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2026/08/01
不動産売却の売買契約書|確認ポイント
不動産売却の売買契約書|確認ポイント
不動産を売却する際、売買契約書は最も重要な書類です。しかし多くの売主様が「不動産会社に任せているから大丈夫」と考え、内容を十分に確認しないまま署名してしまいます。
契約書の確認不足が原因で、引渡し後に数十万円〜数百万円の損失が発生するケースは少なくありません。
この記事では、売主様の視点に特化して売買契約書の確認ポイントを解説します。札幌・北海道特有の契約リスクや、買取と仲介で異なる契約書の違いまで、実務に基づいた情報をお伝えします。
不動産売買契約書の基本構成と記載項目
売買契約書には法律で定められた記載事項があります。まずは全体像を把握し、売主として優先的に確認すべき箇所を押さえましょう。
売買契約書に記載される主な項目一覧
不動産の売買契約書には、一般的に以下の項目が記載されます。
- 売買物件の表示:所在地・地番・地目・面積など登記簿の情報
- 売買代金と支払条件:総額・手付金・中間金・残代金の金額と支払期日
- 引渡し時期と条件:物件の引渡し日・引渡し時の状態
- 契約不適合責任:売主が負う責任の範囲と期間
- 手付解除・違約金:契約解除の条件と違約金の額
- 特約条項:個別の取り決め事項
- 付帯設備表・物件状況報告書:設備の状態や告知事項
売主が最初に確認すべき3つの箇所
契約書を受け取ったら、まず以下の3点を優先的にチェックしてください。
- 契約不適合責任の免責範囲と期間:売主が引渡し後にどこまで責任を負うかが決まる最重要条項です
- 手付解除の期限と違約金の金額:売買代金の20%が違約金上限の目安ですが、契約書の記載を確認する必要があります
- 特約条項の内容:測量費用の負担や引渡し猶予など、売主に不利な条件が入っていないかを確認します
多くのポータルサイトでは契約書の項目を網羅的に解説していますが、売主様が「どこから見るべきか」の優先順位までは示していません。上記の3点は、確認を怠ると直接的な金銭的損失につながる箇所です。
売主が損をしやすい契約条項チェックリスト
売買契約書の中で、売主様が特に注意すべき条項を具体的な金額例とともに解説します。このチェックリストを契約前に活用してください。
契約不適合責任の免責範囲と期間設定
2020年の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ制度が変わりました。売主が負う責任の範囲は契約書の記載内容によって大きく異なります。
- 責任期間:個人間売買では引渡しから3ヶ月と設定するケースが多いですが、6ヶ月や1年とする場合もあります
- 免責範囲:シロアリ・雨漏り・給排水管の故障・建物構造の不具合が代表的な対象項目です
- 免責特約:築30年以上の物件では「現状有姿・契約不適合責任免責」の特約を設けることも一般的です
責任期間が長いほど売主側のリスクは高まります。特に築年数が経過した物件では、免責特約の有無が100万円単位の費用差につながることがあります。
測量費用・境界確定費用の負担取り決め
土地の売却では境界確定が必要になるケースが多く、その費用負担は契約書で明記されます。
- 確定測量費用:一般的に35万〜80万円程度(隣接地の数や官民境界の有無で変動)
- 境界確定の期限:契約から引渡しまでに完了する必要がありますが、隣地所有者の立会いが得られず長引くケースもあります
- 費用負担者:売主負担が一般的ですが、買主負担や折半とする場合もあるため契約書の記載を確認してください
道内では広い土地の取引が多く、隣接地が5筆以上になるケースも珍しくありません。隣接地が多いほど測量費用は上がるため、事前に見積もりを取得しておくことをお勧めします。
手付金・違約金・解除条件の確認ポイント
手付金と違約金の条項は、契約後のトラブルに直結する重要な確認ポイントです。売主として不利にならない条件を理解しておきましょう。
手付金の相場と手付解除期限の見極め方
不動産売買における手付金は、売買代金の5〜10%が一般的な相場です。例えば2,000万円の物件であれば100万〜200万円が目安になります。
手付解除とは、買主が手付金を放棄する(または売主が手付金の倍額を返還する)ことで契約を解除できる仕組みです。手付解除が可能な期限は契約書に明記されますが、多くの場合「相手方が契約の履行に着手するまで」とされています。
売主様にとっての注意点は、手付解除期限が短すぎると買主側のキャンセルリスクが長期間残ることです。契約日から2〜4週間程度を期限とするのが一般的ですが、契約書の日付を確認してください。
