024年4月より前に相続した土地も対象:施行日から3年以内(2027年3月31日まで)に登記が必要です
「名義変更をしていないと売却できない」わけではありませんが、実務上は登記完了後に売買契約を締結するケースがほとんどです。
登記前に契約を進めると、買主のローン審査や所有権移転手続きに支障が生じるリスクがあります。
相続登記(名義変更)の手順と必要書類チェックリスト
相続登記は自分で行うことも可能ですが、書類の収集や申請書の作成には専門知識が必要です。手順を正確に把握しておくことで、手続きをスムーズに進められます。
法務局への申請から完了までのステップと自分でできる範囲
相続登記の主な手順は以下のとおりです。
- ①相続人調査:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集する
- ②遺産分割協議書の作成:相続人全員が署名・実印を押印する
- ③登記申請書の作成:法務局の書式に基づいて作成する
- ④登録免許税の納付:収入印紙で納付する
- ⑤法務局へ申請・受理待ち:郵送または窓口申請が可能
自己申請は書類収集に時間がかかる場合が多いです。相続人が複数いる・戸籍が複雑なケースは司法書士への依頼が現実的です。
札幌エリアの司法書士費用相場と依頼すべきケースの判断基準
札幌市内の司法書士報酬は、土地1筆・相続人2〜3名の標準的なケースで6万〜10万円前後が目安です。これに登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)が加わります。
- 固定資産税評価額1,000万円の土地:登録免許税 約4万円 + 司法書士報酬 約7万円 = 合計約11万円
- 固定資産税評価額2,000万円の土地:登録免許税 約8万円 + 司法書士報酬 約8万円 = 合計約16万円
以下のケースは司法書士への依頼をおすすめします。
- 相続人が4名以上いる場合
- 遺言書がある(検認が必要な場合)
- 被相続人の戸籍が複数の市区町村にまたがる場合
- 土地が複数筆ある場合
複数の相続人がいる場合の遺産分割協議と売却同意の取り方
兄弟姉妹や親族間で相続人が複数いる場合、全員の合意なしに土地を売却することは原則できません。手続きの流れと対処法を把握しておくことが重要です。
遺産分割協議書の作成手順と全員合意が必要な理由
遺産分割協議書は、相続人が全員参加して土地の帰属先を決める重要な書類です。一人でも欠けると協議は成立せず、売却手続きに進めません。
- 相続人全員の実印と印鑑証明書が必要
- 協議書の内容に一人でも異議を唱えた場合、合意は成立しない
- 行方不明の相続人がいる場合は、家庭裁判所への失踪宣告申立てが必要になる場合があります
遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法があります。
共有名義のまま売却するリスクと分割前に売却する方法
遺産分割が未完了のまま相続人全員の共有名義になると、売却には全共有者の同意が必要です。一人が反対すれば売却は進まず、管理費・固定資産税だけが発生し続けます。
反対者がいる場合の選択肢は以下のとおりです。
- 共有物分割請求訴訟:裁判所に土地の現物分割または競売を求める手続き
- 共有持分のみ売却:自分の持分だけを第三者に売却することは法律上可能ですが、買い手が限られ査定額が大幅に下がる傾向があります
- 他の相続人に買い取ってもらう:相続人内で持分を売買し、一人が単独所有にする方法
共有持分のみ売却した場合、買い主が見知らぬ第三者となり、残りの相続人との間でトラブルが生じるリスクがあります。できる限り全員合意による売却を目指すことが望ましいです。
相続土地の売却にかかる費用・税金の実額内訳
相続土地の売却では、登記・仲介・税金など複数の費用が発生します。あらかじめ合計費用の目安を把握しておくことで、手取り額の見通しが立てやすくなります。
登録免許税・仲介手数料・譲渡所得税の計算方法と合計目安
主な費用項目と計算方法を以下にまとめました。
- 登録免許税:固定資産税評価額 × 0.4%(相続登記の場合)
- 司法書士報酬:5万〜12万円程度(複雑さによる)
- 仲介手数料:売却価格が400万円超の場合、売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税が上限
- 譲渡所得税・住民税:長期譲渡(所有5年超)は約20%、短期譲渡(5年以内)は約39%
売却価格2,000万円の土地(仲介手数料上限の場合)では、仲介手数料だけで約72万円(税込)になります。
取得費が不明な場合の概算取得費特例(売却額の5%)の使い方
相続した土地の場合、被相続人が取得した際の金額(取得費)が不明なケースが少なくありません。この場合、概算取得費特例として「売却額の5%」を取得費として申告することができます。
例として、売却額2,000万円・取得費不明の場合を計算してみます。
- 概算取得費:2,000万円 × 5% = 100万円
- 譲渡費用(仲介手数料等):約80万円
- 譲渡所得:2,000万円 − 100万円 − 80万円 = 1,820万円
- 長期譲渡所得税(約20%):約364万円
なお、相続した土地への3,000万円特別控除は多くの場合適用されません(居住用財産の特例のため)。ただし被相続人が居住していた土地・建物に関する「空き家特例」が2026年現在も適用可能なケースがあります。
要件が複雑なため、詳細は税理士への確認をおすすめします。
札幌で相続土地を売却する際に知っておくべき地域特性
札幌での土地売却は、エリアによって売却スピードや査定相場が大きく異なります。道内最大の都市である札幌でも、エリア特性を正確に把握したうえで売却計画を立てることが重要です。
JR・地下鉄沿線エリアと郊外で異なる売却スピードと査定相場
