「境界標が見当たらない土地は売れないのでは」とお悩みではありませんか。境界標がない土地でも、適切な手順を踏めば売却は可能です。
この記事では、境界確定測量の費用・期間から筆界特定制度の活用法、さらには境界未確定のまま買取業者に売る選択肢まで、一気通貫で解説します。札幌特有の積雪による境界標トラブルについても触れていますので、道内で土地の売却をお考えの方はぜひ参考にしてください。
結論から申し上げると、境界標がない土地であっても売却は可能です。境界標はあくまで境界の位置を示す目印であり、境界標の有無が土地の所有権そのものに影響するわけではありません。
境界標とは、隣接する土地との境界を物理的に示すために設置される金属プレートやコンクリート杭のことです。法務局に登録された地積測量図に基づいて設置されます。
しかし、以下のような原因で境界標がなくなるケースは珍しくありません。
国土交通省の調査によると、全国の土地のうち約14%が境界未確定とされています。つまり、境界標がない土地は決して少数ではないのです。
境界標がない土地の売却を検討する際、まず以下の3点を確認しましょう。
土地売却の基本的な流れについては、土地売却の基本についてはこちらをご覧ください。
境界標がない土地を売却する際、もっとも一般的な方法が境界確定測量です。ここでは具体的な手順と費用の目安をご紹介します。
境界確定測量は、一般的に次のステップで進められます。
境界確定測量にかかる費用は、土地の広さや隣接地の数によって大きく変わります。一般的な目安は以下のとおりです。
費用は決して安くありませんが、境界が確定することで土地の資産価値が明確になり、買主の安心感にもつながります。売却にかかる費用全般については、売却にかかる費用の詳細もあわせてご確認ください。
境界確定で最も困るのが、隣地の所有者と連絡が取れないケースです。特に相続が発生している土地では、登記名義が故人のままになっていることも少なくありません。
隣地所有者が行方不明の場合、通常の立会いによる境界確定は困難です。この場合、以下の方法で対処できます。
不在者財産管理人の選任には3〜6ヶ月ほどかかるのが一般的です。売却のスケジュールには余裕を持っておくことをおすすめします。
2024年4月から相続登記が義務化されましたが、それ以前に相続が発生した土地では、依然として未登記のままのケースが多くあります。
相続未登記の隣地に対しては、以下のように進めます。
相続が絡む土地の売却については、相続物件の売却についてはこちらで詳しく解説しています。
隣地所有者の協力が得られない場合に有効なのが、法務局の「筆界特定制度」です。2006年に創設されたこの制度は、裁判よりも手軽に境界問題を解決できる手段として利用が広がっています。
筆界特定制度とは、法務局の筆界特定登記官が、土地家屋調査士などの専門家(筆界調査委員)の意見を踏まえて、土地の筆界(境界)を特定する制度です。
申請の流れは以下のとおりです。
札幌法務局での手続き期間は、一般的に6ヶ月〜1年程度です。北海道内の申請件数は年間約200件前後で推移しています。
境界紛争を解決するもう一つの方法は、裁判所に「境界確定訴訟」を提起することです。しかし、筆界特定制度には裁判と比較して明確なメリットがあります。
ただし、筆界特定の結果に不服がある場合は、改めて裁判を提起することも可能です。筆界特定はあくまで行政処分であり、裁判所の判決とは異なる点にご留意ください。
札幌をはじめ北海道の土地には、本州にはない特有の事情があります。当社でもこれまで多くのご相談を受けてきましたが、積雪に起因する境界標トラブルは非常に多い印象です。
札幌の年間降雪量は約500cmにのぼります。冬期間は境界標が積雪の下に完全に埋もれてしまい、目視で確認することができません。
さらに深刻なのは、融雪時期の問題です。春先の急激な雪解けで大量の水が流れ、地面に設置された境界標が流失するケースがあります。特にプラスチック杭や木杭は流されやすく、金属プレートも地盤の凍結と融解の繰り返しで浮き上がることがあります。
また、除雪作業の際にブルドーザーやショベルが境界標を破損・撤去してしまうケースも、道内ではよく見られます。
札幌で土地の売却を検討される際は、4月下旬〜5月の融雪後に現地で境界標の有無を確認することをおすすめします。
JR沿線や地下鉄沿線の住宅地でも、古くからの分譲地では境界標が失われているケースが多く見られます。市街地エリアだからといって安心はできません。
境界標がない状態で土地を売却すること自体は法律上可能ですが、売却後に思わぬトラブルに発展するリスクがあります。特に注意すべきなのが「契約不適合責任」です。
2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。土地の売買において、以下のようなケースで売主の責任が問われる可能性があります。
これらの場合、買主から代金減額請求、損害賠償請求、あるいは契約解除を求められる可能性があります。
境界未確定のまま売却する場合、売買契約書での対策が重要です。
いずれにしても、専門家のアドバイスを受けたうえで慎重に進めることが大切です。
「測量に費用も時間もかけられない」「隣地所有者との交渉が難しい」という場合、不動産買取業者に売却するという選択肢もあります。
買取業者への売却には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
デメリット
買取と仲介のどちらが適しているかは、お客様の状況によって異なります。以下を判断基準としてお考えください。
境界未確定の土地など条件が複雑な物件の売却については、ワケあり物件の売却についてはこちらもご参照ください。
A: いいえ、境界標がない土地でも売却は可能です。境界確定測量を実施して新たに境界標を設置する方法や、筆界特定制度を利用する方法があります。
また、不動産買取業者であれば、境界未確定の状態でも買い取ってくれるケースが多くあります。
A: 費用は土地の広さや隣接地の数によりますが、30万〜80万円が一般的な相場です。官民境界の確定が必要な場合はさらに費用がかかることもあります。
期間は順調に進んで1〜3ヶ月が目安ですが、隣地所有者の対応次第で6ヶ月以上かかる場合もあります。
A: 法務局の筆界特定制度を利用する方法があります。この制度では、隣地所有者の同意がなくても法務局が境界を特定してくれます。
手数料も裁判と比べて低額で、期間も概ね1年以内で完了します。まずは管轄の法務局に相談されることをおすすめします。
A: はい、多くの買取業者は境界未確定の土地でも買取に対応しています。買取業者が自社負担で測量や境界確定を行うため、売主側で費用や手間をかける必要がありません。
ただし、買取価格は仲介による売却と比べて2〜4割程度低くなる傾向があります。複数の業者に査定を依頼し、比較検討されることをおすすめします。
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