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2023/04/26

相続した不動産 コラム

実家は生前に売るか、相続してから売るか|判断する5つの軸

実家を売ることになりそうだけれど、親が元気なうちに売るのがよいのか、相続してから売るのがよいのか。迷われる方が多いところです。

結論から言うと、相続税がかかるかどうかと、建物が昭和56年5月31日以前に建てられたかどうかで、答えが分かれます。そして何より、本人が判断できるうちでなければ、生前という選択肢そのものが消えます。順に見ていきます。

以下は制度の考え方の説明です。実際の判断は必ず税理士か税務署にご確認ください。金額によって有利不利が逆転します。

生前に売る場合

本人の3,000万円特別控除が使える

本人が住んでいた家であれば、売って出た利益から最大3,000万円を差し引けます。老人ホームに入って空き家になっていても、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までなら使えます。

10年超なら税率も下がる

住んでいた家を10年超所有していた場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について軽減税率が使えます。3,000万円特別控除と併せて使えます。

本人の意思で決められる

誰に、いくらで、いつ売るかを自分で決められます。売却代金を施設の費用や生活費に充てられるのも利点です。

手続きが簡単

相続登記も遺産分割協議も要りません。売却までの日数が短くて済みます。

ただし、現金は評価が下がらない

相続税の計算では、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価されるのに対し、現金はそのままの金額で評価されます。相続税がかかる家庭では、売って現金にした時点で相続税の対象が増えることになります。

相続してから売る場合

不動産のまま相続すると評価が低い

相続税の計算上、不動産は現金より低く評価されます。相続税がかかる家庭では、不動産のまま相続したほうが有利になることがあります。

小規模宅地等の特例

亡くなった方が住んでいた土地であれば、330平方メートルまで評価額を80%減らせる制度です。効果がもっとも大きいのがこれです。ただし誰が相続するかで使えるかが変わり、申告期限まで所有し続けることが条件になる場合があります。

空き家の3,000万円特別控除

相続した古い家を売るときに使えます。昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てであることなどが条件です。これより新しい家は対象外なので、その場合は生前に売って本人の控除を使うほうが有利になりやすくなります。

相続税の取得費加算

相続税を払った場合、その一部を取得費に加えられます。空き家の3,000万円特別控除とは併用できません。どちらが有利かは金額によって変わります。

判断する5つの軸

1. 相続税がかかるか

相続財産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えなければ、相続税はかかりません。かからないのであれば、不動産の評価が低いことに意味はなく、生前に売って手続きを楽にするほうが有利になりやすくなります。

2. 建物がいつ建てられたか

昭和56年5月31日以前であれば、相続後に空き家の3,000万円特別控除が使える可能性があります。これより新しい建物なら、その道はありません。登記事項証明書で確認してください。

3. 本人がいま住んでいるか

本人が住んでいれば、生前に売っても3,000万円特別控除が使えます。住まなくなってから3年を過ぎていると、この控除は使えません。

4. 本人が判断できるか

不動産を売れるのは所有者本人だけです。認知症などで契約の内容を理解できない状態になると、成年後見人を立て、家庭裁判所の許可を得る必要があり、半年から1年近くかかることもあります。ここが、生前という選択肢が消える瞬間です。

5. お金がいつ必要か

施設の費用や生活費に充てるなら、生前に売るしかありません。相続税の納税資金に充てるなら、相続後に10か月以内で売ることになります。

整理すると

生前に売るほうが向いている

  • 相続税がかからない(基礎控除の範囲に収まる)
  • 建物が昭和56年6月1日以降に建てられている
  • 本人がいま住んでいる、または住まなくなって3年以内
  • 施設の費用や生活費に充てる必要がある
  • 相続人が多く、分け方でもめそうである

相続してから売るほうが向いている

  • 相続税がかかる見込みで、小規模宅地等の特例が使える
  • 建物が昭和56年5月31日以前に建てられている
  • 本人が住み続けたい、または住まなくなって3年を過ぎている
  • いま現金が必要ではない

どちらにしても、先に「いくらで売れるか」が分かっていないと比べられません。金額が出て初めて、相続税がかかるのか、控除でどこまで消えるのかを計算できます。

もめない形にしておく

相続人が複数なら、分け方を決めておく

不動産は現金のように割れません。遺言があるかないかで、相続後の手間がまったく変わります。誰も住む予定がないなら、売って現金で分ける換価分割がもっとも公平です。

共有名義にしない

相続人全員の共有名義にすると、売るにも貸すにも全員の同意が必要になり、次の相続で持分がさらに細かく分かれます。売る予定があるなら、代表者一人の名義にまとめてください。

札幌で動くときの時期

買い手の動きが強くなるのは2〜3月と9〜10月です。準備にひと月前後かかるため、その前から動き始めるのが目安になります。相続後に売る場合は、戸籍集めと相続登記でさらに1〜2か月かかることを見込んでください。

また、測量と境界の立会いは積雪期にできません。相続が冬に起きた場合、春まで動けない期間が出ます。

よくあるご質問

生前と相続後、どちらが税金は安くなりますか。

相続税がかかるかどうかと、建物が昭和56年5月31日以前に建てられたかどうかで変わります。相続税がかからないなら生前に売って手続きを楽にするほうが有利になりやすく、相続税がかかるなら不動産のまま相続したほうが有利になることがあります。

相続税がかかるかどうかは、どう判断しますか。

相続財産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかどうかです。相続人が3人なら4,800万円が目安になります。

親が施設に入って空き家になっています。生前に売れますか。

売れます。本人が判断できる状態であれば、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までなら3,000万円特別控除も使えます。

建物が新しい場合はどうなりますか。

昭和56年6月1日以降に建てられた家は、相続後の空き家の3,000万円特別控除が使えません。この場合、生前に売って本人の控除を使うほうが有利になりやすくなります。

親の判断が難しくなってきました。

生前という選択肢が消える前に、進め方だけでも決めておいてください。契約の内容を理解できない状態になると、成年後見人を立てて家庭裁判所の許可を得る必要があり、半年から1年近くかかることもあります。

相続税の納税資金に充てたいのですが。

相続後に売ることになりますが、申告と納付の期限は相続開始から10か月です。名義変更、片付け、売り出し、決済まで含めると余裕はありません。早めに動き出してください。

相続人が何人もいます。

売る予定があるなら、代表者一人の名義にまとめてください。全員の共有名義にすると、売るにも貸すにも全員の同意が必要になり、次の相続で持分がさらに細かく分かれます。

まず何をすればよいですか。

いくらで売れるかを確かめてください。金額が出て初めて、相続税がかかるのか、控除でどこまで消えるのかを計算できます。

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