札幌市の地価公示データ(2026年)によると、地下鉄沿線の市街地エリアと郊外では地価に大きな差があります。
- 地下鉄沿線・市街地エリア:坪単価50万〜200万円超の水準も見られ、売却期間は平均1〜3か月程度
- JR沿線の郊外エリア:坪単価10万〜40万円前後で、売却期間は3〜6か月以上かかるケースも多い
- 市街化調整区域・農地・山林:買い手が限られるため、6か月〜1年以上要することがある
道内では農地や山林を相続するケースも多く、地目によっては通常の売却と異なる手続きが必要です。
農地・山林相続が多い北海道特有の手続きが必要なケース
北海道は全国的に見ても農地・山林の割合が高く、道内での相続ではこれらの地目を受け継ぐことが少なくありません。地目ごとに必要な手続きが異なります。
- 田・畑(農地)の場合:売却・転用には農業委員会への届出または農地転用許可(農地法3条・4条・5条)が必要です。許可取得に1〜3か月程度かかることがあります
- 山林・原野の場合:農地法の対象外のため農地転用許可は不要です。地目変更登記が必要なケースがあります
- 雑種地・宅地の場合:通常の土地売却と同じ手続きで進められます
田・畑の売却スケジュールを立てる際には、農業委員会の許可取得期間を余裕をもって見込んでおくことが大切です。
なお、山林・原野は農地転用許可の対象外ですが、地目変更の要否について事前に法務局や専門家に確認することをおすすめします。
売却できない・したくない場合の代替手段を比較する
相続土地がなかなか売れない、あるいは売却したくないケースでも、管理負担や税負担をなくす方法はあります。主な代替手段とその特徴を整理します。
相続土地国庫帰属制度の申請要件・費用・却下リスク
2023年4月に施行された相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。ただし申請が通るには厳しい要件を満たす必要があります。
- 申請できる土地の要件:建物がない・担保権が設定されていない・隣地との境界が明確である 等
- 却下される主なケース:土壌汚染がある・急傾斜地で管理困難・境界が不明確 など
- 申請費用:審査手数料1万4,000円 + 書類準備費用。承認後も10年分の土地管理費(最低20万円前後)を納める必要があります
2026年現在、農地・山林・傾斜地などは却下事例も多く、すべての土地が引き取られるわけではありません。申請前に要件を十分に確認することが重要です。
自治体への寄付・空き地活用・不動産買取の選択肢と向いているケース
国庫帰属制度以外にも、以下のような選択肢があります。
- 自治体への寄付:自治体が公共目的に使える土地であれば受け取ってもらえることがあります。ただし多くの自治体は財政上の理由から引き受けに慎重です
- 空き地・空き家バンク活用:札幌市や道内の各自治体が提供する「空き地バンク」に登録し、利活用希望者とマッチングする方法です
- 不動産買取:仲介に比べて売却価格は低くなる傾向がありますが、最短数週間〜1か月程度で現金化でき、管理負担をすぐに解消できます
買取は査定額が市場価格の60〜80%程度になるケースが一般的ですが、売却が困難な立地・地目の土地では現実的な選択肢です。
当社では札幌市内および道内の相続土地について、無料で買取査定を承っております。お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q: 相続登記(名義変更)を済ませないと土地は売却できませんか?
A: 登記が未了のままでも、買主との売買契約を締結すること自体は法律上可能です。
ただし実務上は登記完了後に契約・引き渡しを行うケースがほとんどで、未登記のまま進めると買主のローン審査や所有権移転手続きに支障が生じます。また2024年4月から相続登記が義務化されており、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されるリスクもあります。
Q: 相続した土地を売却するとき、費用は合計いくらかかりますか?
A: 主な費用は、登録免許税(評価額の0.4%)・司法書士報酬(5万〜12万円程度)・仲介手数料(売却価格の約3%+6万円)・譲渡所得税(売却益の約20%または約39%)です。
例えば評価額1,000万円・売却価格1,500万円のケースでは、諸費用の合計が70万〜100万円前後になることがあります(譲渡所得税を除く)。売却益が大きい場合は譲渡所得税が最大の負担になるため、事前に試算することをおすすめします。
Q: 兄弟など複数の相続人がいて、一人が売却を反対した場合どうなりますか?
A: 土地の売却には原則として相続人全員の合意が必要です。一人でも反対すれば、通常の売却は進められません。
この場合、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てる方法や、共有物分割請求訴訟を起こして競売・現物分割を求める方法があります。また自分の共有持分のみを第三者に売却することも法律上は可能ですが、買い手が限られ査定額が大幅に下がるデメリットがあります。
Q: 相続した土地の売却益に税金はかかりますか?取得費が不明な場合はどうなりますか?
A: 相続した土地を売却して利益が出た場合、譲渡所得税・住民税がかかります。所有期間が5年超なら税率は約20%、5年以内なら約39%です(被相続人の取得からの保有期間を引き継ぎます)。
取得費が不明な場合は概算取得費特例(売却額の5%)を使うことができます。例えば売却額2,000万円なら取得費を100万円として計算します。なお「空き家特例」の3,000万円特別控除が適用できるケースもありますが、要件が複雑なため税理士への確認をおすすめします。
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