違約金条項で売主が不利になるパターン
違約金は売買代金の10〜20%が標準的です。しかし、以下のようなパターンでは売主側が想定以上の負担を負う可能性があります。
- 違約金に加えて損害賠償を請求できる条項:違約金とは別に実損分の請求が可能となっている場合、売主の負担が大幅に増えます
- 引渡し遅延の日割り違約金:1日あたり売買代金の0.03〜0.05%が加算される条項が入っていることがあります
- ローン特約の不備:買主のローン審査が否決された場合の白紙解除条項が曖昧だと、手付金返還でトラブルになります
3,000万円の物件で違約金20%の場合、600万円の負担になります。契約前に違約金の上限額を計算し、リスクを把握しておくことが大切です。
買取契約と仲介契約で異なる契約書の構造
不動産の売却方法には「買取」と「仲介」があり、それぞれ契約書の構造が異なります。この違いを理解していないと、確認すべきポイントを見落とす原因になります。
不動産会社が買主になる場合の契約書の特徴
買取の場合、不動産会社が直接買主となるため、契約書には以下の特徴があります。
- 契約不適合責任が免責:宅建業法により、不動産会社が買主の場合は売主の契約不適合責任を免責とする特約が有効です
- 仲介手数料が不要:売主と買主の直接取引となるため、仲介手数料(売買代金の3%+6万円+消費税)がかかりません
- 決済までの期間が短い:買取では契約から決済まで1〜3週間程度で完了するケースが多くなります
- ローン特約がない:不動産会社は自己資金で購入するため、ローン審査否決による白紙解除のリスクがありません
仲介経由の契約書との違いと注意点
仲介の場合は個人の買主との取引になるため、契約書の確認項目が増えます。
- 契約不適合責任:引渡しから3ヶ月程度の責任期間が設定されるのが一般的です
- ローン特約:買主の住宅ローン審査が否決された場合の白紙解除条項が入ります
- 引渡し猶予:売主の住み替え先が決まっていない場合、引渡し後も一定期間居住を続ける「引渡し猶予」の特約を設けることがあります
- 付帯設備表:エアコン・照明・カーテンレールなど設備の引渡し条件を詳細に記載する必要があります
仲介と買取では売主が負うリスクの種類が異なります。どちらの方法が適しているかは物件の状態や売却の緊急度によって変わりますので、事前に比較検討することをお勧めします。
札幌・北海道特有の契約リスクと特約事項
北海道で不動産を売却する場合、寒冷地固有の条件が契約内容に影響します。全国向けの情報サイトではカバーされていないポイントを解説します。
融雪槽・地中埋設物・凍結深度と契約不適合責任
札幌の住宅地では、融雪槽やロードヒーティングが地中に埋設されている物件が多数あります。これらは契約不適合責任との関連で注意が必要です。
- 融雪槽の動作不良:地中に設置された融雪槽が故障している場合、修理費用は50万〜150万円になることがあります。物件状況報告書で動作確認の結果を正確に記載してください
- 地中埋設物:古い建物の基礎や浄化槽が地中に残っている場合、撤去費用が売主負担となるケースがあります。撤去費用は規模により30万〜200万円程度です
- 凍結深度:北海道の凍結深度は60〜100cm程度とされており、基礎の深さがこれを満たしていない場合、建物の不具合として契約不適合責任を問われる可能性があります
地下鉄沿線やJR沿線の市街地エリアでも、築年数の古い物件では上記のリスクが存在します。売却前にインスペクション(建物状況調査)を実施し、費用は5万〜10万円程度ですが、引渡し後のトラブル防止に有効です。
積雪期の引渡し条件で注意すべき特約
札幌では11月〜4月の約半年間、積雪の影響を受けます。この時期の引渡しでは以下の点を契約書に明記することが重要です。
- 屋根の積雪状態:引渡し時に屋根の雪下ろしを行うかどうか。雪下ろし費用は3万〜8万円程度です
- 水道凍結防止:空き家の場合、水抜きの実施と責任の所在を特約に記載します
- 境界の確認:積雪期は境界標が雪に埋もれて確認できないため、融雪後の確認を条件とする特約を入れることがあります
積雪期の売却は全国共通の確認ポイントに加えて、北海道特有のリスク管理が求められます。
契約書トラブルの実例と未然防止策
契約書の確認不足が原因で実際に発生したトラブル事例を紹介します。同じ失敗を避けるための参考にしてください。
引渡し後に発覚した不具合の紛争事例
事例1:給排水管の老朽化による漏水
築35年の戸建てを売却後、引渡しから2ヶ月で床下の給排水管から漏水が発生しました。契約不適合責任の期間内だったため、売主が修繕費用約120万円を負担することになりました。
売却前に給排水管の点検を行っていれば、免責特約を設定するか、修繕してから売却するかの判断ができたケースです。
