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2023/04/27
アパート売却の税金|減価償却で取得費が減る仕組みと、5年の境目の数え方
アパートや賃貸マンションを売るときの税金は、自宅を売るときとは計算が違います。同じ「不動産を売る」でも、使える特例も、税率の考え方も、消費税の扱いも別物です。
特に見落とされやすいのが減価償却です。毎年の確定申告で経費にしてきた分だけ、税金の計算に使う「取得費」が減っています。買ったときより安く売ったのに税金がかかる、ということが実際に起こります。
この記事は一般的な仕組みの説明です。実際の税額は、取得の時期・構造・償却方法・法人か個人かで変わります。申告の前に必ず税理士にご確認ください。弊社は不動産の評価と売却のご相談を承ります。
自宅の売却と違う3つの点
1. 3,000万円の特別控除が使えない
自宅を売る場合は、利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。投資用のアパートには使えません。ここがいちばん大きな違いです。
2. 減価償却で「取得費」が減っている
事業用の建物は、毎年決まった額を経費として計上します(減価償却)。これは選べるものではなく、必ず行うものです。その積み重ねた金額の分だけ、売るときの取得費から差し引かれます。
3. 建物部分に消費税がかかることがある
土地の売買に消費税はかかりませんが、建物部分は課税の対象です。売主が消費税の課税事業者であれば、建物分の消費税を申告・納付することになります。
譲渡所得の計算
計算式
譲渡所得 = 売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費
- 買ったときの価格(土地+建物)
- + 購入時の仲介手数料、登記費用、不動産取得税など
- − これまでの減価償却費の合計
買ったときの契約書が見つからない場合、売却価格の5%を取得費とみなして計算することになり、税金が大きく増えます。古い契約書や通帳は必ず探してください。
減価償却費の考え方
償却するのは建物だけです。土地は減りません。そのため、買ったときの契約書で土地と建物がいくらずつだったかが分かる必要があります。
建物の耐用年数は構造で決まっています。木造・軽量鉄骨・重量鉄骨・鉄筋コンクリートで年数が違い、中古で買った場合は残りの年数で計算します。ここは計算方法が複数あるため、税理士に確認してください。
譲渡費用
- 売却時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙税
- 建物を壊して土地として売った場合の解体費用
- 入居者に立ち退いてもらった場合の立退料
抵当権の抹消費用や、売るまでの固定資産税は譲渡費用に含まれません。
税率は、所有していた期間で変わります
5年を境に、ほぼ倍違う
- 長期譲渡所得(5年超)/所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%
- 短期譲渡所得(5年以下)/所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=39.63%
「5年」の数え方に注意
買った日から売った日までではありません。売った年の1月1日の時点で、所有期間が5年を超えているかで判定します。
たとえば2021年6月に買った物件を2026年8月に売った場合、実際の保有は5年2か月ですが、2026年1月1日の時点では4年7か月なので短期扱いになります。売る時期を数か月ずらすだけで税率が倍違うことがあるので、ここは必ず確認してください。
消費税の扱い
- 土地/非課税です
- 建物/課税の対象です
売主が消費税の課税事業者であれば、建物部分の消費税を申告・納付します。免税事業者であれば納付は不要です。アパートの家賃収入が一定額を超えている方は課税事業者になっている場合があるため、ここも税理士にご確認ください。
売買契約では土地と建物の価格を分けて記載します。この分け方で消費税額が変わるため、契約前に確認が必要です。
計算の例
買った価格が5,000万円(土地2,000万円・建物3,000万円)、これまでの減価償却費の合計が1,200万円、売った価格が4,800万円、売却時の諸費用が200万円の場合。
- 取得費 = 5,000万円 − 1,200万円 = 3,800万円
- 譲渡所得 = 4,800万円 −(3,800万円 + 200万円)= 800万円
- 長期(5年超)なら 800万円 × 20.315% = 約162万円
- 短期(5年以下)なら 800万円 × 39.63% = 約317万円
買った価格より200万円安く売ったのに、800万円の利益が出たことになっています。減価償却の分だけ取得費が減っているためです。これがアパート売却でいちばん驚かれる点です。
いつ払うのか
売った年の翌年2月16日から3月15日の確定申告で申告し、納めます。決済の場で引かれるわけではありません。
つまり入金された時点では、まだ税金を払っていない状態です。売却代金を全部使ってしまうと、翌年に慌てることになります。売る前に概算を出しておくことをおすすめします。
相続したアパートを売る場合
- まず相続登記が必要です(2024年4月から義務)
- 所有期間は亡くなった方が持っていた期間を引き継げます。相続してすぐ売っても短期になるとは限りません
- 相続税を払った場合、相続開始から3年10か月以内に売れば、相続税の一部を取得費に加えられる特例があります
手順は相続した不動産の売却をご覧ください。
売る前に用意しておく資料
- 購入時の売買契約書/土地と建物の内訳が分かるもの。これが無いと取得費が5%扱いになります
- 購入時の仲介手数料・登記費用の領収書
- これまでの確定申告書/減価償却費の累計が分かります
- 減価償却資産の明細(青色申告決算書など)
- レントロール・賃貸借契約書
- 大規模修繕の記録と領収書
これらがそろっていると、売る前に手取りの概算が出せます。「いくらで売れるか」と「いくら残るか」は別なので、両方を見てから判断してください。
よくあるご質問
買った価格より安く売ったのに税金がかかるのはなぜですか。
減価償却の分だけ取得費が減っているためです。毎年経費にしてきた金額が、売るときの計算では差し引かれます。
5年の判定はいつの時点ですか。
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかです。買った日から5年ではありません。数か月ずらすだけで税率が倍違うことがあります。
購入時の契約書が見つかりません。
売却価格の5%を取得費とみなして計算することになり、税金が大きく増えます。通帳、住宅ローンの書類、当時の重要事項説明書など、金額が分かるものが他に無いか探してみてください。
建物に消費税がかかりますか。
売主が課税事業者であれば、建物部分が課税対象です。土地は非課税です。ご自身がどちらにあたるかは税理士にご確認ください。
入居者がいるまま売れますか。
売れます。大家の立場ごと引き継ぐ形(オーナーチェンジ)です。入居者へのお知らせは引き渡し後に新しい所有者から行います。
査定は無料ですか。
無料です。レントロールと賃貸借契約書があれば、資料だけで金額をお出しできます。
売る前に、いくらで売れるかを知る
税金の概算も、まず売却価格が決まらないと出せません。名前も電話番号も入力せずに相場が60秒でわかります。
一棟の利回り査定は 収益物件の売却 をご覧ください。お電話は 0120-193-933(10:00〜18:00・日曜定休)。
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