不動産の売却活動を始めたものの、家庭の事情や市場環境の変化で「やっぱりやめたい」と感じることは珍しくありません。
実際に当社へも「売却を途中で取りやめたいが、違約金や費用が心配」というご相談が多く寄せられます。
この記事では、売却プロセスの段階ごとに取りやめの可否・費用・手続きを整理し、札幌ならではの中断・再開戦略まで網羅的に解説します。
結論から申し上げると、不動産売却は途中でも取りやめが可能です。ただし、売却プロセスのどの段階にいるかによって、費用やリスクが大きく異なります。
不動産売却には大きく分けて3つの段階があります。それぞれの段階で取りやめの難易度が変わるため、まずご自身がどの段階にいるかを確認してください。
媒介契約中や売買契約締結前であれば、原則として売主の意思で取りやめが認められます。一方、買主と売買契約を締結した後は「やめたい」だけでは済まず、法的な手続きと費用が伴います。
特に買主がローン審査を通過し、手付解除期日を過ぎた段階で取りやめる場合は、売買代金の10〜20%にあたる違約金が発生するケースが一般的です。
売却活動の初期段階であれば、取りやめのハードルは比較的低いといえます。契約タイプごとの違いを正しく理解しておきましょう。
不動産会社に査定を依頼した段階や、媒介契約を結ぶ前の段階であれば、売却を中止しても費用は一切発生しません。査定は無料で行われるのが一般的であり、お客様に支払い義務はありません。
「査定してもらったから断りにくい」と感じる方も多いですが、査定だけで依頼を見送ることは業界では日常的なことですのでご安心ください。
媒介契約には3つのタイプがあり、それぞれ解除の条件が異なります。
いずれの契約も期間満了(最長3ヶ月)を待てば、自動的に契約終了となります。急ぎでなければ、更新しないことで円満に解消する方法もあります。
なお、不動産会社側に契約違反(報告義務の怠慢やレインズ未登録など)がある場合は、即時解除しても費用を請求される心配はありません。
売買契約を締結した後の取りやめは、法的にも金銭的にも大きな影響があります。慎重な判断が必要です。
買主から受け取った手付金の倍額を返すことで、売主から契約を解除できます。これを「手付倍返し」と呼びます。
例えば、売買代金3,000万円で手付金が150万円(代金の5%)だった場合、売主は300万円を買主に支払うことで契約を解除できます。手付金の相場は売買代金の5〜10%が一般的です。
ただし、この解除方法が使えるのは「手付解除期日」までです。多くの場合、契約締結から1〜2週間以内に設定されています。
手付解除期日を過ぎてから取りやめる場合や、相手方が契約の履行に着手した後の解除では、違約金の支払いが求められます。
売買契約後の取りやめは総額で数百万円の費用になることも珍しくありません。契約前に十分な検討を行うことが何よりも重要です。
売却の取りやめは、住宅ローンの計画や税務面にも影響を及ぼす場合があります。見落としがちなポイントを整理します。
住み替えを前提に新居の購入契約やローン審査を進めていた場合、売却の取りやめは計画全体に波及します。
住み替え目的の売却を途中で取りやめる場合は、不動産会社だけでなく金融機関への早めの相談が大切です。
売却が成立していなければ譲渡所得は発生しないため、確定申告の必要は基本的にありません。
ただし、売却に向けて支出した費用(測量費・建物解体費・ハウスクリーニング費用など)は、一般的に売却が成立しなかった場合には譲渡費用として計上できないため、経費としての回収が難しくなります。
測量に20万〜40万円、建物解体に150万〜300万円かかるケースもあり、事前に支出した費用が無駄にならないよう、取りやめの判断はできるだけ早い段階で行うことをおすすめします。
売却の取りやめを決めたら、依頼中の不動産会社にきちんと伝える必要があります。将来の再依頼を見据えて、円満な関係を維持しましょう。
断りの連絡は電話が望ましいですが、伝えにくい場合はメールでも問題ありません。以下のような文面を参考にしてください。
ポイントは、理由を簡潔に伝えつつ、感謝の言葉と将来の再依頼の可能性を添えることです。「他社に乗り換える」という印象を与えないよう配慮すると、関係が良好に保たれます。
不動産市場は変動するため、数ヶ月〜数年後に改めて売却を検討するケースは少なくありません。実際に当社でも、一度中断されたお客様が再度ご依頼いただく割合は約30%にのぼります。
取りやめの際に丁寧な対応をしておけば、再依頼時に過去の査定データや市場分析を活用でき、スムーズに再スタートできます。
札幌や道内で売却を中断する場合、北海道特有の季節要因を考慮した再開戦略が重要になります。
札幌では例年11月〜3月にかけて積雪期となり、内覧件数が夏場と比べて約40〜50%減少する傾向があります。そのため、冬季に入るタイミングで売却を一時中断し、春先に再開するという判断は合理的です。
北海道では冬季の凍結や積雪で物件の外観確認が難しくなるため、春まで待つことで購入希望者に好印象を与えやすくなります。
一度取りやめた後に再び売り出す場合、価格設定には注意が必要です。以前の売り出し価格がインターネット上に履歴として残っている場合があり、大幅な値上げは購入希望者に不信感を与えます。
再売却時は、直近3〜6ヶ月の成約事例を基に適正価格を再査定することが大切です。札幌の市街地エリアでは年間で3〜5%程度の価格変動が起こることもあるため、以前の査定額をそのまま使わず、最新の市場データに基づいた価格設定を行いましょう。
感情的に「やめたい」と思っても、冷静に状況を見極めることが後悔しない選択につながります。
以下に該当する場合は、売却の取りやめを前向きに検討してよいでしょう。
一方、以下のケースでは売却活動を継続する方が有利です。
判断に迷った場合は、複数の不動産会社に意見を聞くことで客観的な視点が得られます。当社でもセカンドオピニオンとしてのご相談を承っております。
A: 原則として、媒介契約の途中解除で違約金が発生することはありません。
ただし、専任媒介契約や専属専任媒介契約で売主都合の解除の場合、それまでにかかった広告費や交通費などの実費(5万〜30万円程度)を請求される可能性があります。一般媒介契約であれば実費請求のリスクもほぼありません。
A: 売買契約後でも解除は可能ですが、費用が発生します。
手付解除期日前であれば手付金の倍額(手付倍返し)を支払うことで解除できます。期日後は売買代金の10〜20%にあたる違約金が発生するのが一般的です。できるだけ早い段階で判断することが費用を抑えるポイントです。
A: もちろん再依頼は可能です。多くの不動産会社は売却中断後の再依頼を歓迎しています。
取りやめの際に感謝の気持ちを伝え、「状況が変わったらまたお願いしたい」と一言添えておくと、再開時にスムーズです。過去の査定データや販売実績を引き継げるメリットもあります。
A: 一般媒介契約では請求されることはほとんどありません。
専任媒介契約または専属専任媒介契約で、売主側の都合による途中解除の場合は、ポータルサイト掲載費・チラシ印刷費・現地案内の交通費など実費を請求される可能性があります。契約書の特約欄を事前に確認しておくと安心です。
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