「隣の家の木の枝が敷地にはみ出しているけれど、このまま売却できるのだろうか」とお悩みではありませんか。越境問題は買主の不安材料となり、査定額にも影響を及ぼします。
しかし2023年の民法改正により、一定の条件を満たせばご自身で枝を切除できるようになりました。この記事では、改正後の実務対応から査定への影響、覚書の作成方法、そして札幌特有の注意点まで一気通貫で解説します。
2023年4月に施行された改正民法233条により、隣地から越境した枝の扱いが大きく変わりました。従来は隣地の所有者に切除を求めるしかありませんでしたが、現在は一定の要件のもとでご自身で切除できます。
改正後の民法では、以下の3つのいずれかに該当する場合、越境された側が自ら枝を切除できると定められています。
売却を検討されている場合、多くのケースでは最初の「催告後の切除」が該当します。まずは隣地所有者へ書面で催告を行うことが第一歩です。
実務では次のような流れで進めます。
催告書には切除期限、越境の具体的状況、対応がない場合は民法233条3項に基づき切除する旨を明記します。なお、切除費用は原則として樹木の所有者(隣地所有者)に請求できますが、実務上は回収が難しいケースも約3〜4割程度あるとされています。
越境問題は買主にとってリスク要因であり、査定額に影響を与えます。どの程度の減額になるのか、具体的な目安を把握しておくことが大切です。
越境の程度によって、査定額への影響は異なります。一般的な目安は以下のとおりです。
たとえば査定額2,500万円の物件で中程度の越境がある場合、75万〜125万円の減額が見込まれる計算です。一方、越境の覚書を取り交わしていれば、買主の不安が軽減され減額幅を抑えられます。
売却前に越境を解消するか、現状のまま売るかは費用対効果で判断します。
解消費用が数万円で済む場合は、売却前に対処したほうが結果的に手取り額が増えることが多いです。売却の方法と費用の詳細はこちらもあわせてご確認ください。
越境枝の問題を抱えた物件を売却する際は、計画的に対処することが重要です。以下の5ステップで進めましょう。
このフロー全体でおおむね1〜3ヶ月を見込んでおくと安心です。売却希望時期から逆算して早めに着手することをおすすめします。
隣地所有者と連絡が取れない場合や、相続で所有者が複数にわたるケースでは、対処が長期化することがあります。
そのような場合は、越境の覚書を作成して現状のまま売却する方法や、越境問題を含めて買い取ってくれる買取業者への売却を検討されるとよいでしょう。弁護士や土地家屋調査士への相談費用は初回30分で5,000〜10,000円が相場です。
越境の覚書は、越境状態を双方が認識し将来の撤去方針を合意する重要な書面です。覚書があるだけで買主の安心度が大きく変わり、売却がスムーズに進みます。
覚書には以下の項目を盛り込むことが重要です。
覚書は双方が署名・捺印し、それぞれ1通ずつ保管するのが基本です。不動産取引の実務では、覚書の有無が買主の購入判断を大きく左右します。
以下は覚書の主要な記載例です。実際の作成にあたっては、不動産会社や弁護士に内容の確認を依頼されることをおすすめします。
【記載例の要点】
この覚書は売買契約時に重要事項説明の添付資料としても活用できます。覚書があることで査定減額を最小限に抑えられるため、売却前に作成しておくことを強くおすすめします。
北海道、特に札幌では本州とは異なる気候条件があるため、越境枝の問題にも地域特有の注意点があります。売却スケジュールを立てる際にはこれらを考慮に入れましょう。
札幌の年間降雪量は約5〜6mに達し、道内でも有数の積雪地帯です。越境した枝に雪が積もると、落雪による隣家への損害リスクが高まります。
また、枝に積もった雪の重みで枝折れが発生し、屋根や外壁を損傷するケースも少なくありません。冬季は地面が凍結するため、11月下旬〜3月下旬は伐採作業が困難になります。
そのため、売却を検討されている場合は4月〜10月の間に枝の切除を済ませておくのが理想的です。市街地エリアや地下鉄沿線の住宅密集地では、隣家との距離が近いため越境枝の影響がより深刻になる傾向があります。
札幌市では、市が管理する道路や水路と民有地との境界を無料で確認できる制度があります。越境問題の解決にあたって、まず正確な境界線を確認することが出発点です。
JR沿線の古い住宅地では境界標が不明確なケースも多いため、売却前に境界確認を済ませておくことでトラブルを未然に防げます。札幌の戸建て売却について詳しくはこちらもご参照ください。
越境問題の解決に時間がかかる場合や、隣地所有者との交渉が難航する場合は、売却方法そのものを見直すことで早期解決につながることがあります。
一般的な仲介売却と不動産買取では、越境問題に対するアプローチが大きく異なります。
買取の場合、仲介手数料(売却価格の約3%+6万円)が不要になる点もメリットです。ただし買取価格は一般的に市場相場の約70〜80%となるため、費用対効果を比較して判断することが重要です。
越境問題を抱えた物件の買取は、どの業者でも対応できるわけではありません。以下のポイントで業者を選びましょう。
当社では越境問題やワケあり物件の買取に豊富な実績があり、札幌市内であれば最短3日で査定結果をお伝えしています。ワケあり物件の売却についてはこちらもあわせてご覧ください。
A: 2023年4月施行の改正民法233条により、一定の要件を満たせばご自身で切除できるようになりました。具体的には、隣地所有者に催告して相当期間(2週間〜1ヶ月程度)が経過しても対応されない場合、所有者が不明な場合、急迫の事情がある場合の3つです。
ただし、いきなり切除するのではなく、まずは内容証明郵便での催告が必要です。催告の記録を残しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
A: 越境の程度によりますが、中程度の越境(枝が1〜2m侵入)で覚書がない場合、売却価格の約3〜5%程度の減額要因となることが一般的です。2,500万円の物件であれば75万〜125万円の影響です。
ただし、隣地所有者との間で越境の覚書を取り交わしておけば、買主の安心感が高まり減額幅を抑えられます。覚書の有無は査定額に大きく影響しますので、売却前の作成をおすすめします。
A: 覚書には、越境の事実確認、将来撤去の合意、撤去費用の負担者、所有権移転時の承継条項を明記し、双方が署名・捺印します。図面や写真を添付すると、越境範囲が明確になり効果的です。
書式に決まった法的様式はありませんが、不動産会社や弁護士に内容の確認を依頼されると安心です。作成費用は弁護士に依頼する場合で3万〜5万円程度が目安となります。
A: 最も早い方法は、越境問題に対応できる不動産買取業者への売却です。買取であれば越境問題を現状のまま引き渡せるため、最短1〜2週間で売却が完了します。仲介手数料も不要です。
仲介売却の場合は越境を解消するか覚書を作成したうえで売り出すことになり、6ヶ月〜1年以上かかるケースもあります。スピードを重視される場合は、まず買取査定を受けて比較検討されることをおすすめします。
あわせてご覧ください
同じテーマの記事