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未登記建物を売却する方法と注意点

「相続した実家が未登記だった」「増築部分の登記をしていなかった」——こうしたご相談は年々増えています。

未登記建物は通常の売却とは異なる手続きが必要ですが、売却できないわけではありません。方法を正しく選べば、スムーズに手放すことが可能です。

この記事では、未登記建物の売却方法・登記費用の相場・相続時の手順・札幌ならではの事情まで、実務に基づいて詳しく解説します。

未登記建物とは?発生する主な原因

未登記建物の基本を押さえておくことで、売却時に必要な手続きが明確になります。

未登記建物の定義と法的な位置づけ

未登記建物とは、法務局に「建物表題登記」がされていない建物のことです。不動産登記法では、建物を新築した場合は1か月以内に表題登記を申請する義務があります。

しかし実際には、登記をしないまま何十年も経過している建物が全国に数多く存在します。登記がなくても建物自体の所有権は認められますが、第三者に対して所有権を主張する「対抗要件」を備えていない状態です。

相続・増築・古い建物で未登記が多い理由

未登記建物が発生する主な原因は以下のとおりです。

特に2024年4月から相続登記の義務化が施行されました。相続で取得した不動産は、取得を知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。

未登記建物についても、まず表題登記を行ったうえで相続登記をする必要があり、放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。

未登記建物を売却する3つの方法

未登記建物の売却には、大きく分けて3つの方法があります。状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

方法1:登記してから売却する

もっとも一般的な方法は、売却前に建物表題登記と所有権保存登記を済ませてから売りに出す方法です。登記を完了させることで、買主が住宅ローンを利用できるようになり、購入希望者の幅が広がります。

仲介での売却を希望する場合は、原則としてこの方法を選ぶことになります。登記費用はかかりますが、市場価格に近い金額での売却が期待できます。

方法2:未登記のまま買取業者に売却する

買取業者を活用すれば、未登記のまま売却できるケースがあります。買取業者は自社で登記手続きを行えるため、売主側で登記を済ませる必要がありません。

当社でも、相続した未登記建物をそのままお引き取りし、当社側で表題登記から対応した事例がございます。売主様は登記費用を負担することなく、約2週間で売却が完了しました。

ただし、買取価格は仲介での売却と比べて市場価格の6〜8割程度になることが一般的です。スピードと手間の軽減を優先する場合に適した方法です。

方法3:買主と協議のうえ売却時に登記する

売買契約の条件として「引き渡しまでに売主が登記を完了させる」と定める方法もあります。買主が見つかってから登記を進めるため、売れなかった場合の登記費用が無駄になりません。

売却の方法と費用の詳細はこちら

未登記建物の登記手続きと費用の相場

登記してから売却する場合、どの程度の費用と期間がかかるのかを具体的にご説明します。

土地家屋調査士への依頼費用と期間

建物表題登記は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。費用と期間の目安は以下のとおりです。

合計すると、登記にかかる総費用は10万〜20万円程度が相場です。建物の図面が残っていない場合は、土地家屋調査士が現地で測量を行うため、追加費用が発生することもあります。

自分で登記する場合の手順

建物表題登記は、所有者本人が申請することも可能です。法務局で相談しながら進めれば、費用を数万円程度に抑えられます。

ただし、建物図面や各階平面図の作成が必要で、専門知識がないと難しい部分もあります。時間に余裕がある場合は検討してもよいでしょう。

相続した未登記建物を売却する手順

相続で取得した建物が未登記だった場合、通常の相続手続きに加えて建物の登記手続きも必要になります。

相続登記義務化で変わったポイント

2024年4月の法改正により、相続で取得した不動産は3年以内の登記が義務となりました。未登記建物の場合は、まず建物表題登記を行い、その後に所有権保存登記と相続登記を進める必要があります。

法改正以前に相続した不動産も対象です。2027年3月31日までに登記を行わなければ、過料の対象となる可能性があります。

遺産分割協議と建物表題登記の進め方

相続した未登記建物を売却するまでの一般的な流れは以下のとおりです。

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議に時間がかかることもあります。協議が完了するまでに平均3〜6か月を要するケースも珍しくありません。早めに着手することをおすすめします。

相続物件の売却について詳しくはこちら

未登記建物の固定資産税と売却価格への影響

「未登記なら固定資産税もかからないのでは?」と思われる方もいますが、実際はそうではありません。

未登記でも固定資産税は課税される仕組み

市区町村は登記の有無にかかわらず、航空写真や現地調査で建物の存在を把握しています。未登記建物であっても、固定資産税の課税台帳に登録され、毎年課税されるのが一般的です。

