「旧耐震の戸建てを売りたいが、耐震改修してから売るべきか迷っている」というご相談が増えています。改修には150〜300万円の費用がかかりますが、売却価格がどれだけ上がるかは物件ごとに異なります。
この記事では、耐震改修の費用対効果を3パターンの損益シミュレーションで比較し、札幌の寒冷地特有のコスト事情や補助金活用法まで具体的に解説します。改修すべきか、そのまま売却か、買取に出すか。お客様の判断材料としてお役立てください。
旧耐震と新耐震の境目は1981年6月1日です。この日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準に該当します。
旧耐震基準は「震度5程度の地震で倒壊しない」ことを想定した設計です。一方、新耐震基準は「震度6強〜7でも倒壊しない」水準に引き上げられました。
2026年現在、旧耐震の戸建ては築45年以上が経過しており、建物の経年劣化も相まって市場での評価が大きく下がる傾向にあります。
特に深刻なのが住宅ローンの問題です。買主がローンを組めなければ、現金購入できる層に限定されるため、売却価格は相場の2〜4割安になるケースも少なくありません。売主としては「自分の家の耐震性能」だけでなく「買主の資金調達環境」まで考慮する必要があります。
耐震改修にかかる費用は、建物の規模や劣化状況によって大きく変わります。ここでは木造戸建ての一般的な費用相場を解説します。
一般的な木造戸建て(延床面積80〜120㎡)の耐震改修費用は、全国平均で約150〜300万円が目安です。工事内容によって金額は次のように変動します。
複数の工事を組み合わせると総額が300万円を超えることもありますが、部分的な補強だけであれば150万円以内に収まるケースもあります。
札幌など道内の積雪寒冷地では、本州と比べて改修費用が1.2〜1.5倍になることがあります。その主な要因は以下の通りです。
そのため、札幌で旧耐震の戸建てを改修する場合、本州の相場に30〜80万円程度を上乗せして考える方が現実的です。費用の詳細については売却にかかる費用の詳細もあわせてご確認ください。
耐震改修の費用対効果を判断するために、3つの売却パターンで手取り額を比較します。以下は札幌市街地エリアの築48年・木造戸建て(土地80坪・建物30坪)を想定した試算です。
売却想定価格を1,500万円(新耐震同等の場合)として、各パターンの概算を示します。
パターンAとBの差額は約84万円です。改修費250万円をかけても、売却価格の上昇幅が350万円であれば費用対効果はプラスになります。
改修して売ることが有利になるのは、次のような条件を満たす場合です。
一方、立地の需要が低い場合や建物の劣化が著しい場合は、改修費を回収できない可能性が高まります。そうしたケースでは、改修せずに買取に出す方が時間的・金銭的なリスクを抑えられます。
札幌市では旧耐震の住宅に対して耐震改修の補助金制度を設けています。売却前の改修でも活用できる場合がありますので、条件を確認しましょう。
札幌市の耐震改修補助金は、上限100万円(改修費用の23%以内)が支給される制度です。主な対象条件は次の通りです。
申請の流れは、まず市の窓口で耐震診断の補助を申請し、診断結果に基づいて改修計画を作成します。その後、改修補助金の交付申請を行い、交付決定後に工事着手という順序です。申請から交付決定まで約1〜2か月かかるため、売却スケジュールには余裕をもたせてください。
北海道の戸建てでは、耐震改修と断熱改修を同時に行うことで工事費の総額を抑えられる場合があります。壁を開ける工事が共通するため、別々に施工するより15〜20%のコスト削減が期待できます。
断熱性能の向上は買主へのアピールポイントにもなります。道内では冬の暖房費が月3〜5万円かかる住宅もあり、断熱等級が高い物件は市場での評価が上がりやすい傾向です。
耐震と断熱を合わせて改修する場合、総額は350〜500万円が目安ですが、補助金を活用すれば実質250〜400万円程度に抑えられるケースもあります。
改修費をかけずに売却する方法も複数あります。お客様の状況に応じて最適な方法を選びましょう。
改修せず仲介で売る場合、以下の点に注意が必要です。
戸建ての売却全般の流れについては戸建て売却の詳しい流れをご覧ください。
改修費用をかけたくない場合や、早期に売却したい場合は、不動産買取が有力な選択肢です。
買取価格は仲介相場の6〜7割程度になることが多いですが、改修費用・仲介手数料・売却期間中の維持費を差し引くと、手取り額の差は縮まります。旧耐震のようなワケあり物件の売却はワケあり物件の売却についてはこちらでも詳しく解説しています。
旧耐震の戸建てでは、耐震性だけでなく複数の要素が査定額に影響します。改修以外にも査定額を底上げできる対策があります。
大規模な改修をしなくても、以下の低コストな対策で査定額の底上げが期待できます。
改修に数百万円をかける前に、まずはこうした対策を検討されることをおすすめします。
旧耐震の戸建てを売却する際は、通常の売却とは異なる注意点があります。特に契約不適合責任への備えが重要です。
旧耐震の戸建て売却で最も注意すべきは契約不適合責任です。2020年の民法改正により、売主は引き渡した物件が契約内容に適合しない場合、修繕費用や損害賠償を請求される可能性があります。
旧耐震であることを契約書や重要事項説明書に明記し、買主に告知することが不可欠です。耐震性能の不足、過去の修繕履歴、雨漏り・シロアリなどの瑕疵は漏れなく告知しましょう。
この点、不動産買取では契約不適合責任が免除される契約が一般的であり、売却後のリスクを回避したい場合は買取を検討する価値があります。無料査定のご相談はお問い合わせページからお気軽にどうぞ。
A: 耐震改修をしなくても売却は可能です。ただし、買主が住宅ローンを組めない場合が多く、現金購入者に限定されるため売却価格は相場の2〜4割安になる傾向があります。
売却期間も長引きやすいため、早期売却を希望される場合は不動産買取も選択肢としてご検討ください。
A: 木造戸建ての耐震改修費用は一般的に150〜300万円が目安です。札幌の場合は寒冷地の割増で200〜350万円程度になることもあります。
売却価格の上昇幅は立地や建物の状態により異なりますが、地下鉄沿線などの需要が高いエリアでは改修費を上回る価格上昇が見込める場合もあります。
A: 所有者本人が申請する場合は、売却予定の戸建てでも申請可能です。補助金額は改修費用の23%以内で上限100万円です。
ただし、申請から交付決定まで1〜2か月かかるため、売却スケジュールとの兼ね合いに注意が必要です。交付決定前に工事を着手すると補助対象外になる場合があります。
A: スピードと手間を重視するなら買取が有利です。仲介手数料がかからず、最短1〜2週間で現金化でき、契約不適合責任も免除されるケースが多い点がメリットです。
一方、時間に余裕があり少しでも高く売りたい場合は仲介売却が選択肢になります。改修費用・売却期間中の維持費・仲介手数料を差し引いた手取り額で比較して判断されることをおすすめします。
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