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2026/07/31
相続した土地の売却で使える特別控除と不動産の税金対策
相続した土地の売却で使える特別控除と不動産の税金対策
親から相続した土地を売却したいが、税金がいくらかかるのか不安というご相談が増えています。
実は相続した不動産の売却には、最大3,000万円の特別控除をはじめとする複数の税制優遇があります。
この記事では、相続した土地の売却時に使える控除制度の要件や落とし穴、札幌ならではの注意点まで詳しく解説します。
相続した土地の売却にかかる税金の基本
相続した土地を売却すると「譲渡所得税」が発生します。まずは計算の仕組みを押さえておきましょう。
譲渡所得税の計算の仕組み
譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた利益(譲渡所得)に対して課税されます。
税率は不動産の所有期間によって異なり、相続の場合は被相続人が取得した時点から起算します。
- 短期譲渡所得(5年以下):所得税30.63%+住民税9%=合計約39.63%
- 長期譲渡所得(5年超):所得税15.315%+住民税5%=合計約20.315%
たとえば親が30年前に購入した土地であれば、長期譲渡所得の税率が適用されます。相続によって所有期間がリセットされるわけではないため、多くの場合は長期譲渡に該当します。
取得費が不明な場合の概算取得費の扱い
相続した土地は、親や祖父母が数十年前に購入しているケースが大半です。購入時の売買契約書が残っていないことも珍しくありません。
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算するルールがあります。
たとえば2,000万円で土地を売却した場合、概算取得費は100万円です。実際の購入価格が500万円だったとしても、契約書がなければ100万円しか経費にできず、結果的に税負担が大きくなります。
古い通帳の振込記録や不動産業者の台帳など、取得費を証明できる資料がないか早めに確認することが重要です。
3,000万円特別控除(被相続人居住用家屋等の特例)の適用要件
相続した不動産の売却で最も節税効果が大きいのが、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除です。ただし適用にはいくつかの厳格な要件があります。
適用を受けるための5つの要件
- 被相続人が一人暮らしだったこと:相続開始の直前に被相続人以外の居住者がいないことが条件です
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること:旧耐震基準の建物が対象になります
- 相続から売却まで空き家であること:賃貸に出したり、他の人が住んだ場合は適用外です
- 売却価格が1億円以下であること:共有の場合は合計額で判定します
- 相続開始から3年後の12月31日までに売却すること:この期限を1日でも過ぎると適用できません
2024年1月1日以降の譲渡では、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に縮減される改正が行われています。相続人の人数も事前に確認しておきましょう。
耐震基準・解体要件でつまずきやすいポイント
この特例では、売却時に家屋が旧耐震のまま残っている場合、そのままでは適用を受けられません。以下のいずれかの対応が求められます。
- 耐震リフォームを行う:新耐震基準に適合させてから売却する
- 家屋を解体して更地にする:解体後に土地として売却する
- 売買契約に基づき買主が解体する:2024年以降の改正で認められた方法です
札幌圏では旧耐震の木造住宅が多く、耐震リフォーム費用が500万〜800万円かかるケースもあります。費用対効果を考えると、解体して更地にする方が現実的な選択肢になることが多いです。
なお解体のタイミングにも注意が必要です。相続開始後に解体することが要件であり、被相続人の生前に解体していた場合はこの特例の対象外となります。
取得費加算の特例との違いと有利判定シミュレーション
相続した土地の売却で使えるもうひとつの税制優遇が「取得費加算の特例」です。3,000万円特別控除とは併用できないため、どちらが有利か比較検討が欠かせません。
2つの特例の併用可否と選択基準
取得費加算の特例は、支払った相続税の一部を取得費に上乗せできる制度です。相続税の申告期限から3年以内(相続開始から3年10か月以内)に売却した場合に適用されます。
3,000万円特別控除との最大の違いは以下のとおりです。
- 3,000万円特別控除:控除額は最大3,000万円で固定。被相続人居住用家屋等の要件あり
- 取得費加算の特例:控除額は納めた相続税額に連動。居住用要件なし
一般的に、相続税額が3,000万円を超える大規模な相続では取得費加算が有利になり、相続税額が小さい場合は3,000万円控除が有利になります。
数値例で比較する有利不利の判定
具体的なシミュレーションで確認しましょう。土地の売却価格3,000万円、概算取得費150万円(売却価格の5%)、譲渡費用100万円と仮定します。
【ケースA:3,000万円特別控除を選択】
譲渡所得=3,000万円−150万円−100万円−3,000万円=0円。税額は0円です。
【ケースB:取得費加算の特例を選択(相続税額800万円のうち土地按分400万円)】
譲渡所得=3,000万円−150万円−100万円−400万円=2,350万円。長期譲渡の税率約20.315%を適用すると、税額は約477万円です。
このケースでは3,000万円特別控除の方が約477万円も有利です。
一方、相続税額が非常に大きく土地按分が3,500万円を超えるようなケースでは、取得費加算の方が有利になることもあります。ご自身の状況に応じて税理士に相談されることをおすすめします。
相続登記義務化と売却スケジュールの段取り
2024年4月から相続登記が義務化されました。売却を検討する場合は、登記と控除の期限を同時に管理する必要があります。
相続登記の期限と未登記のリスク
相続登記の義務化により、相続を知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。正当な理由なく登記を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