事例2:地中埋設物の撤去費用をめぐる紛争
更地として売却した土地から、前の建物のコンクリート基礎が出てきたケースです。買主から撤去費用約80万円の請求があり、契約書に地中埋設物に関する特約がなかったため、売主負担で解決することになりました。
トラブルを防ぐ売主側の事前準備
売却前に以下の準備を行うことで、契約書に関するトラブルの大部分を予防できます。
- 物件状況報告書を正確に記載する:知っている不具合は全て告知します。告知漏れは契約不適合責任の対象になります
- インスペクションを実施する:専門家による建物状況調査で、隠れた不具合を事前に把握できます
- 境界を確定させる:特に土地の売却では、境界確定を済ませてから契約に臨むことが望ましいです
- 特約条項を事前に確認する:契約書のドラフトを契約日より前に受け取り、不明点を質問する時間を確保してください
トラブルの多くは「知らなかった」「確認しなかった」が原因です。事前準備に手間をかけることで、数十万円〜数百万円の損失リスクを大幅に軽減できます。
契約書の最終確認から署名までの流れ
契約日当日の流れを時系列で解説します。署名直前に慌てないよう、事前に全体像を把握しておきましょう。
署名前に行う読み合わせの進め方
不動産の売買契約では、署名の前に重要事項説明と契約書の読み合わせが行われます。一般的な所要時間は1〜2時間程度です。
- 重要事項説明:物件の法的な状態や取引条件について、有資格者から説明を受けます。この段階で疑問点があれば質問してください
- 契約書の読み合わせ:契約書の全条項を順に確認します。特に特約条項は一字一句確認することが大切です
- 付帯設備表の確認:設備の有無と動作状況の記載内容に間違いがないか確認します
- 物件状況報告書の確認:告知事項に漏れがないか最終確認を行います
不明点があるときの対処法
読み合わせの場で不明点や不安が残る場合は、署名を急ぐ必要はありません。
- その場で質問する:専門用語や条項の意味がわからない場合は、遠慮なく説明を求めてください
- 持ち帰りを依頼する:内容に納得できない場合は、署名を延期して持ち帰ることも可能です
- 専門家に相談する:弁護士や司法書士に契約書の内容を確認してもらうことも選択肢の一つです。相談費用は5,000〜1万円程度が目安です
契約書への署名は法的な拘束力を持ちます。不明点を残したまま署名することは避け、全ての内容に納得した上で署名してください。
当社では契約前の段階から売主様のご不安に丁寧にお答えしております。契約書の内容で気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q: 不動産売買契約書にサインした後でもキャンセルできますか?
A: 手付解除期限内であれば、売主は受け取った手付金の倍額を買主に返還することで契約を解除できます。手付解除の期限は契約書に記載された日付に従います。
期限を過ぎた後のキャンセルは違約金が発生し、一般的に売買代金の10〜20%の負担となります。契約書の解除条項を事前に確認しておくことが重要です。
Q: 契約不適合責任とは何ですか?売主はどこまで責任を負いますか?
A: 契約不適合責任とは、引渡した物件が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任です。例えば雨漏りや給排水管の故障など、契約時に告知されていなかった不具合が対象になります。
個人間売買では引渡しから3ヶ月程度の責任期間を設けるのが一般的です。築年数が古い物件では免責特約を設定することも可能ですので、契約前に不動産会社と相談されることをお勧めします。
Q: 売主が特に注意すべき特約条項はどれですか?
A: 特に注意すべきは「引渡し猶予」「現状有姿」「設備免責」の3つです。引渡し猶予は売主の住み替え先が未定の場合に設けますが、猶予期間中の責任範囲を明確にしておく必要があります。
現状有姿は物件をそのままの状態で引渡す特約ですが、告知義務がなくなるわけではありません。設備免責は付帯設備の不具合について売主の責任を免除する条項で、設備表との整合性を確認してください。
Q: 手付金の相場はいくらですか?手付解除の期限はいつまでですか?
A: 手付金の相場は売買代金の5〜10%が一般的です。2,000万円の物件であれば100万〜200万円程度が目安になります。
手付解除の期限は契約書に記載された日付に従いますが、多くの場合は契約日から2〜4週間後に設定されます。期限の設定は売主・買主の合意で決まりますので、契約前に確認してください。
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