玄関に後から付けた風除室が登記されておらず、売却できるのか不安に感じているお客様は少なくありません。
この記事では、風除室の増築が未登記のまま売却する方法と、登記が必要かどうかの判断基準を説明します。建ぺい率や住宅ローンへの影響、費用の目安も、札幌の実情を交えて解説します。
先に結論をお伝えします。未登記の風除室がある家でも、売却することは可能です。
不動産の売買契約は、登記簿の内容と現況が完全に一致していなくても成立します。実際に、増築部分が未登記の戸建ては中古市場で数多く取引されています。
ただし、売主には現況を正しく伝える義務があります。未登記であることを買主に伝えないまま売却すると、引き渡し後のトラブルにつながるおそれがあります。
大切なのは「売れるかどうか」ではなく、「どんな条件で売れるか」です。未登記の風除室は、主に次の点に影響します。
戸建て売却の全体的な流れは、戸建ての売却について詳しく見るでもご紹介しています。
すべての風除室が登記対象になるわけではありません。一般的に、建物として扱われるかどうかは3つの要件で判断されます。
不動産登記規則では、建物として登記できるものを次の3つの要件で考えます。3つすべてを満たすと、建物の一部として登記対象になる可能性が高くなります。
札幌の風除室の多くはアルミとガラスで囲まれ、外気分断性と用途性は満たしやすい傾向があります。そのため、実務上は「定着性」が判断の分かれ目になりやすいです。
同じ風除室でも、構造によって扱いが変わります。代表的な例は次のとおりです。
登記の要否は、最終的には法務局や土地家屋調査士の判断になります。迷う場合は、現地を見てもらったうえで判断するのが確実です。
北海道、とくに札幌では、未登記の風除室は珍しいものではありません。背景には積雪寒冷地ならではの事情があります。
札幌は年間の累計降雪量が約5mに達する年もある、世界でも有数の豪雪都市です。玄関への雪の吹き込みや暖房効率の低下を防ぐため、新築から数年後に風除室を後付けするご家庭が多くあります。
当社が受ける売却相談でも、築30年以上の戸建てで風除室が未登記のまま、というケースがたびたび見られます。地下鉄沿線やJR沿線の昭和期に造成された住宅地では、とくにこの傾向が目立ちます。
多くのお客様は「リフォーム業者に頼んで付けただけなので、登記が必要とは知らなかった」とおっしゃいます。登記は施工業者が自動的に行うものではないため、気づかないまま年月が経っているのが実情です。
未登記の風除室が見つかるきっかけは、主に次の3つです。
固定資産税の課税台帳と登記簿の面積が違うことも、市街地エリアの古い住宅ではよくあります。売却を考え始めた段階で、両方の書類を確認しておくと安心です。
登記の有無と並んで注意したいのが、建築基準法上の問題です。風除室の増築で、建ぺい率や容積率を超えている場合があります。
一般的に、防火地域・準防火地域以外で床面積10㎡以内の増築であれば、建築確認申請は不要とされています。ただし、申請が不要でも、建ぺい率などの制限は守る必要があります。
たとえば、敷地150㎡で建ぺい率40%の場合、建築面積の上限は60㎡です。もともと58㎡の家に4㎡の風除室を付けると62㎡となり、建ぺい率は約41.3%となって上限を超えてしまいます。
建築当時は適法だったものの、その後の法改正で基準に合わなくなった建物は「既存不適格」と呼ばれます。一方、増築によって基準を超えた場合は「違反建築物」と扱われる可能性があり、この2つは意味が異なります。
金融機関は、担保となる不動産が法令に適合しているかを重視します。建ぺい率を超えている物件は、担保評価が下がりやすくなります。
対処としては、撤去して基準内に戻す方法や、融資に柔軟な金融機関を探す方法が考えられます。こうした事情のある物件については、ワケあり物件の売却相談はこちらからご相談いただけます。
風除室を登記する場合は「建物表題変更登記」を行います。一般的には、土地家屋調査士に依頼して進めます。
おおまかな流れは次のとおりです。
施工時の図面や工事請負契約書がなくても、登記できる場合があります。代わりに施工業者の証明書や、写真などで工事の時期を補うことが多いです。
土地家屋調査士の報酬は、一般的に8万〜15万円程度が目安です。建物の規模や資料の有無で変わり、建物全体の測量が必要な場合はさらに高くなることもあります。
表題変更登記には、原則として登録免許税がかかりません。期間は依頼から完了まで、おおむね2週間〜1か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
主な必要書類は次のとおりです。
個別の要件は案件ごとに異なるため、最終的な判断は土地家屋調査士などの専門家にご確認ください。
未登記の風除室がある家の売却方法は、大きく3つに分かれます。費用・手間・期間・価格のバランスで選ぶことが大切です。
| 比較項目 | 登記してから仲介 | 現況のまま仲介 | 現況のまま買取 |
|---|---|---|---|
| 事前費用 | 約8万〜15万円 | ほぼ不要 | ほぼ不要 |
| 手間 | 多い | 中程度 | 少ない |
| 売却までの期間 | 約4〜7か月 | 約3〜6か月 | 約2週間〜1か月 |
| 売却価格 | 相場に近い | やや下がりやすい | 相場の70〜80%程度 |
| 契約不適合責任 | 通常どおり | 特約での調整が必要 | 免責となることが多い |
仲介で現況のまま売る場合は、未登記であることを重要事項説明や物件状況報告書で明記します。たとえば「玄関風除室は未登記であり、登記簿の床面積と現況が異なります」と具体的に記載します。
あわせて、風除室の未登記について契約不適合責任を負わない旨の特約を設けることが一般的です。売主が個人の場合、多くのケースでこうした免責特約が有効とされています。
ただし、知っていて告げなかった事実については、特約があっても責任を免れないとされています。わかっている点は、すべて事前に伝えておくことが大切です。
不動産会社による買取であれば、未登記や建ぺい率の問題があっても、現況のまま引き渡せることが多くあります。買主が住宅ローンを使わないため、融資審査に左右されないのが大きな理由です。
価格を優先するなら仲介、早さと手間の少なさを優先するなら買取が向いています。それぞれの違いは売却の方法と費用を比較するで詳しくご紹介しています。
当社では、道内の積雪寒冷地ならではの増築事情をふまえ、お客様の状況に合った売り方をご提案しています。
風除室の増築や未登記での売却について、お客様からよくいただく質問をまとめました。
A: 未登記の風除室がある家でも、売却することは可能です。
ただし、未登記であることを買主に伝え、契約不適合責任の特約などの契約条件を調整することが重要です。
A: 一般的に、外気分断性・定着性・用途性の3要件を満たすと、建物の一部として登記対象になる可能性が高くなります。
基礎に固定されているかどうかが分かれ目になりやすいため、迷う場合は土地家屋調査士に確認することをおすすめします。
A: 土地家屋調査士の報酬として、一般的に8万〜15万円程度が目安です。期間はおおむね2週間〜1か月程度です。
図面や施工資料の有無、建物の規模によって費用と期間は変わります。
A: 建ぺい率を超えている物件は、多くの場合で住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
融資の可否や条件は金融機関によって異なるため、撤去による是正や買取も含めて検討するとよいでしょう。
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