2024年4月より前に発生した相続についても、2027年3月31日までに登記を完了させる経過措置が設けられています。
相続登記をしていない土地は、そもそも売却の手続きを進めることができません。買主への所有権移転登記の前提として、相続登記が完了している必要があるためです。
特別控除の期限から逆算した売却スケジュール
3,000万円特別控除の期限は「相続開始から3年後の12月31日」です。売却完了(引き渡し)までにこの期限を迎える必要があるため、逆算して段取りを組みましょう。
- 相続発生〜3か月:遺産分割協議・相続登記の準備
- 3か月〜6か月:相続登記の完了・不動産会社への査定依頼
- 6か月〜1年:媒介契約・売却活動の開始
- 1年〜2年:買主との交渉・売買契約の締結
- 2年〜2年6か月:引き渡し・確定申告の準備
札幌では冬季(12月〜3月)に内覧や現地確認が難しくなるため、売却活動は春〜秋に集中させるのが得策です。期限ギリギリにならないよう、余裕を持ったスケジュールで動き始めることが大切です。
札幌で相続した土地を売却する際の注意点
道内、特に札幌圏で相続不動産を売却するときには、本州とは異なる地域特有の事情を考慮する必要があります。
積雪寒冷地ならではの解体費と売却時期の考え方
札幌は積雪寒冷地のため、建物の解体費用が本州と比べて割高になる傾向があります。
- 木造住宅の解体費:坪あたり4万〜6万円が目安(本州では3万〜5万円程度)
- 冬季(12月〜3月)の解体工事:凍結対策・除雪作業で追加費用が1〜2割増しになるケースが多い
- 解体の適期:4月〜10月の雪のない時期がコストを抑えやすい
不動産の売却活動も冬季は市街地エリアであっても現地確認のハードルが上がります。地下鉄沿線やJR沿線であれば冬でも需要は比較的安定していますが、郊外の土地は春先まで動きが鈍くなりがちです。
北海道の路線価は札幌市内で上昇傾向が続いており、2025年分では前年比で約4〜5%の上昇を見せたエリアもあります。一方で地方部では横ばいまたは下落が続いており、売却時期の見極めが重要です。
札幌市の空き家対策補助金の活用
札幌市では老朽化した空き家の除却(解体)に対する補助金制度を設けています。対象となる建物には一定の要件がありますが、解体費用の一部を補助してもらえる場合があります。
補助金の上限額や申請時期は年度ごとに変わるため、売却前に札幌市の住宅課に確認されることをおすすめします。補助金を活用できれば、解体費の負担を軽減しながら3,000万円特別控除の適用も目指せます。
相続した土地を売却する流れと必要書類
相続した土地の売却は、通常の不動産売却よりも手続きが多くなります。全体の流れと必要書類を事前に把握しておきましょう。
売却完了までの6ステップ
- ステップ1:遺産分割協議:相続人全員で土地の帰属を決め、遺産分割協議書を作成します
- ステップ2:相続登記:法務局で所有権移転登記を行い、名義を変更します
- ステップ3:不動産査定・媒介契約:不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始します
- ステップ4:売買契約の締結:買主と条件を合意し、売買契約を結びます
- ステップ5:引き渡し・決済:残代金の受領と同時に所有権を移転します
- ステップ6:確定申告:売却翌年の2月16日〜3月15日に譲渡所得の申告を行います
全体の所要期間は、一般的に3か月〜1年程度です。遺産分割で時間がかかるケースもあるため、特別控除の期限を意識して早めに動き始めることが大切です。
確定申告で必要な書類一覧
特別控除の適用を受けるには、確定申告時に以下の書類を添付する必要があります。
- 確定申告書(分離課税用)および譲渡所得の内訳書
- 売買契約書のコピー(売却時・取得時)
- 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)
- 登記事項証明書(相続登記後のもの)
- 耐震基準適合証明書または解体証明書
- 相続人であることを証する戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票のコピー
被相続人居住用家屋等確認書は市区町村への申請が必要で、発行まで2〜4週間かかることがあります。確定申告の直前に慌てないよう、売却完了後すぐに準備を始めましょう。
よくある質問
Q: 相続した土地の3,000万円特別控除はいつまでに売却すれば適用できますか?
A: 相続開始日から3年後の12月31日までに売却(引き渡し)を完了する必要があります。たとえば2024年6月に相続が発生した場合、期限は2027年12月31日です。
この期限は延長措置がないため、売却活動には十分な余裕を持つことが重要です。札幌では冬季に売却活動が停滞しやすいため、期限の1年前までには売却活動を開始されることをおすすめします。
Q: 相続した土地の取得費が不明な場合、譲渡所得税はどのように計算されますか?
A: 取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算します。たとえば3,000万円で売却した場合、概算取得費は150万円です。
実際の購入価格が概算取得費を上回る場合、本来よりも多くの税金を負担することになります。購入時の契約書や領収書、金融機関の振込記録など、取得費を証明できる資料を探しておくことで節税につながります。
Q: 相続登記をしていない土地でも売却は可能ですか?
A: 相続登記が完了していない土地は、原則として売却できません。買主への所有権移転登記の前提として、売主名義への相続登記が完了している必要があります。
また2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。売却を考えている場合は、早めに司法書士に相談して登記手続きを進めましょう。
Q: 取得費加算の特例と3,000万円特別控除はどちらが有利ですか?
A: 一般的に、納めた相続税額が大きい場合は取得費加算、相続税額が小さい場合や非課税だった場合は3,000万円特別控除が有利になります。両制度は併用できないため、どちらか一方を選択する必要があります。
判断の目安として、土地に按分される相続税額が3,000万円を超えるかどうかがひとつの基準です。ただし個別の事情によって異なるため、税理士に具体的な数値を示して相談されることをおすすめします。
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