札幌市の場合、固定資産税の税率は標準税率の1.4%です。都市計画税0.3%と合わせて1.7%が課税されます。

評価額と売却価格の関係

固定資産税評価額は、一般的に市場価格の約7割程度を目安に算出されます。ただし築年数が古い未登記建物の場合、評価額がかなり低くなっていることがあります。

築40年以上の木造建物では、固定資産税評価額が数十万円〜100万円程度まで下がっているケースも少なくありません。この場合、建物自体の売却価格はほぼゼロに近く、土地の価値が売却価格の大部分を占めることになります。

札幌で未登記建物が多い背景と売却事情

北海道、特に札幌近郊には未登記建物が多く存在します。その背景には、道内特有の歴史的事情があります。

古い農地転用建物や開拓時代の未登記家屋

北海道は明治期の開拓以降、広大な土地に多くの建物が建てられました。当時は登記制度が十分に浸透しておらず、登記をしないまま代々受け継がれてきた家屋が数多く残っています。

また、昭和30〜40年代に農地を宅地へ転用して建てられた建物でも、建物の登記がされていないケースが見られます。登記地目が田・畑の場合は農地法に基づく農地転用許可が必要ですが、地目が山林・原野・雑種地の場合は農地転用許可は不要で、地目変更登記のみで対応できます。

札幌の市街地エリアやJR沿線では、こうした古い未登記建物の売却相談が年間を通じて多く寄せられます。

市街化調整区域の未登記物件への対応

札幌近郊の市街化調整区域にも、未登記のまま長年使用されてきた建物があります。市街化調整区域では建築に制限があるため、売却の難易度が上がる傾向にあります。

こうした物件は、一般的な仲介では買い手が見つかりにくいため、不動産買取業者への売却が現実的な選択肢となることが多いです。道内の不動産事情に精通した業者であれば、市街化調整区域の未登記物件でも適切な査定と買取が可能です。

市街化調整区域の売却はこちら

未登記建物を売却するときの注意点

未登記建物の売却では、通常の不動産取引とは異なる注意点があります。トラブルを防ぐために事前に確認しておきましょう。

住宅ローン審査への影響

未登記建物は抵当権を設定できないため、買主が住宅ローンを利用できません。金融機関は登記された不動産に対して抵当権を設定することを融資の条件としているためです。

これは売主にとっても大きな影響があります。住宅ローンが使えないと、現金で購入できる買主に限定されるため、購入希望者が大幅に減少します。できるだけ高く売却したい場合は、事前に登記を済ませておくことが重要です。

売買契約書に記載すべき事項

未登記建物を含む不動産の売買契約では、以下の点を契約書に明記しておく必要があります。

これらの事項が曖昧なまま契約を進めると、後日トラブルに発展するおそれがあります。不動産会社や司法書士と相談しながら、契約内容を慎重に確認することをおすすめします。

ワケあり物件の売却もご相談ください

よくある質問

Q: 未登記建物は登記しなくても売却できますか?

A: 買取業者への売却であれば、未登記のまま売却できるケースがあります。買取業者が自社で登記手続きを行うためです。

一方、仲介での売却では原則として登記が必要です。買主が住宅ローンを利用する場合、登記がなければ抵当権を設定できないため、事前に登記を済ませておく必要があります。

Q: 未登記建物の登記費用はいくらかかりますか?

A: 土地家屋調査士に建物表題登記を依頼した場合、8万〜15万円程度が相場です。建物の規模や図面の有無によって変動します。

さらに所有権保存登記を司法書士に依頼すると2万〜4万円程度が加わり、合計で10万〜20万円程度が目安となります。

Q: 相続した建物が未登記だった場合、まず何をすればよいですか?

A: まず固定資産税の納税通知書を確認してください。未登記でも課税台帳に記載されていれば、建物の存在や評価額を把握できます。

そのうえで、土地家屋調査士に相談し建物表題登記を行い、司法書士を通じて相続登記を進めるのが一般的な流れです。2024年4月から相続登記が義務化されているため、早めの対応をおすすめします。

Q: 未登記建物を売却するとき住宅ローンは使えますか?

A: 未登記のままでは、原則として住宅ローンは利用できません。金融機関が抵当権を設定できないためです。

ただし、売却前に登記を完了させれば、買主は通常どおり住宅ローンを申し込むことが可能になります。売却価格を高くしたい場合は、事前の登記をご検討ください。

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